利得ステップを搭載したMMDSバンド(2.65GHz)用のLNA

要約

MAX2645は、シリコンゲルマニウム(SiGe)の低ノイズアンプ(LNA)で、25dBの利得ステップ、シャットダウンモード、および調整可能なIP3などの特長があります。このLNAは、MMDS (周波数範囲が2.65GHz)で使用するワイヤレスブロードバンドアプリケーション用に最適化されています。MAX2645は、高利得モードでは、+17.5dBの利得、2.0dBのノイズ指数、および+3.7dBmのIIP3を実現しています。またMAX2645は、低利得モードでは、7.9dBの挿入損失と+15.8dBmのIIP3を実現しています。一般的な+3.3Vの動作電源電圧での供給電流は低く抑えられており、高利得モードで8.9mA、低利得モードで2.7mA、およびシャットダウンモードでは標準で0.1µAです。

表1は、2.65GHzにおけるMAX2645の動作性能を一覧で示しています。2.65GHz用にMAX2645を最適化するために使用する回路図を図1に示します。表2は、部品リストです。図2~6は、2.6GHz~2.7GHzの周波数帯域での、高利得と低利得モードにおけるLNAの性能を示したものです。同調コンデンサは、一般的なMurata 0402 GRP1555C (GRM36)シリーズで、同調インダクタはMurata 0402 printed LQP10Aシリーズです。詳細については、MAX2645 SiGe LNAのデータシートEVキットのデータシートを参照してください。

表1. 2.65GHzにおけるMAX2645 SiGe LNAの性能
Mode ICC (mA) Gain (dB) NF (dB) IIP3 (dBm) S11 (dB) S22 (dB)
High Gain 8.9 +17.5 2.0 +3.7 10.5 19.4
Low Gain 2.7 -7.9 14.2 +15.8 8.4 8.2
注:VCC = +3.3V, RBIAS = 20kΩ

図1. 2.65GHzにおけるMAX2645 SiGe LNAの性能

図1. 2.65GHzにおけるMAX2645 SiGe LNAの性能"

表2. 部品リスト
Designation Quantity Description
C1 1 2.0pF ±5% ceramic capacitor (0402) Murata GRM36C0G020C50
C2 1 47pF ±5% ceramic capacitor (0402) Murata GRM36C0G470J50
C3 1 10µF, 16V tantalum capacitor AVX TAJC106K016
C4, C5 2 0.1µF ±10% ceramic capacitors (0603) Murata GRM39X7R104K016
C6 1 33pF ±5% ceramic capacitor (0402) Murata GRM36C0G330J50
C7 1 10pF ±5% ceramic capacitor (0402) Murata GRM36C0G100D50
L1 1 3nH ±5% inductor (0402) Murata LQG15HN3N0S02
L2 1 6.8nH ±5% inductor (0402) Murata LQG15HN6N8J02
L3 1 5.6nH ±5% inductor (0402) Murata LQG15HN5N6S02
R1 1 20kΩ ±1% resistor (0603)

図2. MAX2645の「利得 対 周波数」のグラフ

図2. MAX2645の「利得 対 周波数」のグラフ

図3. MAX2645の「ノイズ指数 対 周波数」のグラフ

図3. MAX2645の「ノイズ指数 対 周波数」のグラフ

図4. MAX2645の「入力IP3 対 周波数」のグラフ

図4. MAX2645の「入力IP3 対 周波数」のグラフ

図5. MAX2645の「入力リターンロス 対 周波数」のグラ

図5. MAX2645の「入力リターンロス 対 周波数」のグラ

図6. MAX2645の「出力リターンロス 対 周波数」のグラフ

図6. MAX2645の「出力リターンロス 対 周波数」のグラフ