車載インフォテイメントが主流に向かう、高集積化による機能の高付加価値化
要約
このアプリケーションノートでは、自動車メーカーが、現行の民生品からの提案と車載環境に対する高い信頼性を両立させたインフォテイメントのアーキテクチャを実現することを、マキシムの高性能ICの幅広い製品群がより容易にしている方法を解説します。
はじめに
自動車ユーザーは、ナビゲーションや通信サービスなどの安全機能と家電製品の幅広さの両方を取り込んで進化したインフォテイメントのプラットフォームを求め続けています。かつて高額な贅沢品はすべての乗り物に導入することができませんでした。しかし今日ではユーザーは低価格モデルにおいてすらこれらの機能を求め始めました。
自動車メーカーはこれらのサービスを提供するための妥当なコストと品質面で、どのアーキテクチャが正しいのかを判断することに苦労しています。ハードウェアとソフトウェア開発の両方のコストが増大し続ける中で、ユーザーの要求する機能と性能に遅れないようについて行くことがより難しくなっています。多くの異なったプラットフォームと車種によって開発費が分散する中で、自動車メーカーにとってさらに厳しい問題は、大衆車から贅沢な高級車までに汎用性があり費用対効果の高い解決策を採用しなければならない事です。
付加機能で価値増大
マキシムの高性能ICの幅広いポートフォリオによって、現行の民生品からの提案と車載環境に対する十分な堅牢性を両立させたインフォテイメントのアーキテクチャを自動車メーカーがどのように容易に実現するかを解説します。マキシムはその独自プロセス技術と設計の専門知識を活用することによって、部品点数を減らし、スペースを節約し、最終的には飛躍的に設計を簡素化する高集積のソリューションを提供します。
マキシムの映像伝送用LVDSトランシーバは厳しいESD保護、DCバランス、優れたEMI性能を提供しつつ、大幅に最終的なコストを下げることができます。シリアライザ/デシリアライザ(SerDes)チップセットのMAX9257/MAX9258は車載用ビデオアプリケーションでのCANまたはLINインタフェースを不要にします。チップセットはより低コストのケーブルとコネクタの使用を可能にします。1本の差動ラインまたはツイストされたペア線上で完全なディジタルビデオリンクを成形することによって、チップセットは最大18ビットの並列データを高速な直列のデータストリームに変換することができます。
リアシートエンターテイメントシステムにおいても、シングルチャネルの同期信号(LOS)アラームMAX7461のようなマキシムの高集積のソリューションによってメリットを得ることができます。このデバイスはNTSC、PAL、およびSECAM標準テレビ(SDTV)システムにおけるコンポジットビデオ信号の同期検出を可能にします。MAX7461の高度な検出回路は、ノイズによる間違ったLOSアラームを防止することによって、堅牢な性能を提供することができます。したがって従来のLOS監視システムに必要とされたマイクロコントローラは不要です。
低IFチューナへのダイレクトコンバージョンのMAX2170/MAX2171はディジタルラジオ(DAB)、モバイルテレビ(T-DMB)、および単機能チューナのFM信号の設計者をサポートします。このチューナは高水準の部品集積度を実現し、低電力チューナ内蔵設計が可能です。さらにこれらは世界の主要なほとんどのRF標準と互換性があり、再利用を容易にし、世界各地での採用を可能にします。
インフォテイメントシステムの堅牢な保護機能要求
車載用の設計に対する厳しい要求は、コールドクランク、ロードダンプ、そして始動/停止の諸条件においてインフォテイメントシステムのシームレスな動作を保証することです。これらの過酷な動作条件に耐えるように設計されたマキシムの車載用ICの多くは、堅牢な保護機能を集積化しています。したがって、信頼性の高い動作を保証しながらよりシンプルな設計を可能にします。
T電源供給コントローラのMAX15004/MAX15005は蛍光表示管ディスプレイ(VFD)へのダメージを防止するために出力過電圧保護機能を内蔵しています。このコントローラは車載用の入力電圧範囲4.5V~40V (ロードダンプ)で動作します。VCCが外部バイアス電圧から供給される場合、スタートアップ後に2.5Vの入力電圧までサポートします。これらのコントローラは、固定周波数の絶縁/非絶縁電源の実装に不可欠な構成要素をすべて内蔵しています。
LCDバックライトアプリケーションでは、高輝度(HB) LEDドライバのMAX16826は設計者に極めて強固で柔軟なソリューションを提供します。このデバイスはロードダンプトランジェントに対して最大40Vまで耐えることができ、コールドクランクの条件下で動作することができます。さらに、システム実装コストを最小化し、柔軟性を強化するためにI²Cインタフェースを特長として備えています。I²Cインタフェースによって、スイッチングレギュレータの出力電圧と各チャネルのLED電流値のダイナミックな設定が可能になります。この機能はLEDドライバ回路の電力効率を最大化し、システムメーカーがLED 選択の幅を広げることを可能にします。
常時オン機能は常に電力を消費
常時オンのアプリケーション数の増大(盗難防止システム、キーレスエントリ受信機、およびタイヤの空気圧監視システムなど)においては、設計者は自己消費電流の削減に注意が必要です。
MAX15006/MAX15007は常時オンのアプリケーションに理想的なソリューションです。これらのデバイスは入力電圧が4 V~40Vで動作し、出力電流は最大50mAまで供給し、自己消費電流は無負荷時にわずか10µAです。内蔵pチャンネルパスデバイスによって全負荷時でも自己消費電流を90µA (typ)と低く維持されます。MAX15007の自己消費電流は、シャットダウン時にはわずか3µAです。
マキシムのインフォテイメントアプリケーションに最適化されたICの製品群には、この簡潔なアプリケーションノートで紹介しているよりも更に幅広い用意があります。関連製品の詳細情報および完全なラインアップについては、マキシムのウェブサイトのオートモーティブをご覧ください。