DN-231: 白色LEDバックライトをドライブする小型レギュレータ
はじめに
ハンドヘルド型情報機器にカラー液晶ディスプレイが登場したことにより、小型で明るい白色バックライトが求められています。幸い、最近商品化された高輝度白色LEDがこのニーズに完璧に応えます。これらの小型LEDは十分な白色光を提供でき、ノートブック型コンピュータで一般に使用される蛍光バックライトで問題となった壊れやすさやコスト高が解消されました。ただし、白色LEDは順方向電圧が4Vと高くなる可能性があり、リチウムイオン電池1セルからは直接給電できないという新たな問題があります。
このデザインノートでは、リチウムイオン電池の電圧を昇圧して安定化し、白色LEDに電力を供給できるいくつかの回路について説明します。これらの回路は、複数の白色LEDをドライブするのに十分な電力を供給でき、しかもセルラー電話やハンドヘルド型コンピュータに容易に収納できるほど小型です。
回路説明
図1に、4個の白色LEDに各15mA(バックライトに使用される標準的な順方向電流)ずつ供給可能な非常に小型のチャージ・ポンプDC/DCコンバータを示します。このアプリケーションで使用するLTC®1754-5は、インダクタなしで安定化5V出力を供給する小型SOT-23デバイスです。ボード上で回路全体が占める面積は0.65cm2(0.1インチ2)以下(LEDを除く)であり、リチウムイオン電池から直接電源を得ることができます。
LTC1682を使用してバックライト用の定電流電源を構築することができます。このアーキテクチャには、いくつかの長所があります。まず、LED両端での順方向電圧降下に関係なく、LED電流を直接制御できます。また、LTC1682の出力は内蔵のリニア・レギュレータにより安定化され、非常にノイズが低い出力をLEDに供給可能です。出力リップルが4mV以下なので、影響を受けやすいセルラー電話アプリケーションでRF干渉が発生する危険が少なくなります。LTC1682は高電流出力を備えているので、リチウムイオン電池1セルから並列接続の5個のLEDに15mAずつ供給可能です。
さらに多くの白色LEDや高い効率が必要なアプリケーションの場合、LT®1615昇圧コンバータを使用して直列に接続されたLED列をドライブすることができます。図3に示す高効率回路は、最高8個のLEDを定電流でドライブ可能です。直列に接続された8個の白色LEDをドライブするには約29Vの出力が必要ですが、これはLT1615内部の36V、350mAスイッチにより可能です。この回路は定電流設計となっているので、LED間で順方向電圧に違いがあっても、直列のLEDすべてに確実に等しいLED電流が流れます。この回路は、リチウムイオン電池1セル(2.5V~4.2V)から動作するように設計されていますが、LT1615は最小1Vの入力電圧から動作することも可能で、この場合出力電力は入力に応じて減少します。
輝度調整
ここに示すどのバックライト回路も2つの点に注意すれば、PWM信号をSHDNピンに印加することによってLEDの輝度を調整できます。これらのDC/DCコンバータには「ソフトスタート」回路が組み込まれているので、SHDNが“H”になってから出力電圧がすぐに最大出力まで上昇することはありません。したがって、約200HzのPWM信号が推奨されます。これより高い場合は輝度調整が非直線になり、低い場合はフリッカが現れることがあります。また、シャットダウン時に出力を放電するために、DC/DCコンバータの出力とグランドの間に(LED負荷と並列に)抵抗を接続したほうが良いこともあります。この場合、DC/DCコンバータの動作中に約1mAの電流が流れる抵抗を選択してください(LTC1682は放電回路を内蔵しているので、並列抵抗は不要です)。
PWM制御の代わりに、DAC出力を使って図2および図3のLEDの輝度を調整することもできます。図4に示すとおり、DAC出力でRPROGRAM両端の電圧を変化させてLEDの輝度を調整します。レギュレータが帰還電圧を一定に保持するので、DAC電圧を変化させるとLEDを流れる電流に影響があります。DAC電圧を低くすると輝度が上がり、DAC電圧を高くすると輝度が下がります。
まとめ
このデザインノートでは、白色LEDのドライブに適した非常に小型の昇圧レギュレータ回路をいくつか紹介しています。これらの回路は、定電流LEDドライブ、低ノイズ(セルラー電話アプリケーションで重要)、輝度調整、および低電圧入力(LT1615)などの最適な機能を備えています。白色LED回路のアプリケーションについては、弊社にお問い合わせください。