LTspice:SMPSのボーデ線図を作成する基本的手順

クローズド・ループのスイッチング・モード電源(SMPS)からのオープン・ループ・ゲインを決定する最良の方法は、1975年の「International Journal of Electronics」のVolume 38、Number 4に掲載されたMiddlebrookの方法を使用することです。この方法では、ループがクローズ状態を維持し動作ポイントが変わらないように、クローズド・ループ・システムにテスト信号を注入し電圧ゲインと電流ゲインを個別に求めます。Middlebrook法の電圧ゲイン部分を使用する方法は、LTspice IVでSMPSの周波数応答解析(FRA)を行う場合に特に有効です。

LTspiceでスイッチング・モード電源のFRAを行う方法

  • 図に示すように、「SINE(0 1m {Freq})」の値を持つ電圧源を帰還ピンと直列にSMPSの帰還ループへ挿入し、この電圧源のノードに「A」、「B」というラベルを付けます。振幅(1mV)の選択は精度とS/N比に影響します。振幅が小さくなるほどS/N比が小さくなり、振幅が大きくなるほど周波数応答が悪化します。適切な開始点は1mV~20mVです。
電圧源の挿入
電圧源の挿入
  • 以下の.measureステートメントをSPICEディレクティブとして回路図に貼り付けます。これらのステートメントは、ノードAとBのフーリエ変換を行い、SMPSの複雑なオープン・ループ・ゲインを計算して、振幅(単位: dB)と位相(単位:度)を求めるものです。

.measure Aavg avg V(a)
.measure Bavg avg V(b)
.measure Are avg (V(a)-Aavg)*cos(360*time*Freq)
.measure Aim avg -(V(a)-Aavg)*sin(360*time*Freq)
.measure Bre avg (V(b)-Bavg)*cos(360*time*Freq)
.measure Bim avg -(V(b)-Bavg)*sin(360*time*Freq)
.measure GainMag param 20*log10(hypot(Are,Aim) / hypot(Bre,Bim))
.measure GainPhi param mod(atan2(Aim, Are) - atan2(Bim, Bre)+180,360)-180

  • 以下のSPICEディレクティブを回路図に貼り付けます。パラメータt0はシステムが定常状態に落ち着くまでに必要な時間の長さで、シミュレータがデータの保存を開始するタイミングも設定します。多くのサイクルが含まれるので、この場合の開始時間と終了時間の差として25/freqを選び、非整数のスイッチング・サイクルから生じる誤差が小さくなるようにしています。

.param t0=.2m
.tran 0 {t0+25/freq} {t0}

  • .stepコマンドを挿入して、解析を行う周波数範囲を設定します。この例では、1オクターブあたり5個のポイントを使い、50kHz~200kHzの範囲でシミュレーションを行います。ヒント:この周波数範囲全体のシミュレーションを実行する前に、いくつかの周波数でテストを行い(例えば「.param Freq = 125K」を挿入)、V(A)とV(B)をチェックして電圧源の振幅が十分なものであることを確認します。可能であれば、周波数範囲を狭めてシミュレーション時間をできるだけ短くします。精度を向上させながら測定数を最小限にするために、.optionsステートメントと.saveステートメントが含まれています。

.step oct param freq 5K 500K 5
.save V(a) V(b)
.option plotwinsize=0 numdgt=15

  • シミュレーションを実行します(ステータス更新については左下隅を参照)。
  • ボーデ線図を表示するには、SPICEエラー・ログ([View]メニューから[SPICE Error Log]を選択)を開いてログを右クリックし、「Plot .step’ed .meas data」を選択します。[Plot Settings]メニューから[Visible Traces]を選択して、ゲインを選択します。この線図から、SMPS設計のクロスオーバー周波数と位相マージンを決定することができます。
ボーデ線図
ボーデ線図

その他の例やドキュメントは、参考例(..\LTspiceIV\examples\Educational\FRA\)と、ヘルプ・トピックのFAQセクション(F1を押す)で参照できます。

周波数応答解析の例
周波数応答解析の例

Gabino-Alonso

Gabino Alonso

Gabino Alonsoは、アナログ・デバイセズのPower by LinearTMグループで戦略的マーケティング・ディレクターを務めています。アナログ・デバイセズに入社する前は、Linear Technology(現在はアナログ・デバイセズに統合)、Texas Instruments、カリフォルニア・ポリテクニック州立大学で、マーケティング、エンジニアリング、オペレーション、教育など、多岐にわたる業務に従事していました。カリフォルニア大学サンタバーバラ校で電気工学とコンピュータ工学の修士号を取得しています。