Rohde & Schwarzのケース・スタディ


Rohde Schwarz来るべき5Gに向けて―― アナログ・デバイセズがRohde & Schwarzの新製品開発をサポート

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ワイヤレス通信はいよいよ5G(第5世代移動通信システム)の時代を迎えようしています。そうしたなか、テスト/計測業界は、この大きな革新に正面から対応するための重大な課題に直面しています。5Gは一歩の前進ではなく、極めて大きな跳躍に相当する進化であると言えます。そのため、テスト/計測業界は、これまでにない高い性能を備えるデバイスやアプリケーションに対応しなければなりません。

5Gの新たなエコシステムは、従来よりもはるかに多くのデバイスのネットワーク接続、より小さな遅延、より高速な伝送を実現する各種の技術を基盤として構築されます。また、その多様なユース・ケースから、使用されるコンポーネントには厳しい要件が課せられます。この状況に対応するために、テスト/計測機器においては、次の2つの能力が不可欠な要素となります。

  1. 従来よりも格段に広い周波数範囲(28GHzや39GHzのミリ波を含む)にわたって性能を測定できること
  2. そうした測定を、これまで達成できていなかった帯域幅(1GHz超)、これまで以上のS/N比で実行できること

5Gの具現化には、事前の対応が必須

エレクトロニクスの分野では、最新の技術が実用化されるよりも前に、その技術の評価に対応できるテスト/計測技術を確立する必要があります。5Gほどの破壊的な力や大きな影響力を持つ最新技術を対象とする場合に、競合他社よりもいち早く動いて先を進むには、1つの条件を満たす必要があります。それは、コンポーネントの供給メーカーとしての役割と、パートナー企業としての役割を兼ねることができるサプライヤとの強力な関係を築くことです。これまで、エレクトロニクス分野を対象とするテスト/計測機器(ETM:Electronic Test and Measurement)メーカーは、ワイヤレス・ブロードバンド技術が次の世代へと移行するたびに、次のような手法で対応を図っていました。すなわち、ソフトウェアに比重を置いたアップグレードによって変化に適応し、ハードウェアを変更することによるリスクを緩和するという手法です。ただ、そのようなことが行えたのは、これまではよく知られた周波数帯が使用されていたからです。5Gにおいては、無線通信においてミリ波への移行が進められます。そのため、従来と比べてはるかに先進的なソリューションが必要になります。「Rohde & Schwarzは、そのような設計の難易度は格段に高くなるということを把握していました」と、アナログ・デバイセズで計測担当ゼネラル・マネージャを務めるDuncanBosworthは述べています。そこで、Rohde & Schwarzは、計測器に必須となるコンポーネントの最大限の性能を確実に引き出せるようにするために、アナログ・デバイセズとの長期にわたる関係を活かそうと考えました。

RS-ProductsBosworthは「Rohde & Schwarzに対して、設計プロセスの早い段階でアナログ・デバイセズのコンセプトを伝えました。その上で頻繁にディスカッションを行い、定期的に最適な人材を派遣しました」と述べています。そうしたアプローチによって協調関係を築くことで、目標に向けて両社の足並みをそろえることができました。それにより、Rohde & Schwarzは、アナログ・デバイセズのソリューションを活用すれば、プロジェクトで達成すべき非常に高い性能を満たすことが可能だという確信を得ることができたのです。

テスト向けのイノベーションを市場へ

Rohde & Schwarzは、ベクトル信号発生器「R&S® SMW200A」とシグナル・スペクトラム・アナライザ「R&S® FSW」の2製品を新規に開発しました。どちらの製品も、ノイズ・フロアを低く抑えつつ、高周波信号のテストを実施することを可能にします。このことは、多様なアプリケーションに対して価値をもたらします。また、どちらの製品も5Gの課題に対応するように設計されており、最終製品に求められる要件をはるかに上回るノイズ・レベルで最大2GHzの変調帯域幅のミリ波信号を生成/解析することが可能です。いずれも、ミリ波帯の周波数と従来からセルラ式携帯電話で使われている6GHz未満の周波数の両方で、5G対応機器の構成要素をテストするために使用できます。そして、両製品に採用されているのが、アナログ・デバイセズのデータ・コンバータとRFコンポーネントです。

顧客のニーズを満たす高性能の製品

Rohde & Schwarzの新製品では、従来よりもはるかに高い周波数とはるかに広い帯域幅に対応する必要がありました。そのため、アナログ・デバイセズには、非常に高い性能のコンバータとRFコンポーネントを提供することが求められました。

アナログ・デバイセズのコンバータとRFコンポーネントを採用したことにより、R&S® SMW200Aでは、内蔵ベースバンド機能によって最大2GHzの変調帯域幅に対応し、4Gと5Gの規格を満たすことができました。また、このベクトル信号発生器は、モジュール式のスケーラブルなアーキテクチャを採用しており、将来の要件にも対応できるように設計されています。そのため、ユーザはアプリケーションに応じて同製品を最適化したり、必要に応じてアップグレードしたりすることが可能です。

一方のR&S® FSWは、卓越した変換速度と直線性を備え、IF/RFサンプリングを可能にする先進的なコンバータ技術を採用しています。そのため、このシグナル・スペクトラム・アナライザは、解析帯域幅を最大2GHzまで高めるというニーズにネイティブに対応することができます。

密な連携に基づくサポート

Rohde & Schwarzが対象とする顧客は、次世代の製品を市場に投入する前に、それが正しく動作することを確認する必要があります。ここで、テスト装置はテストの対象となる機器よりも高い性能を備えていなければなりません。コンポーネントのデータシートに書かれた仕様がテスト装置の要件を満たしていることが確認できたとしても、それだけで万事が解決するというわけではありません。自社のコンポーネント製品の性能を最大限に引き出せるサプライヤと密に連携できるかどうかが大きな違いを生みます。Rohde & Schwarzで信号発生器/オーディオ・アナライザ/パワー・メータ担当バイス・プレジデントを務めるChristophPointner氏は「強力な協調関係とオープンなコミュニケーションが、当社にとって大きなメリットになりました。そのおかげで、アナログ・デバイセズであれば当社が求める性能レベルを必ず達成してくれると確信することができたからです。実際、その成果が新製品として結実しています」と述べています。アナログ・デバイセズからの支援を得ることで、Rohde & Schwarzは顧客に対してより大きな価値を提供すべく自社のリソースを投入することができました。

ニーズに応じたソリューションの提供

すべてのETMメーカーが、シグナル・チェーンを構成するすべてのコンポーネントを開発できるだけのリソースを保有しているわけではありません。恐らくは、コンポーネントのサプライヤから製品とノウハウの提供を受けることが必要になるはずです。アナログ・デバイセズは、4GHz以上の帯域幅に対応する次世代の計測器に使用可能な数多くの高速コンバータ/RFコンポーネントを製品化しています。また、ETM市場に関連する深い専門知識を有しており、それをベースとするサポートを顧客に提供しています。「革新的な技術や製品を開発するだけでなく、お客様がそれらを活用できるよう支援するための革新的な方法を追求しています」とBosworthは述べています。実際、そうした取り組みにより、広範なサポートを提供することができています。またBosworthは、「アナログ・デバイセズのシステム・エンジニアリング・チームは、サポートとサービスに加え、計測グレードのシグナル・チェーン全体を網羅する製品と設計技術によって、顧客が抱えるリソース不足の問題を解消します」と説明しています。

未来に向けた協調

多くの人にとって、5Gはすぐ近くにある未来です。新たな技術の商用化が目前に迫れば、焦点はETMに絞られるようになります。ETMメーカーにとって、5Gの時代は既に到来していると言えます。5Gのエコシステムでは、これまでにない新たな技術が利用されます。そのため、従来よりもはるかに広い周波数範囲にわたり、格段に広い帯域幅で性能を測定する技術が求められます。つまり、ETM製品に対する要件はより厳しくなるということです。

ETMメーカーが5Gの課題に対応するには、より優れた機能/性能を備えるコンポーネント製品だけでなく、専門知識と協調による効果を活用するための新たな関係性が必要です。Rohde & Schwarzは、5G対応の装置の開発に必要な知識と能力を有していました。加えて、コンポーネント製品とサポートを提供するアナログ・デバイセズとの提携関係を築くことができました。アナログ・デバイセズとの連携により、Rohde & Schwarzは、5G向けシステムの構成要素について信頼性の高い計測を行うための先進的な製品を開発することができたのです。

「強力な協調関係とオープンなコミュニケーションが、当社にとって大きなメリットになりました。そのおかげで、アナログ・デバイセズであれば当社が求める性能レベルを必ず達成してくれると確信することができたからです。実際、その成果が新製品として結実しています」
Christoph Pointner氏、Rohde & Schwarz 信号発生器/オーディオ・アナライザ/パワー・メータ担当バイス・プレジデント

5Gの計測に関する詳細ページ


Rohde & Schwarzについて

Rohde & Schwarzは、プロフェッショナル・ユーザ向けに、革新的な情報通信技術製品を開発/製造/販売しています。テスト/計測、放送/メディア、サイバーセキュリティ、セキュアな通信、監視、ネットワークのテストに焦点を絞り、様々な業界や行政機関向けの市場に対応しています。80年以上前に設立された独立系企業として、70ヵ国以上で広範なセールス/サービス・ネットワークを展開しています。2017年6月30日現在の従業員数は約1万500人です。2016/2017会計年度(7月~6月)におけるグループ全体の純売上高は約19億ユーロ(約2400億円)でした。ドイツのミュンヘンに本社を置き、アジアおよび米国にも地域拠点を設けています。

R&S®はRohde & Schwarz GmbH&Co. KGの登録商標です。