AD623 - FAQ

計装アンプの出力電圧範囲の限界

Q:  計装アンプ(例えばAD623)を用いてローサイドでのシャント抵抗器を用いた電流測定をしています。
両電源では問題なく動作しますが、単電源で動かすと、どのゲインでも1.3V以上を出力しません。電源電圧は5Vです。計装アンプの入力条件と出力の範囲はどのように考えればよいのでしょうか。

A:  AD623英語データシートの等価回路のように入力段のアンプ(A1,A2)と出力段のアンプ(A3)で構成されています。AD623を単電源で動作させたときアンプ:A1,A2は-の電圧は出力できませんの で入力信号の同相電圧およびゲインにより出力できる信号レベルが制限されます。 その他の計装アンプでも、内部の回路構成により出力の範囲が変わります。Webの設計ツール 「計装アンプ用ダイヤモンド・プロット・ツール」により動作可能か確認できますので、ご利用ください。

計装アンプのゲインエラーが大きい

Q:   AD623の-INピンとREFピンをGNDに接続、Gを10倍に設定し、INの電圧をGNDを基準に0V~0.25V変化させた場合出力は0V~2.5Vになるはずですがうまくゆきません。なぜでしょうか?

A:    AD623を含め計装アンプ、あるいは差動アンプは、入力の同相電圧と出力電圧の間に関連があります。入力の電圧により、デバイスの入力電圧範囲内であっても、内部回路のアンプが飽和したりカットオフになる場合があるため、このような制限があります。AD623のデータシート(英文)の図25をみてください。AD623を5V単電源で10倍のゲインで動作させると、同相電圧(横軸)が0.1V前後では、出力が1.3Vぐらいして出力できないことがわかります。入力の電圧が0V~0.25Vであると同相電圧は、0V~0.125Vになります。従って入力電圧が上がってきた場合、出力が1Vを超えたところで引っ掛かり、正常動作しなくなります。電源が正負の両電源であれば、図21のように問題なく動作します。

計装アンプとシャント抵抗を使った電流計測回路の注意点

Q:   計装アンプを使用して電流をモニター出来るような回路を検討しております。 構成としては電流検出用の抵抗の両端電圧を計装アンプの入力に入れて出力をOPアンプでバッファし、ADCに入力します。 AD8226のゲインの値でも変わるとは思いますがどのくらいの差動電圧を取り出せるものなのでしょうか。 例えば抵抗両端の電圧が数mVでも正確に取る事が出来ますでしょうか。電圧が小さければゲインを高くしてもノイズ等に埋もれずに精度が出るのしょうか。

A:   計装アンプは、もともと数mVあるいはそれ以下の信号電圧(たとえば熱電対やロードセルの出力)を増幅、信号処理するためのアンプです。 したがって1mV以下の信号でも、動作条件を正しく設計してやれば正確に増幅することが可能です。 検出する電流信号の同相電位がどの位置にあるのかによりますが、ハイサイドやローサイドの電流検出であれば、アンプの入力同相電圧レンジと出力電圧の関係に注意が必要です。データシートには、電源電圧と入力同相電圧、出力電圧の関係が示されたグラフが、条件を変えて多数示されているので参考にしてください。電源電圧以内の入力信号でも、条件によっては正しく増幅、出力されないことがあります。たとえばAD8226では、±5V電源でゲイン100倍で使用した場合、入力の同相電圧が0V(グランド)の時、出力は-5Vから+5Vぐらいの電源電圧近くまでの信号を、正確に増幅できますが、同じ電源でも、同相電圧が-4Vになると出力は、-3Vから+3Vぐらいまでしか正確に扱うことはできなくなります。使用する回路とその信号レンジを考量して、動作条件を設計してください。またノイズに関しては、入力換算(RTI)のノイズと出力換算(RTO)のノイズ2種類があるの注意してください。RTIのノイズは、ゲイン倍されて出力されます。RTOのノイズは、設定ゲインに関わらず同じ価が出力の現れます。これらの値が、測定精度にどれぐらい影響するかは、ADCの入力でどれぐらいのSN比が必要かで判断します。ただし、ADC入力時に(あるいは計装アンプの出力)にフィルタリングすることで、このSN比を向上させることができます。ADCのアンチエリアス・フィルターとしても必要です。電流センス抵抗の値が非常に大きいと(数10MΩ以上であるとアンプの入力バイアス電流やその電流性ノイズが問題になりますが、通常の電流検出では、問題にならないレベルです。