48V電源対応の完全な単一ICパワー・マネージメント・バッテリ保守/ バックアップ・システム

電子機器に対する一般的な傾向は、携帯性の向上です。誰かが「コンセントを抜いた」という理由だけで機器の電源が切れることは、もはや万人に受け入れられることではなくなりました。携帯可能な機能を実装するため、先進のパワー・マネージメント・システムを機器に組み込む必要があります。このシステムが可能なのは、使用可能な電源から該当のシステム出力までの経路を制御し、バックアップ素子を充電してすぐに使用できる状態を保ち、常に適切な電源を別のシステムに確保することです。

洗練された単一ICパワー・マネージメント・ソリューションは、スマートフォンやタブレットなど、低電圧および低消費電力レベルで動作する多くの携帯機器ですぐに使用できます。多くの産業用機器や医療機器に必要なシステムなどの大電力および高電圧のシステム向けのパワー・マネージメント・ソリューションは、一般に面倒で複雑な専用のディスクリート部品ソリューションが必要です。LTC4020は、高電圧および大電力の単一ICソリューションに高度なパワー・マネージメント機能を組み込むことにより、こうした環境でのパワー・マネージメントを簡略化します。

LTC4020 は、先進の4 スイッチ昇降圧DC/DCパワー・コンバータを特長としており、最適なバッテリ充電と、リニアテクノロジー独自のPowerPathシステム/ バッテリ・パワー・マネージメント機能をサポートします。LTC4020は、負荷のばらつき、バッテリの充電要件、および入力電源の制限に応じて、システム入力電源、バックアップ・バッテリ、およびコンバータ出力間の電力配分を管理します。

単一インダクタのDC/DC昇降圧コントローラは、最大55Vの入力電圧を受け付けて、入力電圧より低い、高い、または同じ電圧を生成することができます。内蔵のバッテリ・チャージャは、リチウム・ベースのバッテリに合わせて最適化された定電流/ 定電圧(CC/CV)充電プロファイル、3段階の鉛蓄電池充電プロファイル、または修正版のタイマ終了定電流アルゴリズム(CC)を実現するよう設定できます。最後のアルゴリズムはリチウム用のプロファイルと同様ですが、低電圧プリコンディショニング機能および充電サイクル再開機能は組み込まれていません。

図1.36V~55V入力の24セル鉛蓄電池(48V)フロート・チャージャ(コンバータ出力:265W、充電電流:5A、システム/フロート充電電圧出力:53.75V)

図1.36V~55V入力の24セル鉛蓄電池(48V)フロート・チャージャ(コンバータ出力:265W、充電電流:5A、システム/フロート充電電圧出力:53.75V)

CCモード充電を使用した48V鉛蓄電池チャージャへの適用

鉛蓄電池に合わせて最適化された充電モードでLTC4020を構成した場合、吸収充電中のレギュレーション電圧は、「12V」の鉛蓄電池では標準バッテリ・システム電圧の120%、つまり14.4Vです。吸収充電電圧がLTC4020の最大動作電圧を超えるので、残念ながら組み込みの鉛蓄電池充電アルゴリズムは48Vのシステム・バッテリに使用できません。これには、定電流(CC)充電アルゴリズムを使用して大電流フロート・チャージャを実装することにより、容易に対処できます。

CC 充電アルゴリズムは、LTC4020 のMODEピンを未接続のままにしておくことにより有効になります。帰還抵抗分割器は、VFB =2.5Vに対応する目的のバッテリ・フロート充電電圧を設定します。CC充電アルゴリズムにより、フロート・レギュレーション電圧に達するまで、最大限の設定充電電流が可能になります。フロート・レギュレーション電圧を維持している間、鉛蓄電池フロート・チャージャはバッテリに絶え間なく電流を供給できる必要があるので、充電機能は終了できません。CC充電モードでは、TIMER = 0Vに設定することによってこれに対応できますが、この設定によってタイマ機能が無効になるので、充電終了も無効になり、したがって充電サイクルは無期限に継続されます。

鉛蓄電池バックアップを備えた48Vシステム電源

バックアップ・バッテリ・フロート・チャージャを内蔵した48Vシステム電源として構成されているLTC4020を図1に示します。この電源の中心的な部品は平均電流モードの昇降圧DC/DCコントローラで、スイッチング素子として4 つの外付けNチャネルFETを使用し、265Wの出力システム電力を供給できます。

コンバータは36V~55Vの入力電源電圧範囲で動作し、コンバータの平均インダクタ電流は8.3Aに制限されます。コンバータの電流制限値は、SiS862DNスイッチングFET(M1およびM2)と直列に配置した2つの6mΩ検出抵抗(RSENSE1およびRSENSE2)により設定されます。DC/DCコンバータの出力では、動作電圧範囲全体にわたって少なくとも5Aがサポートされます。

図2.図1に示す回路での最大充電電流

図2.図1に示す回路での最大充電電流

RSHDN1とRSHDN2は、SHDNピンで分割器を形成します。これにより、入力シャットダウン電圧がVIN = 35Vで設定され、入力電圧が35Vより低い場合はDC/DCコンバータ機能とバッテリ・チャージャ機能がディスエーブルされるので、電源が有効な場合には、常に全負荷電流を供給可能です。ここで使用されるSiS862DNスイッチFETの標準のQGはそれぞれ約10nCなので、抵抗RTによって動作周波数を250kHzに設定することにより、VIN =55VでのQG(TOTAL) • fO は、LTC4020 の規定のINTVCC 直列素子SOAガイドラインの範囲内に入ります。

このデバイスは、前述したように、定電流/定電圧充電プロファイルを使用して、24セル(48V)の鉛蓄電池バックアップ・バッテリを充電して維持します。バッテリ充電電流の最大値は、RCS により5Aに設定されます。この値は、満充電フロート電圧である53.75Vに達するまで供給可能です。バッテリ電圧は抵抗分割器(RFB1およびRFB2)によりモニタされます。これにより、満充電フロート電圧の53.75V(つまり、2.24V/セル)が設定されます。この分割器は、FBGピンを介して参照されます。このピンは、LTC4020が動作している場合はグランドに短絡されていますが、LTC4020がディスエーブル状態のときは高インピーダンスになり、バッテリの寄生負荷を軽減します。

LTC4020は、システム負荷およびバッテリ充電機能に優先的に電力を供給します(システム負荷は、常に充電電源より優先されます)。したがって、重負荷の期間には、必要に応じて充電電流が減少します。万一、システム負荷がLTC4020 DC/DCコンバータの能力を超えた場合は、バッテリ電流の方向が変わり、負荷電流はバッテリから供給されてコンバータ出力を補足します。

図3.供給可能なコンバータ出力電流(システム負荷電流+バッテリ充電電流)と入力電圧

図3.供給可能なコンバータ出力電流(システム負荷電流+バッテリ充電電流)と入力電圧

VIN 電源が切断された場合は、LTC4020のすべての機能が停止して、必要な電力はバッテリから出力に供給されます。バッテリからコンバータを介した逆導通はスイッチFET M4によって遮断され、バッテリ電圧モニタの抵抗分割器はFBGピンを介して切断されます。もしも無負荷での蓄電条件が必要な場合は、ICに流れ込む全バッテリ電流は10μA未満に減少し、バッテリ寿命を最大限に延長します。

まとめ

LTC4020は、バッテリ・バックアップやバッテリ駆動の遠隔動作が必要なあらゆる大電力デバイスに対応する単一IC パワー・マネージメント・ソリューションです。内蔵の昇降圧DC/DCコントローラは、入力電圧より高い、低い、または等しい電圧レールに電力を供給できます。このICは高度なPowerPath構成を使用して、コントローラ出力をフル機能のマルチケミストリ・バッテリ・チャージャと結合します。このチャージャは、充電サイクル制御用の内部タイマと、2進コード化状態ピンを使用するリアルタイム充電サイクル・モニタリング回路を内蔵しています。ピンで選択可能な3つの充電プロファイルにより、最も一般的なバッテリ・タイプに適合する汎用性と、最適化された充電特性が得られます。

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Jay Celani