MAX2141のXTALポートインタフェースについての推奨事項

要約

このアプリケーションノートでは、MAX2141 XM衛星ラジオレシーバのXTALポートのインタフェース回路についての推奨事項を説明しています。MAX2141のXTALポート入力のワーストケースの負性抵抗が257Ωであるため、XMラジオが現在承認している水晶振動子による発振の起動が保証されています。また、直列コンデンサの値の選択についても説明しています。

はじめに

MAX2141における2つの重要なXTALポートのインタフェース検討事項は、発振器の確実な起動と、発振周波数の最適化です。以下では、XM衛星ラジオレシーバMAX2141の簡単な動作概要の説明後、これらの検討事項について説明します。

動作概要

MAX2141の完全低電力のレシーバは、XM衛星ラジオアプリケーション用に設計されたものです。その機能ブロック図(図1)に示すように、このレシーバには、RFAGCとIFAGCの自己完結型ループが含まれています。チャネル選択度は、外付けのSAWフィルタとオンチップのローパスフィルタによって達成されます。内蔵のフラクショナルNシンセサイザによってきめ細かな周波数ステップが可能となり、またソフトウェアAFCループを実現することができます。

図1. MAX2141の機能ブロック図

図1. MAX2141の機能ブロック図

負性抵抗と発振器の起動

発振器の重要な特性は、想定されるあらゆる起動条件下で、発振を起動しなければならないということです。これを保証するためには、起動時にMAX2141のXTALポートの最小直列負性抵抗が水晶振動子の最大ESRよりも大きくなければなりません。¹

図2は、起動時にシミュレートしたXTAL入力のMAX2141公称負性抵抗が、23.92MHzで1159Ωであることを示しています。ワーストケースのプロセス状態、温度、および電源電圧でのシミュレーション結果は、23.92MHzで257Ωの負性抵抗を示しています(図3を参照)。推奨する水晶振動子(Suntsu SCX123-23.920MHz)の最大ESRは60Ωであり、これはXMが現在許可している最大値に一致しています。ワーストケースの負性抵抗は、水晶振動子の最大ESRよりも4.3倍大きいため、発振器はあらゆる条件下で発振することが保証されます。

図2. 公称のプロセス、温度、および電源電圧でシミュレートしたMAX2141のXTALピンの負性抵抗

図2. 公称のプロセス、温度、および電源電圧でシミュレートしたMAX2141のXTALピンの負性抵抗

図3. ワーストケースのプロセス、温度、および電源電圧でシミュレートしたMAX2141のXTALピンの負性抵抗

図3. ワーストケースのプロセス、温度、および電源電圧でシミュレートしたMAX2141のXTALピンの負性抵抗

直列コンデンサの値の選択

Suntsu SCX123-23.920MHzの水晶振動子は、12pFの並列負荷容量を必要とします。MAX2141のXTALポート入力では、寄生容量をコンデンサC1によって調整することで、この必要な負荷容量が得られます。図4を参照してください。C1 (100pF、Murata GRM1885C1H101J)を最適化して発振周波数を微調整します。

同様の手法は、代替の水晶振動子(23.920MHz版のKSS CX-96Fなど)でも使用することができます。

図4. MAX2141のXTALポートの標準的な外付け回路

図4. MAX2141のXTALポートの標準的な外付け回路

結論

最大ESRが60Ω以下の水晶振動子をMAX2141のXTALポートに接続すると、あらゆる条件下で発振器の起動が保証されます。推奨する水晶振動子はSuntsu SCX123-23.920MHzです。コンデンサC1を最適化して発振周波数を微調整します。



参考資料

¹Boyles, John W. "The Oscillator as a Reflection Amplifier: an Intuitive Approach to Oscillator Design," Microwave Journal, June 1986, pp 83–98