鉛フリー実装フローで高鉛(Pb) DS2502フリップチップを実装

要約

電気部品および電子部品で鉛(Pb)を使用することは、近年、特定有害物質除去に関する指令(RoHS)を通じて、欧州連合によって禁止されました。この規制のため、実装工程は鉛フリー(Pbフリー)であることが必要です。DS2502フリップチップダイは、RoHSの規定から除外されていますが、鉛フリーのリフロー工程で問題なく実装されています。このアプリケーションノートでは、使用する鉛フリーの実装工程、および実装後に見られる信頼性ストレスについて詳しく説明します。テストデータは、DS2502フリップチップダイがこのアプリケーションノートに掲載されたパラメータを使った鉛(Pb)フリーリフロー実装工程で実装可能であることを示しています。

はじめに

欧州連合による近年の規制によって、電気部品および電子部品で鉛(Pb)を使用することが制限されています。これらの規制は、正式にはDirective 2002/95/ECと呼ばれ、一般的には特定有害物質除去に関する指令(RoHS)と呼ばれています。指令の対象外となるすべての部品を記載した付属書類(5ページ)がRoHSに添付されています。付属書類の7項に、「高溶融温度タイプの半田における鉛(すなわち、85%以上の鉛を含む錫/鉛の半田合金)」と記載されています。第7項にある除外に基づき、「フリップチップ」としてよく知られるマキシムのバンプ技術は、高い融解点、95%の鉛(Pb)、半田バンプ構造によりRoHS規制対象外です。DS2502の有害成分のコピーは付録Aに含まれています。

鉛の環境への影響

米国では、1998年に約10,900トンの鉛が電子機器の半田付けに使用されました。この鉛は最終的には他の電子廃棄物とともに廃棄場に廃棄されます。2006年には米国の廃棄場に、460万トン以上の電子廃棄物が捨てられたことになります。RoHS指令が広く導入されると、電子部品を半田処理する際に消費される鉛の量、および最終的に廃棄物として処分される鉛の量ともに減少させることができます。

RoHS指令に準拠するために、多くの製造工場が鉛(Pb)フリーの実装工程に移行しました。この実装工程によって、廃棄場に捨てられる鉛は確実に減り、最終的にはよりクリーンな環境を推進することになります。

RoHS指令により、鉛(Pb)フリーリフロー工程においては多くの実装工程で鉛(Pb)フリー半田の使用が義務付けられました。フリップチップダイはRoHS指令の規制対象外ですが、マキシムは250℃のピークリフロー温度実装工程を使って、396以上のフリップチップを実装しました。実装後、フリップチップは業界標準の信頼性ストレス試験を行いましたが、DS2502のフリップチップダイへの致命的な不良は確認されず、信頼性ストレスにも合格しています。このアプリケーションノートでは、使用されたリフロー工程および関連する信頼性ストレスが記載されています。

鉛(Pb)フリーの基板実装のリフロー工程

DS2502フリップチップ基板は、Tg > 170℃の高温FR4 PC基板材を使用して実装しました。この基板のCAD図面を付録Bに掲載しています。Indium Corporation of America®のインジウム5.1鉛(Pb)フリー半田ペーストを使用してフリップチップを基板に取り付けました(インジウム5.1LSの製品データシートを参照してください)。DS2502の基板は、5ゾーンのBTUモデルSSA 70のリフロー炉に通して実装しました。炉の中のコンベアは、毎分25インチに設定し、ゾーン1~5はそれぞれ185℃、200℃、215℃、270℃、および300℃に設定しました。リフローピーク温度は250℃でした。リフロープロファイルを以下の図1、および付録Cにも示しています。

図1. DS2502のリフロープロファイル
図1. DS2502のリフロープロファイル

DS2502の信頼性ストレス

鉛(Pb)フリーの実装工程の後、業界基準の信頼性ストレスを396の実装基板に加えました。これらのストレスには、動作寿命、保存寿命、温度サイクル、温度/湿度バイアス、およびバイアスなしの耐湿性が含まれます。DS2502フリップチップダイには、すべてのテストが完了した後で致命故障はありませんでした。

まとめ

マキシムのDS2502のフリップチップダイは、RoHS付属資料の7項にあるようにRoHS指令の規制対象外ですが、環境への重要性を考慮し、鉛(Pb)フリーリフロー実装工程を使ってこのダイを実装することができます。マキシムはすでに250℃のピークリフロー温度実装工程を使って、396以上のフリップチップ基板を実装しました。実装後、この基板は業界標準の信頼性ストレス試験を行いましたが、DS2502のフリップチップダイへの致命的な不良は確認されず、信頼性評価にも合格しています。したがって、DS2502フリップチップダイはこのアプリケーションノートに記載されたパラメータを使って鉛(Pb)フリーリフロー実装工程で実装可能です。

付録A. DS2502の有害成分

付録A. DS2502の有害成分
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付録B. 高温FR4基板材の図面

付録B. 高温FR4基板材の図面
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付録C. 鉛(Pb)フリーの半田リフロープロファイル

付録C. 鉛(Pb)フリーの半田リフロープロファイル
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