TD-SCDMAリファレンスデザインV1.0
要約
このアプリケーションノートでは、マキシムのTD-SCDMAリファレンスデザインV1.0について説明します。TD-SCDMAは中国の第3世代(3G)規格です。中国政府は、3つの周波数帯域、1880~1920MHz、2010~2025MHz、および2300~2400MHzを割り当てています。マキシムのTD-SCDMAリファレンスデザイン1.0では、2015~2025MHz帯域に焦点を当てています。これはTD-SCDMA用に割り当てられた最初の周波数帯域です。ここでは、ブロック図、テスト結果、PCB (プリント回路基板)レイアウトの外形図、および測定性能について示しています。
追加情報:
- ワイヤレス製品ラインのページ
- MAX2306、MAX2308、MAX2309のクイックビューデータシート
- MAX2361、MAX2363、MAX2365のクイックビューデータシート
- MAX2470、MAX2471のクイックビューデータシート1
- アプリケーションテクニカルサポート
はじめに
TD-SCDMA (Time Division Synchronous Code Division Multiple Access:時分割同期符号分割多元接続)は、3つの3G規格の1つです。中国政府は先ごろ(2002年10月)、155MHzの帯域幅をこの規格に割り当てました。TD-SCDMA規格には、1880~1920MHz、2010~2025MHz、2300~2400MHzの3つの周波数帯域があります。マキシムは現在、これらの周波数帯域で動作するRF ICを数多く製造しています。また、ここで記した性能によって証明されるとおり、新たな規格にも対応しています。
このアプリケーションノートでは、マキシムのTD-SCDMA V1.0 (バージョン1.0)リファレンスデザインの性能を示し、設計仕様とテスト結果について説明します。無線機の性能仕様の完全版については、3GPP (Third Generation Partnership Project) (www.3gpp.org)による仕様25.945 V5.0.0に記載されています。
TD-SCDMAリファレンスデザインの概要
マキシムのTD-SCDMAリファレンスデザインバージョン1.0は、シングルモードでシングルバンドのトランシーバで、TD-SCDMA規格への対応を目的としたものです。このリファレンスデザインで動作するICはすべてマキシムの製品です。ただし、高速ロックタイムの要件を満たすのに必要なPLLは除きます。このトランシーバは2.9~3.6Vの単一電源で動作し、受信モードで約73mA、送信モードで約373mAの電流を消費して、アンテナポート端で+16dBmを出力します。このリファレンスデザインは、電話機のトランシーバの全体設計を示すもので、業界でも最高の集積化を実現しています。
無線機全体が40mm x 65mmの片面PCB (プリント回路基板)に収まるように設計されています。無線トランシーバのブロック図を図1に示します。このトランシーバはTD-SCDMA電話機無線の仕様である、3GPP TR 25.945 (5.1~5.3項)「1.28Mcpc UTRA TDDオプションのRF要件」に適合するように設計されています。
図1. TD-SCDMA RFトランシーバのブロック図
インタフェースボードのブロック図を図2に示します。このボードは、無線機を評価するための便利なテストツールとして役立ちます。ロジックのI/Oとレジスタはすべて、DB25のPCパラレルポートコネクタ、DIPスイッチ部、およびジャンパを通じてプログラミングします。ポテンショメータは可変AGC電圧を、またバッファはシングルエンドのベースバンドI/OをSNAコネクタを通じて供給します(ジャンパの選択によって差動I/Q TXを使用できます)。成熟したベースバンドプロセッサなしで無線をテストするため、インタフェースボードには、I/Q入出力上に調整可能なベースバンドフィルタを搭載しています。インタフェースボードの左下にはコネクタも設けられていますが、これはトランシーバを全速力で動作させる場合のプログラマブルロジックデバイスを取り付けるためのものです。これにより、ダイナミックモードのスイッチングをリアルタイムに観察することができます。
図2. インタフェースボードのブロック図
図3は、無線機をインタフェースボードに取り付けた状態の写真です。図4は、無線機の主要部分の位置とPCBの寸法を示しています。
図3. インタフェースボード上のTD-SCDMA
図4. TD-SCDMAトランシーバ寸法
基本仕様の概要
PLL (位相ロックループ)と周波数の安定性
テストデータはすべて室温(≒25℃)で採取したものです。
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-87 5KHz offset -89 10KHz offset -98 50KHz offset -110 100KHz offset |
-82 -83 -95 -110 |
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-87 -88 -104 -120 |
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注*:使用した最終周波数誤差は40kHzですが、標準的な要求は、120µs後、周波数を±7kHzの範囲に収める必要があるというものです。
受信の測定値対目標性能
テストデータはすべて室温(≒25℃)で採取したものです。
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Res:100KHz |
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注1:TR 25.945/5.3.4は、最大入力電力-25dBmを要求しています。入力3次インターセプトポイントがこの電力レベルよりも大きくなるようにしなければなりません。18dBを考慮すると、入力3次の仕様を-7dBmにすべきであると考えられます。
注2:この設計のSAWフィルタは十分なものではありません。したがって将来、この仕様を満足する改良SAWフィルタに取り替える予定です。
注3:RFのバンドパスフィルタのリジェクションが不十分なため、2095MHzにおける帯域外ブロッキングは満足していません。このフィルタを2095MHzで少なくとも10dBの除去が可能なフィルタに交換すれば、この問題は解決されます。
送信の測定値対目標性能
テストデータはすべて室温(≒25℃)で採取したものです。
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+21 for Class 3 |
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注1:今回のテストでは、-78dBm/1.28MHzはAgilent 8560Eのノイズフロアであり、実際の出力電力ではありません。この仕様をテストするには、利得が30dBを超える、性能の良いLNAが必要です。オフ電力が-96dBmを超えるとレシーバに影響するものと考えられるので、目標は-96dBmです。
レシーバのテスト
テストデータはすべて室温で採取したものです。システム関連の多くの仕様、たとえば感度や相互変調、ブロッキング、TxとRxの発射、スプリアス応答、スペクトルマスクなどを測定しました。以下のテスト結果が証明するように、マキシムのTD-SCDMAリファレンスデザインV1.0は、TD-SCDMA無線機としての機能を完全に満たします。
基準感度およびカスケードNF (ノイズ指数)
3GPP TR 25.945の感度に関する仕様は以下のとおりです。レシーバテストではこのレベルをREFSENSと呼んでいます。このレベルでは、入力が単一符号化のDCH転送用物理チャネル(DPCH:Dedicated Physical Channel)であるものと想定しています。つまりベースステーションがテスト中の電話機にのみ送信しているような状態です。また、全受信エネルギーがDPCHに対応し、パイロットチャネルやその他のいかなる信号にも対応しない状態を想定しています。REFSENSにおいて、BER (Bit Error Rate:ビットエラー率)は0.001に劣化しました。
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TR 25.945によると、2dBのマージンを考慮すれば、受信経路の最大ノイズ指数が9dBより大きくはできないことがわかります。したがって、基準感度の計算にNF (Noise Figure:ノイズ指数)を使用します。
通常、ノイズ指数はノイズ指数アナライザで測定しますが、カスケードノイズ指数を測定するときは、RFボードのアンテナ入力からI/Q出力までを測定します。I/Q出力の周波数は非常に低く、NFアナライザでは測定できないため、「直接ノイズ測定」を利用して、カスケードノイズ指数を測定します。
ノイズフロア = -17dBm + NF + G + 3ノイズフロアとGを測定すれば、NFは簡単に推定できます。図5を参照してください。
図5. カスケードNFのテス
テスト結果:
PRFin = -96.1dBm および PIQout = -0.37dBm、ゆえに G = 95.7dBノイズフロア = -66.3dBm/Hz、ゆえにNF = 174 + (-66.3) - 95.7 - 3 = 9dB
備考:
利得(95.7dB)を設定すると、RxQレベルは入力信号なしで約1.1Vp-pになります。
テスト計測器:
Agilent 8648C信号発生器
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
利得制御範囲
レシーバの利得制御範囲は、レシーバのベースバンド出力電圧の固定振幅レベルによって規定されます。今回の測定では、50Ωの負荷で-17.5dBmを使用して特性を測定しています。TD-SCDMA仕様のTR25.945/5.3.3&4で要求される受信の利得制御範囲は80dBです。このリファレンスデザインのレシーバでは、2箇所でカスケード利得を制御しています。1箇所はLNAの利得ステップ制御(MAX2538内部)、もう1箇所はIF VGA (MAX2309内部)での連続利得制御です。
- LNAによる利得ステップ:20.4dB
- AGC電圧によって変動するカスケード利得
図6. カスケード受信利得対AGC (利得モードでのLNA)
備考:
上記の曲線から、利得のダイナミックレンジは約100dBであることがわかります。VGCが2V~0.9Vに変化するときには、利得は直線的に変化します。LNAの利得ステップを考慮すれば、利得の全体範囲は約120dBになることに留意してください。
テスト計測器:
Agilent 8648C信号発生器
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
フロントエンドIIP3のテスト
フロントエンドIIP3 (入力3次インターセプト)にはLNAとミキサが含まれます。以下のテスト手順では、入力CW信号とRFLOとの差がIFよりも大きいことに留意してください。この状態では、IF SAWフィルタが、混合されたこれらの信号を大きく抑制するため、バックエンド回路が非直線性の原因になることはありません。
アンテナ部にて信号結合器を利用して、2018.2MHzと2026.2MHzの2つのCW信号を入力します。LNAとRFミキサの非直線性のため、帯域内で3次相互変調の出力が生成されます(RFLO = 1747MHz、IFLO = 526MHz)。スペクトラムアナライザを使用して、200kHzで観察してください。このテストは、指定のVGC (Gain Control Voltage:利得制御電圧)と利得設定で実施するようにしてください。
以下の計算手順を参照してください。
IM3 (dBc) = Pout - Pout_IM3また、図7のテストのセットアップも参照してください。IIP3 = Pin + IM3 / 2
図7. IIP3テストのセットアップ
テスト結果:
A:高利得でのLNAテスト条件:VGC = 1.5V、利得 = 55dB、LO = 1747MHz
PRF1 = -30dBm (2018.2MHz時)、PRF2 = -30dBm (2026.2MHz時)
計算: Pout_IM3 = -48dBm (200kHz時)
IM3= (-20 + 34) - (-48) = 62dBc
IIP3 = -20 + IM3/2 = +11dBmB:低利得でのLNA
テスト条件:VGC = 1.5V、利得 = 34dB、LO = 1747MHz
PRF1 = 20dBm (2018.2MHz時)、PRF2 = -20dBm (2026.2MHz時)
計算:Pout_IM3 = -48dBm (200kHz時)
IM3 = (-20 + 34) - (-48) = 62dBc
IIP3 = -20 + IM3 / 2 = +11dBm
テスト計測器:
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
Agilent 8648c信号発生器
Agilent E4432B信号発生器
フロントエンドIIP2 (ハーフIFのオフセット応答)
1893.6MHzのRF CW信号をアンテナポートに加えます。LNAとRFミキサの非直線性のため、2次相互変調信号が受信帯域内に現れます。スペクトラムアナライザを使用して、200kHzで観察してください。測定したIM2は、一般的にハーフIFオフセット干渉と呼ばれます。したがって、入力RF信号の周波数は(1762 + 263/2 + 0.1 = 1893.6MHz)となります。テストのセットアップについては、図8を参照してください。
以下の計算手順を参照してください。
IM2 (dBc) = Pout - Pout_IM2IIP2 = Pin + IM2
図8. IIP2テスト
IIP2テスト:
テスト条件:AGC = 1.5V、利得 = 55dB、LO = 1762MHzPRFin = -20dBm (1893.6MHz時)
計算:Pout_IM2 = -39.7dBm (200kHz時)
IM2 = (-20 + 55) - (-39.7) = +74.7dBc
IIP2 = -20 + 74.7 = +54.7dBm
備考:
上記のテスト結果を基に、ハーフIF応答がスプリアス応答の要件に適合するかどうかを計算できます。PRFin = -44dBm
IIP2 = 54.7dBmPin_IM2 = PRFin - (IIP2 - PRFin) = -142.7dBmとなり、室温でのチャネル白色ノイズ電力をはるかに下回ります。したがって、この仕様については問題ありません。
ハーフIFオフセット応答テスト:
この項では、ハーフIFオフセット応答を直接的にテストし、規格の要求に適合するかどうかを検証します。ハーフIF応答を特別な応答周波数ポイントとみなします。3GPP規格によると、Rx QまたはRx Iのチャネルノイズ電力の変化が3dB以下であれば、許容できることがわかります。
テスト条件:
LO = 1762MHz、RF電力 = -44dBm、RF周波数 = 1893.6MHz、AGC = 1.96V
図9. RF入力なし
図10. RF入力あり
備考:
上記2点の写真から、BBノイズは0.11dBにすぎないことがわかります。したがって、ハーフIFオフセット応答性能には問題ありません。
テスト計測器:
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
Agilent E4432B信号発生器
チャネルIIP3のテストと最大入力レベル
チャネルIIP3テスト:
この項では、受信経路全体の非直線特性を求めます。アンテナポート端で2つの帯域内CW信号を使用し、IまたはQの出力ポートで生ずる相互変調をテストします。このリファレンスデザインでは、MAX2309をIF VGAとI/Q復調器として使用します。MAX2309のデータシートによれば、図11に示すように、MAX2309のIIP3は利得によって変化します。したがって、チャネルIIP3は入力信号レベルによって変化することがわかります。出力IとQの信号レベルを一定に保ちながら異なる入力信号レベルを用いた場合の、2種類のテスト結果を以下に示します。また、バジェットの計算結果も示します。
図11. MAX2309の利得によるMAX2309のIIP3の変化
テスト方法:
2つのRF信号(2010.3MHzおよび2010.4MHz)をアンテナに加えます。I/Q出力ポートを観察してください。200kHZと500kHzに2つの相互変調信号が存在するはずです。2つの3次相互変調信号のうち最大レベルの信号と、2つの出力メイン信号のうち最小レベルの信号を選んでIM3を計算します。テストのセットアップの詳細については、図7を参照してください。
テスト結果:
テスト条件1:LO = 1747MHz, IFLO = 526MHz
PRF1 = -50dBm (2010.3MHz時)、PRF2 = -50dBm (2010.4MHz時)
AGC = 1.381V、利得 = 37.9dB
結果:
IIP3 = -12.3 + (-12.3 - (-63))/2 - 利得 ≈ -25dBm
図12. チャネルIIP3テスト、入力信号レベルは-50dBm
テスト条件2:LO = 1747MHz, IFLO = 526MHz
PRF1 = -60dBm (2010.3MHz時)、PRF2 = -60dBm (2010.4MHz時)
AGC = 1.47V、利得 = 49.5dB
結果:
IIP3 = -10.6 + (-10.6 - (-64.2))/2 - 49.5 ≈ -33dBm
図13. カスケードIIP3テスト(入力信号レベルは-60dBm)
バジェットの計算結果を図14に示します。
図14. カスケードIIP3対入力信号強度
上記の曲線(図14)から、テスト結果と計算結果は非常に近いことがわかります。図14では、-40dBmと-45dBmに2つの切り替えポイントを設定した箇所に、計算された曲線が示されています。入力信号が次第に増大し、-40dBmに達すると、MAX2538は低利得モードに設定されます。入力信号レベルの振幅が次第に減衰して、入力レベルが-45dBmに達すると、MAX2538は高利得モードに設定されます。この利得切り替え手法によって、5dBのヒステリシスを生じます。
テスト計測器:
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
Agilent 8648c信号発生器
Agilent E4432B信号発生器
最大入力レベル:
最大入力レベルは、規定のBER性能を劣化させないUE (ユーザ機器)のアンテナポート端でのレシーバの最大入力電力と定義されます。以下に、TR 25.945で規定されている最小要件を示します。
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備考:
RFバジェットの計算(図14を参照)から、入力電力が-25dBmのとき入力カスケードIIP3は約-5dBmであることがわかります。これは、最大信号で正常に動作するだけの直線性を備えています。
隣接チャネルの選択性(ACS)
隣接チャネルの選択性とは、隣接チャネル信号が存在するときに、割り当てチャネル周波数で、レシーバが希望の信号を検出できる能力を測定した値です。ACSは、割り当てチャネル周波数のレシーバフィルタの減衰量と、隣接チャネルのレシーバフィルタの減衰量との比率です。不要信号は、ベースバンドフィルタによって更に抑制されます。
このテストでは、所望の信号は-91dBmの変調テスト信号です。妨害電波は上位隣接チャネル(+1.6MHzのオフセット)における-53dBm (+38dBc)の変調信号です。このテストでは、ベースバンドI/Qフィルタによる追加の抑制は実施していません。
隣接チャネルを追加で抑制する場合としない場合の出力スペクトルをそれぞれ図15aと図15bに示します。ベースバンドフィルタによって、ACSは4~5dB向上します。総電力はスペクトラムアナライザで測定されなかったため、チャネルの集積総電力を推定しました。
図15a. ACSテスト(ベースバンドのフィルタリングなし)によるベースバンドの出力スペクトル
所望の信号での集積総電力は約+1dBmで、不要信号の集積総電力は約+8dBmです。ACSは2値の差(+7)となり、元の値+38dBcに合わせて調整すると、ACSは約28dBになります。
図15b. ACSテストによるベースバンドの出力スペクトル(ベースバンドのフィルタリングあり)。隣接チャネルがさらに4~5dB抑制されています。
ACSの要件とテスト結果(ベースバンドフィルタによる除去なし)
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テスト計測器:
R/S FSEA30
相互変調テスト
2つの干渉RF信号による3次以上のミキシング信号により、所望チャネルの帯域内において干渉信号が生成される可能性があります。相互変調の応答除去とは、2つ以上の干渉信号(希望の信号に対して特定の周波数関係を持つ)が存在するとき、レシーバが割り当てチャネル周波数で希望の信号を受信できる能力の目安となるものです。
ベースバンドノイズフロアの相対的な増加分を測定して、無線機がこのテストに合格するかどうかを判断します。
受信AGC電圧を最小感度レベルに設定します。総システム利得は95.8dBです。
以下の手順は、相互変調のテスト方法を示したものです。
- RF入力なしで、ベースバンドノイズフロアを測定します(1.28MHz帯域幅にて)。図16にこの結果を示します。
- (ハイサイド相互変調出力の場合) 2020.2MHzのCW信号と2023.4MHzの変調信号を入力します。各信号は-46dBmです。ベースバンドノイズフロアの増加分を計算します。図17を参照してください。
- (ローサイド相互変調出力の場合) 2013.8MHzのCW信号と2010.6MHzの変調信号を入力します。各信号は-46dBmです。ベースバンドノイズフロアの増加分を計算します。図18を参照してください。
図16. RF入力なしのベースバンドノイズフロア
図17.ハイサイド相互変調テスト
図18.ローサイド相互変調テスト
相互変調およびIIP3の要件とテスト結果
(MHz) |
(CW, MHz) |
(dBm/1.28MHz) |
(dBm) |
(dBm/MHz) |
(dB) |
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RF入力なしで、ベースバンドノイズフロアは-6.40dBm/1.28MHzです。
備考:
相互変調テストは合格
テスト計測器:
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
Agilent 8648C信号発生器
Agilent E4432B信号発生器
ブロッキング
以下2種類のブロッキングテストが必要です。
- 1dB圧縮ポイントのブロッキング
- TD-SCDMA規格に基づく通常のブロッキングテスト
1dB圧縮ポイントのブロッキング:
強大な干渉が存在するときにレシーバが微弱信号を検出すると、ノイズフロアの増大と利得圧縮の2種類の劣化が起こります。1dB圧縮レベルブロッキングをテストするには、所望のCW信号PRF1 = -106dBm (2017.2MHz)を加えます。また、2013.8MHzの干渉CW信号PRF2も合成器を通して加えます。次に、干渉信号の電力を調整し、所望の信号が1dBに圧縮されたときの干渉信号の電力を記録します。RFLOは1754MHz、IFLOは526MHzです。テストのセットアップを図7に示します。
テスト結果:
PRXQ = -11.1dBm @ 200kHzPRF2 = -40.2dBmのとき、PRXQは1dBに圧縮されます。
テスト計測器:
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
Agilent 8648c信号発生器
Agilent E4432B信号発生器
通常のブロッキング仕様テスト:
ブロッキング特性は、不要干渉源が存在するとき、この不要入力信号によってレシーバの性能が規定の限界を超えて劣化することなく、レシーバが割り当てチャネル周波数で所望の信号を検出できる能力の目安となるものです。3GPPのTR 25.945ではこの限界を最大でBER = 0.001と規定しています。ブロッキング性能は、スプリアス応答の発生する周波数を除く、すべての周波数に適用しなければなりません。スプリアス周波数には、このブロッキング仕様を緩めた仕様が適用されます。
REFSENS仕様は、ブロッカが存在しないものとして規定されているので、ベースバンドノイズフロアの増加分が希望信号の許容増加範囲(+3dB)未満であれば、ブロッキングとスプリアスの仕様は適合します。BERを測定できなくても、ブロッカの存在するときにノイズフロアの増加分が3dB未満であれば、ブロッキングとスプリアスの性能は規定の範囲に適合することがわかります。
以下に、帯域内および帯域外のブロッキングのテスト方法を示します。
- 入力信号なしで、ベースバンドノイズフロアを測定します。
- (帯域内ブロッキングの場合) 以下に指定した電力と周波数オフセットで変調信号を入力します。ノイズフロアの増加分が3dB未満であれば、仕様に適合します。
- (帯域外ブロッキングの場合) 無線機をチューニングして、以下の表に示すCW信号を入力します。ノイズフロアの増加分が3dB未満であれば、仕様に適合します。
図19. REFSENS+3dBにてオンチャネルで信号を変調したときのベースバンドスペクトル(ブロッカなし)
帯域内ブロッキングの要件とテスト結果
(MHz) |
(dBm/1.28MHz) |
(dBm/1.28MHz) |
(dB) |
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帯域外ブロッキングの要件とテスト結果
(MHz) |
(MHz) |
(dBm/1.28MHz) |
(dBm/1.28MHz) |
(dB) |
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無線機は、帯域内ブロッキングテストのすべてに合格します。2095MHzでの帯域外ブロッキングは、RFバンドパスパスフィルタによる除去が不十分なため、適合しません(図20を参照)。このフィルタを2095MHzで少なくとも10dBの除去が可能な改良フィルタに交換すれば、この仕様に適合します。
テスト計測器:
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
Agilent E4432B信号発生器
図20. RF BPFのS11とS21。2095MHzのブロッカに対して2~3dBの除去があります。
スプリアス応答
スプリアス応答とは、割り当てチャネル周波数以外で応答のある周波数に不要なCW干渉信号(すなわちブロッキング基準に適合しない信号)が存在する場合に、所定の劣化値を超えることなく、レシーバが割り当てチャネル周波数で所望の信号を検出できる能力の目安となるものです。スプリアス応答は、以下の式で定義されます。
fIF = mfRF + nfLO (mとnはゼロより大きい場合もあればゼロより小さい場合もある)ベースバンドノイズフロアの相対的な増加分を測定して、無線機がスプリアス応答テストに合格するかどうかを判断します(「ブロッキング」の項を参照)。
スプリアス応答の要件とテスト結果
RF入力なしで、ベースバンドノイズフロアは-6.02dBm/1.28MHzです。
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RF入力なしで、ベースバンドノイズフロアは-5.07dBm/1.28MHzです。
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(dBm/MHz) |
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スプリアス応答テストは合格
テスト計測器:
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
Agilent E4432B信号発生器
スプリアス発射
スプリアス発射電力とは、アンテナコネクタ端に現れる、レシーバでの発射電力のことです。
スプリアスの要件とテスト結果
テスト条件:LO = 1754MHz
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備考:
スプリアステストは合格
テスト計測器:
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
I/Q利得/位相不平衡
マキシムのTD-SCDMAリファレンスデザインは、2枚のプリント回路基板で構成されています。1枚はRFトランシーバボード、もう1枚はインタフェースボードです。インタフェースボード上にはレシーバベースバンド能動フィルタがあります。I/Q利得と位相不平衡はこのフィルタの前後で規定されます。
テスト方法:
RF CW信号をアンテナポートに加えて、上記の2点(フィルタの前後)でI信号とQ信号を測定し、オシロスコープで信号の電圧と位相差を比較します。RF信号発生器を調整して、300kHzと500kHzのベースバンド周波数を生成します。
図21. LPF後の位相不平衡のテスト(300kHz時)
図22. LPF前の位相不平衡のテスト(300kHz時)
図23. LPF前の位相不平衡のテスト(500kHz時)
上の図21、22、および23から以下が得られます。
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(mVpp) |
(mv) |
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テスト計測器:
Agilent 8646C信号発生器
Agilent 54622Dオシロスコープ
トランスミッタテスト
以下のTXテストを対象とします。
- 出力電力のダイナミックレンジ
- トランスミッタのオフ電力
- オン時間テスト
- 出力RFのスペクトル発射
- 送信の相互変調
出力電力のダイナミックレンジ
電話機の場合、最大出力電力はクラス2電話機でアンテナポート端において+24dBm、クラス3電話機では+21dBmが必要です。また最小出力電力は-49dBm未満でなければなりません。マキシムのTD-SCDMAリファレンスデザインでは、MAX2363がこの要件を満たす重要なデバイスとなります。このTX ICは約90dBのダイナミックレンジを備えています。ここでは、2種類の方法を用いてMAX2363の利得を設定します。どちらの方法もAGC電圧を調整するものであり、MAX2363の制御レジスタを使用してMAX2363のPAドライバステージをシャットダウンし、信号経路に減衰を与えます。減衰量は約25dBです。テストのセットアップを図24に示します。
図24. 出力電力テストのセットアップ
テスト計測器:
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
Agilent E4432B信号発生器
テスト条件:
I/Q入力信号 = 70mVrms (12%)
Vbat = 3.4V
MAX2363の動作制御レジスタ = 9FEFH
MAX2363の設定レジスタ = 143FH
MAX2363の電流制御レジスタ = 2C74H
テスト結果:
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Includes interface board |
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上記の表から、以下がわかります。
-最大出力電力は25dBmであり、クラス2 (アンテナポート端で24dBm)とクラス3 (アンテナポート端で21dBm)の電話機の規格を満たしています。
-最小出力電力は-64dBmです。規格では、最小出力電力は-49dBmです。
-出力のダイナミックレンジは約90dBmです。
トランスミッタのオフ電力
トランスミッタのオフ電力状態とは、UE (ユーザ機器)が送信していない状態のことです。このパラメータは、トランスミッタがオフのときの、チャネル帯域幅における最大送信出力電力として定義されます。送信オフ電力についての要件は、特定のフィルタで測定した値が-65dBm未満であるというものです。このフィルタは、ロールオフα = 0.22で帯域幅がチップレートと等しい、ルートレイズドコサイン(Root-Raised Cosine:RRC)フィルタ応答を備えています。
この仕様をテストするには、Agilent 8560Eスペクトラムアナライザをアンテナコネクタに接続し、直接測定します。テスト結果は約-78dBm/1.28MHzです。これは要件の-65dBmよりもはるかに低いので、この仕様については問題ありません。オフ電力が-78dBmであれば、レシーバに影響を与えることがわかっています。T/RスイッチのTxからRxへのアイソレーションが20dBであるとすると、オフ電力は-96dBmを下回るものと推定されるので、極めて理想的な状態となります。今回のテストのセットアップでは、-78dBm/1.28MHzはAgilent 8560Eのノイズフロアであり、実際の出力電力ではありません。この仕様をテストするには、利得が30dBを超える、性能の優れたLNA (低ノイズアンプ)が必要です。
オン時間テスト
以下に、トランスミッタのオン時間テストのセットアップを示します。
図25. トランスミッタのオン時間テスト
テスト計測器:
Agilent 8560Eスペクトラムアナライザ
Agilent E4432B信号発生器
Agilent 33120A関数発生器/任意波形発生器
テスト結果:
トランスミッタのオン時間 = 3.25msが図26に示されています。規格では最大5msと規定しています。以下の写真を参照してください。
図26. トランスミッタのオン時間テストの画面
出力RFのスペクトル発射
この項では、以下のテストが対象となります。
- 占有帯域幅
- スペクトル発射マスク
- 隣接チャネル漏洩電力比(ACLR)
- スプリアス発射
占有帯域幅
占有帯域幅は、送信スペクトルの総集積電力の99%を含んだ帯域幅を表すもので、割り当てチャネル周波数の中央部分になります。TD - SCDMA規格によれば、占有帯域幅は、1.28Mcpsのチップレート上で約1.6MHzです。Agilent E4405Bスペクトラムアナライザを使用して占有帯域幅をテストします。テストのセットアップを図24に示します。
テスト計測器:
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
Agilent E4432B信号発生器
テスト条件:
I/Q入力信号 = 12% (70mVrms)
Vbat = 3.4V, AGC = 2.6V, Pout = 25dBm
MAX2363の動作制御レジスタ = 9FEFH
MAX2363の設定レジスタ = 143FH
MAX2363の電流制御レジスタ = 2C74H
テスト結果:
占有帯域幅 = 1.367MHzであり、規格の要求に適合します。規格の要求は1.6MHzです。以下の写真を参照してください。
図27. 占有帯域幅テスト
スペクトル発射マスク
帯域外発射とは、トランスミッタの変調プロセスや非直線性に起因する、公称チャネルのすぐ外側に発生する不要発射です。ただし、スプリアス発射は除きます。スペクトル発射マスクは、キャリア周波数の0.8~4MHzの間の周波数に適用されます。スペクトラムアナライザを使用して、この仕様をテストします。テストのセットアップについては、図24を参照してください。
テスト計測器:
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
Agilent E4432B信号発生器
テスト条件:
I/Q入力信号 = 12% (70mVrms)
Vbat = 3.4V, AGC = 2.6V, Pout = 25dBm (規格の要求は21dBmなので十分なマージンがある)
MAX2363の動作制御レジスタ = 9FEFH
MAX2363の設定レジスタ = 143FH
MAX2363の電流制御レジスタ = 2C74H
MAX2363の電流制御レジスタ:
図36から以下が得られます。
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The resolution used here is 30KHz, and the ratio is external 30KHz power over in-band 30KHz power. |
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図28.スペクトル発射マスクテスト
図29.スペクトル発射マスクのテスト結果
注:
- 青色の線は規格の要件です。
- 4つの赤色の点がテスト結果です。いずれも青い線を下回っているので、この仕様については問題ありません。
- このテストでのチャネル電力は+25dBmですが、規格の要求に比べて4dBのマージンがあります。規格の要求値は+21dBmです。
隣接チャネル漏洩電力比(ACLR)
隣接チャネル漏洩電力比(ACLR)は、送信電力と、隣接チャネルで測定された電力との比率のことです。送信電力と隣接チャネル電力のどちらもフィルタを使用して測定します。このフィルタは、ロールオフα = 0.22で帯域幅がチップレートと等しい、ルートレイズドコサイン(Root-Raised Cosine:RRC)フィルタ応答を備えたものです。
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザを使用して、この仕様をテストします。ワーストケースでのACLRをテストするため、POUTを最大に設定します。テストのセットアップについては、図24を参照してください。
テスト計測器:
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
Agilent E4432B信号発生器
テスト条件:
I/Q入力信号 = 12% (70mVrms)
Vbat = 3.4V, AGC = 2.6V, Pout = 25dBm
MAX2363の動作制御レジスタ = 9FEFH
MAX2363の設定レジスタ = 143FH
MAX2363の電流制御レジスタ = 2C74H
テスト結果:
図30. 隣接チャネルのACLRテスト
図31. ALTチャネルのACLRテスト
図30および図31から
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スプリアス発射
スプリアス発射とは、高調波発射、寄生発射、相互変調出力、周波数変換出力など、トランスミッタの望ましくない作用によって生ずる発射のことです。ただし、帯域外発射は除きます。スプリアス発射は、RFキャリアの中心周波数から4MHz超えた周波数に適用されます。
仕様によると、スペクトラムアナライザを使って、異なるRBW (分解能帯域幅)の、異なる周波数帯でピーク電力を測定します。テストのセットアップについては、図24を参照してください。
テスト計測器:
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
Agilent E4432B信号発生器
テスト条件:
I/Q入力信号 = 12% (70mVrms)
Vbat = 3.4V、AGC = 2.6V、Pout = 25dBm、RF周波数 = 2017MHz
MAX2363の動作制御レジスタ = 9FEFH
MAX2363の設定レジスタ = 143FH
MAX2363の電流制御レジスタ = 2C74H
テスト結果:
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注:計測器の制限により、3GPP規格で要求されているDCSバンドとGSMバンドでのスプリアスは測定できません。
送信の相互変調
送信の相互変調性能とは、所望の信号とアンテナ経由で届く干渉信号があることに起因するトランスミッタの非線形成分により信号が生成されないようにするトランスミッタの能力の目安となるものです。
トランスミッタ相互変調をテストするには、サーキュレータを使用します。TD-SCDMA規格によると、送信信号は変調信号であることとなっていますが、相互変調出力を識別することは難しいため、ここではこの特性を得るため2種類の信号を使用します。1つはCW、もう1つは変調信号です。テストのセットアップの詳細については、図32を参照してください。
テスト計測器:
Agilent E4405Bスペクトラムアナライザ
Agilent E4432B信号発生器
Agilent 8648C信号発生器
図32. トランスミッタの相互変調テスト
テスト条件:
I/Q入力信号 = 12% (70mVrms)
Vbat = 3.4V、RF周波数 = 2017MHz
MAX2363の動作制御レジスタ = 9FEFH
MAX2363の設定レジスタ = 143FH
MAX2363の電流制御レジスタ = 2C74H
テスト結果:
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*Puw (不要電力)レベルは、TD-SCDMAリファレンスデザインのアンテナポート端でテストしています。テスト結果から、TD-SCDMAリファレンスデザインが規格の要求に適合していることがわかります。
図33. トランスミッタの相互変調テスト1
図34. トランスミッタの相互変調テスト3
図35. トランスミッタの相互変調テスト4
図36. トランスミッタの相互変調テスト2
図37. トランスミッタの相互変調テスト5
図38. トランスミッタの相互変調テスト6
DC消費電流のテスト
テスト方法:
デジタルマルチメータを使用して、Tx、Rx、Idle、Sleep、およびShutdown状態でのDC消費電流をテストします。
テスト結果:
テスト条件:Vcc = 3.45V
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注:インタフェースボードの電流は含まれていません。
PCB (プリント回路基板)層のスタックアップ
この設計では、6層のPCB (プリント回路基板)スタックアップを使用しています。図4に詳細を示します。
図39. PCB (プリント回路基板)層のスタックアップにFR-4誘電体を使用
製造上の注記
- 表面実装部品はすべて上面にあります(100ピンコネクタは除く)。
- VIAはすべてスルーホールです。
- 最小VIAは直径18ミルで、穴直径は8ミルです。
- 最小間隔
- PAD/PAD:8ミル
- PAD/トラック:8ミル
- トラック/トラック:8ミル
- VIA/VIA:8ミル
- 最終ボード厚は約54ミルです。