移行ガイド:DS2430AをDS2431に置き換える方法
要約
DS2431は、1kビットの1-Wire® EEPROMで、旧型の256ビットDS2430Aに取って代わる新型デバイスです。このアプリケーションノートでは、これら2つのデバイスのコマンド構造とメモリマップの相違点について説明します。特に、DS2430Aよりも大きなデバイスであるDS2431に移行するときにアプリケーションの変更が必要となることに注意してください。このアプリケーションノートでは、これらのデバイス間のその他の重要な相違点についても述べています。具体的には、DS2430Aのアプリケーションレジスタと、書込み保護されたEPROMエミュレーションモードでのDS2431の使用方法について説明しています。
はじめに
DS2431は、1kビットの1-Wire EEPROMで、256ビットのDS2430Aに取って代わる新型デバイスです。DS2431のコマンド構造とメモリマップには、DS2430Aとの相違点がいくつかあります。このため、DS2430Aよりも大きな新型デバイスに移行するときには、アプリケーションに変更を加える必要があります。ただし、各1-Wireデバイスには、64ビットROMの固有の識別番号が備わっています。64ビットのうちの8ビットは、デバイス共通の「ファミリコード」を表しています。この8ビットの共通コードによって、アプリケーションは異なるデバイスを識別することができるため、デバイス間のシームレスな移行が可能となります。
DS2430Aは、64ビットのアプリケーションレジスタを内蔵しています。このレジスタは、追記型で、個別のコマンドで制御される独立したメモリ空間に存在します。DS2431には、これと同等のレジスタはありませんが、4つの32バイトページのいずれかを個別に書込み保護するか、あるいはEPROMエミュレーションモードに設定することができます。EPROMモードでは、ロジック1からロジック0にビットを書き込むことはできますが、ロジック0からロジック1に書き込むことはできません。この手法は、使用量の追跡を必要とするアプリケーションで有効です。
これらの1-Wireデバイスはどちらも、同じピン配列を持つTO-92とTSOCパッケージで提供されます。また、DS2431はSFN、TDFN、およびチップスケールパッケージ (UCSP™)で提供されます。表1は、デバイスのコマンド構造とメモリマップの基本的な相違を一覧で示しています。
表1. DS2430AとDS2431の特長の比較
メモリの動作
以下の表2から表5は、共通するメモリの動作について詳しく説明しています。黄色で強調表示した部分は、2つのデバイス間の相違を示しています。これらの動作では、「Skip ROM」コマンドを使用してデバイスを選択していることに留意してください。「Skip ROM」コマンドの代わりに、いずれかのROMレベルのコマンドとサポートするデータを使用することができます。データはすべて最下位ビットを先頭にして読み書きされます。
表2. メモリの読出し
表3. スクラッチパッドの書込み
表4. スクラッチパッドの読出し
表5. スクラッチパッドのコピー
DS2430Aは新規設計用に推奨されていません。