MAX20021/MAX20022用のレイアウト例によるレイアウトのガイドライン
要約
このアプリケーションノートでは、性能を最大限に高め電磁放射を最小限に抑えるための、車載クワッドパワーマネージメントIC (PMIC)のMAX20021/MAX20022のレイアウト方法を説明します。4層レイアウトの画像の例を示します。
はじめに
特にMAX20021やMAX20022などの高周波数スイッチングレギュレータを使用する場合、適切なPCBのレイアウトが不可欠です。最適化されたレイアウトは、クリーンな出力電源を供給し、電磁干渉(EMI)チェンバーで電磁放射の問題をデバッグする時間を短縮します。このアプリケーションノートでは、回路の中でレイアウトの最適化が最も効果を発揮する重要な領域について概説します。
レイアウトの一般的ガイドライン
- 個々の出力について、入力コンデンサ(C5~C8)、インダクタ(L1~L4)、および出力コンデンサ(C1~C4)のトレースループ領域を最小化してください。
- VAの出力コンデンサ(C9)はできる限りピン26 (VA)およびピン24 (GND)の近くに配置し、端子とコンデンサ間にビアを使用しないでください。これはICのアナログ電源であるため、この接続にインダクタンスが付加されるとアナログ電源のノイズが増大し、LX[1:4]出力のジッタが増大する原因になります。
- トレースは太くするよりも短くする方が効果的です。
AC-DC電流パスの最適化
電磁放射を最小限に抑える上で、MAX20021/MAX20022の受動部品のレイアウトは極めて重要です。電流のステップ変化があるパスは、AC電流パスと考えられます。これらのAC電流パスは、スイッチングサイクルのオンとオフの両方の部分で電流が流れる経路を除外することによって明らかになります。ONおよびOFFサイクル中に電流が流れる経路は、DC電流パスと考えられます。
AC電流パス
同期整流DC-DCコンバータのMAX20021は、個々の出力に対して3つの受動部品(C1、C5、L1)をスイッチング電流パス内に直接備えています。これらの3つの部品は、電磁放射とデバイスの性能に最も大きな影響を与えます。図1と図2は、OUT1のオンおよびオフサイクル中のスイッチング電流パスを示します。図3は、これらの2つの電流パス間の差分を示し、ここで最大のdi/dtが発生します。部品C5のレイアウトを最適化することが最優先で、L1およびC1の最適化がそれに続きます。
図1. PMOSがオン時のOUT1の電流フロー
図2. DMOSがオン時のOUT1の電流フロー
図3. 差分を示すOUT1のAC電流フロー
スペクトラム拡散
優れたレイアウトを採用しても顧客が要求する放射テストをパスしない場合は、スペクトラム拡散クロックを有効にしたMAX20021/MAX20022を発注可能です。スペクトラム拡散対応のデバイスでは、標準のデバイスに比べてFM帯域のノイズを最大12dB低減することができます。スペクトラム拡散対応のデバイスの発注方法については、データシートを参照してください。
例:4層PCBレイアウト
図4~図7は、上記のガイドラインを使用した4層レイアウトの例を示しています。
図4. 4層PCBレイアウトの例―表面層
図5. 4層PCBレイアウトの例―PGND層
図6. 4層PCBレイアウトの例―VSUP層
図7. 4層PCBレイアウトの例―裏面層
結論
スイッチンレギュレータのMAX20021/MAX20022では、重要な受動部品を正しくレイアウトすることで、ノイズと放射をその発生源において抑制することができます(図8)。これによって、プロジェクトの評価段階で貴重な時間と労力が節約されます。
表1. 部品リスト | ||
Designation | Qty | Description |
C1–C4 | 4 | 10µF, 10V ±10% X7R 1206 ceramic capacitor |
C5–C8 | 4 | 2.2µF, 10V ±10% X7R 0603 ceramic capacitor |
C9 | 1 | 470nF, 10V ±10% X7R 0402 ceramic capacitor |
R1–R4 | 1 | 20kΩ ±1% 0402 resistors |
L1–L4 | 4 | MTD2520–CN1R5M 1.5µH inductor |
U1 | 1 | MAX20021/MAX20022 quad, low-voltage DC-DC converters |
図8. PCBレイアウトに使用した回路図