3速度のファンコントローラを制御する超小型温度監視IC
要約
このデザインノートは、スイッチモードDC-DCコントローラと2つの低コスト温度モニターがどのように3速度のファンコントローラを構成するのかについて説明します。この回路はファンを制御し、ノイズと消費電力を減らします。DC-DCコントローラのMAX1626が使用されています。
同様のアイデアが「Electronic Design」の1999年2月22日号に掲載されました。
スイッチモードDC-DCコントローラを2個の低価格温度監視ICと組み合せて使用すると、3速度のファンコントローラ回路(図1)が構成されます。この回路は数多くのアプリケーションで役立ち、コンピュータ、温度コントローラおよびアラームシステムでノイズおよび消費電力を大幅に低減します。
IC3のピン接続変更で選択可能なシャットダウン機能とその出力電圧能力によって、このアイデアが実現可能になっています。その入力(アクティブロー3/5およびSHDN)に加えられるロジックレベル、そして正しい値の帰還抵抗(R2およびR3)によって、出力電圧レベル(1回に1つだけのレベル設定が可能)を0V、8Vおよび12Vに設定します。一般的に、下限電圧(VOUT1、この場合8Vに等しい)はR2/R3分圧抵抗器によって決定し、上限電圧(VOUT2、この場合12Vに等しい)はVOUT1と内部比の積によって決定します。
VOUT1 = 3.3 [(R2+R3)/R3]
VOUT2 = VOUT1(5/3.3)
温度監視IC (IC1およびIC2)は、工場からの出荷時に設定済みの内部スレッショルドを周囲温度が超えるとローに遷移するオープンドレイン出力(アクティブローTOVER)を備えています。この温度監視ICはそれぞれ小型サイズの5ピンSOT23パッケージに収められており、スレッショルドは+35℃~+115℃までの温度範囲になっています。温度がIC2のスレッショルド(ここでは+45℃)を超えると、このデバイスはそのSHDN端子をローにすることによりIC3をターンオンさせます。IC3のアクティブロー3/5入力はローの状態に維持され、温度が+65℃に上昇するまでOUTピンから3.3Vを供給します(ファンには8Vが出力される)。そのときにIC1の出力はローになり、これによりQ2がターンオフし、R6によってIC3のアクティブロー3/5入力がハイになり、ファンに12Vの出力電圧が印加されます。Q2は信号の反転およびアクティブロー3/5入力のロジックハイスレッショルド(V+ - 0.5V)への適合のために必要です。
IC3は100%のデューティサイクルを生成する能力を備えているので、このアプリケーションで非常に低いドロップアウト電圧(1Aの負荷時で約150mV)を達成しています。変換効率は出力電圧と無関係ですが、出力電流に応じて変動し、10mAから1Aまでの範囲の電流変動に対して85%~96%までの範囲になります。平均的な変換効率は90%です。ファンを必要としない低い温度のときには(+45℃以下)、スイッチングレギュレータがシャットダウンし、消費電流は約100µAに低減されます。