DN-449: 降圧、昇圧、昇降圧の各モードでLCDのバックライトをサポートし、3000:1のPWM調光比を与える4mm×5mm QFNのトリプルLEDドライバ
はじめに
LT®3496は3個の独立したLEDドライバを一体化しているので、複数のLEDストリングをドライブする、効率の高い、小型でコスト効率の良いソリューションを提供します。3個のドライバは全て独立したオン/オフ制御とPWM調光制御を備えており、個数や種類の異なるLEDをドライブすることができます。LT3496はハイサイド電流検出と、LED切断用PMOSのためのゲート・ドライバを内蔵しているので、降圧、昇圧、SEPICまたは昇降圧で動作することができ、3000:1のTrue Color PWM™調光比を与えます。
LT3496は4mm×5mm QFNまたはFE28パッケージで供給されます。各ドライバの効率を95%より高くすることができます。
PWM調光比を3000:1に改善する内蔵PMOSドライバ
高いPWM調光比は多くのディスプレイ・アプリケーションで、特にハイエンドのLCDパネルで重要です。ただし、調光比の定義はメーカーによって異なりますので注意してください。調光比を比較するとき、PWM調光周波数および異なるPWMデューティ・サイクルでのLEDの平均電流の直線性に十分注意してください。たとえば、LT3496の高い3000:1 PWM調光比は100HzのPWM周波数で達成可能です。これは全調光範囲でディスプレイをフリッカなしに保つのに十分高い周波数です。
3本の500mA LEDストリングをドライブする降圧モードの回路
トリプル降圧モードLEDドライバを図1に示します。各チャネルはそれぞれ500mAの電流でLEDをドライブします。各ストリングは、種類に依存して、8個から12個のLEDで構成することができます。2.1MHzのスイッチング周波数により、高さの低いインダクタやコンデンサを使用できるので、ソリューションのサイズが最小に抑えられます。回路全体のサイズは16mm×16mm以下で、高さは最大1.5mmです。
LT3496の降圧モード・ドライバの効率は95%を超えることができます。M1、M2およびM3を取り去って部品数をさらに減らすことができます。ただし、これらのMOSFETが無いと調光比が低下します。効率を改善するには、VINピンを3.3Vまたは5Vの電源でバイアスします。LEDへのエネルギーはPVINによって供給されます。OVP保護は図1では省かれています。
3本の200mA LEDストリングをドライブする昇圧モードの回路
安定化された12Vから各LEDストリングに200mAを供給するトリプル昇圧モード・ドライバを図2に示します。回路の優れたPWM調光性能を図3に示します。LED電流は500ns以内にプログラムされた200mAに達します。この回路の効率は2.1MHzのスイッチング周波数で90%です。降圧モード・ドライバとは異なり、昇圧モードと昇降圧モードのドライバは、オープンLED保護のために、出力にOVP回路を常に必要とします。
負荷ダンプに耐える昇降圧モードの回路
負荷ダンプは、車載アプリケーションでICが40Vの過渡に曝されると想定される状態です。このようなアプリケーションでは、LEDストリングの電圧は多くの場合8V~40Vの入力電圧範囲の中間なので、昇降圧モードが必要になります。
昇降圧回路では、スイッチ電圧は入力電圧とLED電圧の和です。したがって、入力電圧が高くなりすぎる前に内部電源スイッチをオフする必要があります。図4のLT3496回路はチャネル当り200mAで4本のLEDストリングをドライブします。回路はショットキー・ダイオードのカソード電圧(VSC)をモニタします。OVPロジックはVSCが38Vを超えるとメイン・スイッチをオフし、スイッチ電圧がさらに上昇するのを防ぎます。デバイスのどのピンも絶対最大電圧に曝されることはないので、回路は負荷ダンプを耐え抜きます。
まとめ
LT3496のような複数出力のLEDドライバは、優れた電流整合、効率および省スペースの利点を与えます。LT3496は、降圧、昇圧、昇降圧のどのモードでも動作する柔軟性を備えているので、堅牢さを要する多くのアプリケーションに適しています。