I²Cアドレスの競合を軽減する超小型アナログスイッチ
要約
小型SPDTスイッチは、2線式のアドレス競合を軽減するために使用できます。この簡素な回路で、簡素なスイッチが同じアドレスを持つ2つのコンポーネントに適切なアドレスをどのように提供できるかが分かります。
アドレスの競合を避けるために、I²Cバス上の各周辺デバイスはただ一つのアドレスを持っていることが必要です。しかし、複数の周辺デバイスに同じアドレスが割り当てられることもあります。図1の回路は、I²Cバスが同じアドレスを持つ2つの周辺デバイスの片方を選択できるようにしてアドレスの競合を解決しています。
よく使われているI²Cバスは、クロックラインおよび双方向性データラインを含むオープンコレクタ、2線インタフェースです。I²Cバスにおいては、コントローラ(マスター)が最初にデータラインにシリアルアドレスを送り出すことで特定のデバイス(スレーブ)を選択し、そして適切なコマンドやデータを送り出します。マスターおよびスレーブは、データラインをローに引き下げることにより両方向にデータを送ることができ、スレーブはクロックラインをローに引き下げることにより待機状態を発生できます。しかし、オープンコレクタ構造であるために、バスのスイッチングが複雑になっています。74HC157データセレクタやANDゲートのCMOS出力によってスイッチングを行うことはできません。
図1に示す周辺デバイスは、Philips® I²Cリアルタイムクロック(PCF-8583)および大型I²C EEPROM (Microchip® M-24LC16)です。いずれも内部16進スレーブアドレスがA0です。(EEPROMがアドレス範囲全体を占拠するため、これは避けることはできません。)アナログスイッチはどちらか片方のデバイスを接続します。クロックがローになる前にSDA信号がローになることがI²Cスタート条件で要求されるため、この選択にはデータライン(SDA)のみが関係します。デバイスの選択を行うため、マスターデバイスはデュアルSPSTアナログスイッチの状態を制御するポートピンを設定します。
MAX4733は、この機能に最適なデュアル、単極/単投(SPST)、CMOSアナログスイッチです。このノーマリオープンスイッチおよびノーマリクローズスイッチは、インバータやポートラインを追加する必要なく2:1セレクタ動作を実行します。MAX4733は低オン抵抗、低自己消費電流(1µA、max)を特長としており、最低2Vまで動作する仕様になっています。8ピンµMAX®、8ピンTDFN-EP、および9ピンチップスケールパッケージ(UCSP™)の3つのパッケージで提供されています。