図1は、LTC6252をフォトダイオード用のトランスインピーダンス・アンプとして適用した回路です。低ノイズのJFETが電流バッファとして機能し、R2およびR3によって低周波数ゲインは、約1になっています。トランスインピーダンス・ゲインは、帰還抵抗R1によって1MΩに設定されています。R4とR5はLTC6252の入力を3Vレールより1Vだけ低い値に設定し、0.1µFのコンデンサがノイズの影響を低減します。帰還によりこの1VはR2の両端にも生じ、ピンチオフ電圧およびIDSS特性とは全く関係なくJFETの静止電流を1mAに設定します。そのために、JFETの1mAのVGSを、グランドより1V高い電位になっているソースを基準としてゲートに印加します。このJFETの場合、これは通常約500mVであり、この電圧はフォトダイオードPD1の逆電圧として付加されます。光電流Ipdがゼロの時点で出力は同じ電圧を保ち、光電流の増加と共に上昇します。

図1.高性能トランスインピーダンス・アンプ
このように低周波数時は、R2とR3がJFETのゲインを1に維持します。ただし、これはトランジスタのノイズが最小となる構成ではありません。この構成では、下流のノイズ源が全く減衰せずに入力に渡されるためです。低周波数の場合は、このことがトランスインピーダンス・アンプにとって問題となることはありません。ノイズ・ゲインは1であり、1MΩのR1の130nV/√Hzが出力ノイズの支配要因となるからです。一方、周波数が高くなると、フォトダイオードの容量の影響が大きくなり、1MΩの帰還抵抗が低インピーダンスになるにつれて、回路のノイズ・ゲインは増加します。しかし、これは6.8nFのコンデンサで防ぐことができます。6.8nFのコンデンサによって、ノイズ源R3の影響が明らかになくなり、高周波数時にJFETのゲインが約30に増加することで、R2の下流ノイズに影響する部分とオペアンプの入力ノイズが効果的に減衰します。このようにして、この回路は、最も必要とされる高周波数で低ノイズの入力電圧を実現することができます。回路において帯域幅は2MHz、総電源電流は4.5mAという良好な値を得ることができました。時間領域の応答と出力ノイズを図2と図3に示します。

図2.時間領域の応答

図3.出力ノイズ