DN-134: 電話のリングトーン生成

要求条件

電話機のベルが鳴ったとき、電話会社は具体的に何をしているのですか? この質問は誰もが電話会社になったのではないかと思えるほど、頻繁になされます。規制解除によって多くの新しい機会が開かれていますが、電話会社になりたいならまずベルを鳴らさなければなりません。

オープン・アーキテクチャのリングトーン発生器

自分のものにし、特定のニーズに合わせて回路基板上でレイアウトし、材料表に載せることができる設計がここにあります。最終的に、リングトーン発生の黒魔術(および高電圧)を制御できるようになるでしょう。

標準の実験用電源ではない

リングトーンの発生には、1つではなく60VDCと-180VDCの2つの高電圧(87VRMSを-48VDCにのせるため)が必要です。図1はリングトーン回路を動作させるのに必要な電圧を供給するスッチング電源の詳細図です。このスイッチャは5V~30Vのどの電圧からでも電力を供給でき、未使用時はシャットダウンします。図2はスイッチング電源に使用されている変圧器の組立表です。

図1. スイッチング電源

図1. スイッチング電源

図2. リングトーン発生用高電圧変圧器の組立表

図2. リングトーン発生用高電圧変圧器の組立表

クワッド・オペアンプによる電話機のリングトーン発生

電話機は、1つの韻律で、呼出しと休止のシーケンスに従って鳴ります。標準的な韻律は1秒のリングトーンの後に2秒の無音状態が続きます。LT®1491の最初の1/4を韻律発振器として使用します。その出力は1秒間VCCになり、ついで2秒間VEEになります。このシーケンスが3秒ごとに繰り返され、お馴染みのパターンを発生します。実際のベルの呼鳴は-48VDCに重畳された87VRMSの信号レベルの20Hz AC正弦波信号によって行われます。20Hz信号はゲート制御された20Hz発振器として動作するLT1491の第2アンプで作られます(図3参照)。

図3. 波形シンセサイザ

図3. 波形シンセサイザ

ローパス・フィルタとして構成されるLT1491の第3アンプは、不要な高調波をフィルタすることによって発振器の矩形波出力を正弦波に変換します。最後に87VRMSおよび-48VDCの部分がLT1491の第4アンプと2個の外付け15Vレギュレータによって処理されます。

残りは追求するのが最も困難な部分で、出力アンプが関係します。出力アンプでは、波形シンセサイザからの6VP-P信号がR12(図4参照)を通して仮想グランドに加えられ、正弦波信号電流を生成します。この電流はR15を流れるDC電流に加えられ、その結果生じた電流がR13を流れます。この段は正弦波を増幅し、オフセットして-48VDCバイアスに乗った87VRMSの正弦波になります。ここでのトリックは、電圧利得は単に電流方向を操作しているLT1491ではなく±15Vレギュレータにあることです。

図4. 完全なリングトーン発生回路

図4. 完全なリングトーン発生回路

この完全な回路(図4)には電話の受話器が持ち上げられたときに、それを検知するリング・トリップ・センス回路が含まれています。この回路は-180V~60Vの電源ウィンドウ内のどの電圧への出力短絡に対しても十分に保護されています。

著者

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Dale Eagar