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閉じるEcoPhiのAI駆動型変電所オートメーションで逼迫するグリッド課題に対応
主なポイントEcoPhiの高精度なAI駆動技術は、アナログ・デバイセズの高精度技術を活用し、グリッドの変電所をスマートで自動化されたプロアクティブなノードへと変革します。その結果、以下が実現します。
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世界中の電力グリッドは老朽化が進み、逼迫が深刻化しています。電力需要の増加に加え、双方向EV充電、ヒート・ポンプ、分散型エネルギー資源(DER)、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)、更にAIやデータ・センターの演算負荷などにより運用が複雑化し、グリッドの安定性に前例のない課題をもたらしています。2030年までに、世界のグリッドへの投資額は2兆ドルを超えると予測されています。グリッドの強化を進める一方、よりスマートに運用し、停電を避けるには、既存グリッドの可視性を高める必要があります。
従来型変電所の課題
変電所は、電力グリッドの中継点として機能し、電力のバランスを保つように設計されています。高電圧で受電し、電力調整、スイッチング、ルーティングを行うことで、安全かつ効率的に電力を届けられるようにします。
これまで変電所は電力グリッドの中枢として、一方向のグリッドを前提に保護、オートメーション、制御を行うよう設計されてきました。しかし現在では、より複雑な双方向のグリッドへと移行し、リアルタイムで障害に対応することが求められています。この厳しい現実こそ、変電所の近代化が急務となっている理由です。ダウンタイムが発生するたび、運用者には多額の罰金が発生する場合があります。理想的な変電所システムとは、事前に障害を予測し、グリッド全体を把握できる仕組みです。そのためには、高品質なデータを迅速に取得し、リアルタイムでAI演算を行い、データに埋もれたパターンや知見を抽出する必要があります。
従来、部分放電(PD)や電力品質(PQ)の監視、保護、制御、オートメーションを実現するには、リレーごとに多数の個別ハードウェア・デバイスが必要で、それには膨大な配線と複雑なコミッショニングが伴いました。
こうした背景の中で登場するのが、EcoPhiとその創業者兼CEOであるEbrahim Balouji博士です。EcoPhiはグリッドの可視性を高め、変電所を障害の早期検出と予測が可能なスマートで自動化されたアセットへと変革することを使命とし、運用者のコスト削減、コミッショニングの迅速化、配線の削減に取り組んでいます。このビジョンを実現するため、Balouji博士はアナログ・デバイセズ(ADI)の技術的専門性と高精度技術を活用しています。
概要
会社概要
EcoPhiは、グリッドのデジタル化を実現する産業グレードのツール、ハードウェア、AIソフトウェアを提供し、変電所をスマートで効率的かつ自動化されたプロアクティブなノードへと変革します。
アプリケーション
EcoPhiは、仮想電力品質(vPQ)、仮想部分放電(vPD)、仮想位相測定(vPMU)を統合したオールインワン装置QMU 800を提供しています。なお、アナログ・デバイセズは高速24ビットADC、高精度アンプ、および高性能電源を提供しています。
課題
AI駆動のスマート・グリッドで挙動を可視化し、障害が発生する前に予測できる高精度ソリューションを開発することが求められています。
目標
電力グリッドをデジタル化し、信頼性と効率性を高めるとともに、リアルタイム・データとAIから得られた知見で、よりスマートな意思決定を可能にします。
EcoPhiのBalouji博士は、監視と制御、およびAIと機械学習という2つの博士レベルの専門分野の知見を融合し、電力品質(PQ)の仮想監視、位相測定ユニット(PMU)、保護、デジタル障害報告(DFR)、部分放電(PD)監視といったソリューションを一体化したオールインワンのデジタル・プラットフォームの開発を目指しました。このプラットフォームは、リアルタイムの予測制御を活用し、インテリジェントで自動化された監視とアクションを可能にします。
「アナログ・デバイセズとEcoPhiは、よりスマートな電力システムの中枢となる変電所運用の効率化・高度化という共通のビジョンを持ち、その必要性の緊急度も共有していました。こうした共通認識が、連携を円滑に進める基盤となりました」と、アナログ・デバイセズのEMEA担当エネルギー・フィールド・テクニカル・リーダーであるChristopher Murphy氏は述べています。
EcoPhiのソフトウェア主導型の高精度QMU 800でこれらの機能を統合することにより、スマート・グリッドの保護や制御、PD/PQ監視に必要な現場のハードウェアを80%削減できます。これは、Balouji博士の取り組みの中核となる大きな課題でした。
高精度測定でノイズに埋もれた潜在的な知見を抽出
人混みでも一人ひとりの声に特徴があるように、ケーブル内を流れる電力にも固有のサインがあります。しかし、ケーブルやトランス、接続デバイスに関する有用な情報を示すこれらのサインを検出するのは容易ではありません。これは、サインが微弱でノイズに埋もれやすく、背景に消えてしまうためです。
この高周波情報は、標準的な低サンプリング速度の汎用A/Dコンバータ(ADC)では測定できません。そこでEcoPhiは、最大2MHzの超高速サンプリングと24ビットのフル精度で信号を検出できる、アナログ・デバイセズの先進的なADC技術と高速信号処理技術を採用しました。アナログ・デバイセズはEcoPhiと迅速に連携し、シグナル・チェーンを完成させるとともに、コスト効率と性能を最大化し、市場投入までの時間短縮に貢献しました。
Christopher Murphy氏は次のように述べています。「解析と協議を経て、現地のアカウント・チームがアナログ・デバイセズの最適なソリューションを提案しました。それがアナログ・デバイセズの高速24ビットADCであるAD4030、高精度アンプのADA4945-1、そして高性能電源のLTC7819です。いわば、シグナル・チェーン全体を網羅する提案です。」
需要予測と障害防止
EcoPhiのシステムはAIを活用し、地域における朝の立ち上がり、昼間の低下、午後の増加、夜間の低下といった負荷プロファイルの典型的なパターンを学習することができます。リアルタイム・データをベースラインのパターンと比較することで、システムは迅速に異常を検知します。障害が予測または検出された場合、あるいは需要が急増した場合には、システムが別の地域にある変電所や発電所に通知し、「異常の兆候を検知しました。負荷の急増が予想されます。今すぐ追加電力を送電してください」と警告し、事前対策を可能にします。
他にも、都市計画担当者がある地域に5,000戸の住宅を新たに建設しようとする場合、システムは、過負荷になりそうなトランスや必要となる追加容量に関する知見をグリッド運用者に提供できます。
障害予測
部分放電(PD)―絶縁の損傷や電圧の異常で発生する小さな電気的スパーク―を検出するには、従来、数千マイルに及ぶケーブルに沿って多数のセンサーを配置する必要がありました。しかも、障害箇所がコンクリート内部や深い水中に埋設されている場合もあり、作業員を派遣して障害を特定するにはコストがかかり、効率も良くありません。EcoPhiのアプローチは、アナログ・デバイセズの高速高精度技術を用いて高調波成分を検出し、AIによってパターンを特定することで、PDの発生を高い確度で予測します。
障害の検出は、変電所のラックに収められている1台のオールインワン装置EcoPhi QMU 800が担います。EcoPhiのCTOであるJakob Lindqvist博士は次のように述べています。「QMU 800はリアルタイムでデータを収集し、ミリ秒単位で異常を検出できる仮想電力品質メータ・アプリケーションです。グリッドの状態を明確に把握するために多数の物理メータを設置・保守する必要がなく、IEC 61850などのサイバーセキュリティやグリッド・インフラストラクチャ向けのプロトコルともシームレスに統合できます。」
EcoPhiが提供する価値1
未来は仮想化へ
グリッドの可視性を高め、エネルギー課題に対応するには、デジタル化で変電所の自動化を進め、アナログの電気信号をAI解析が可能なマイクロ秒レベルのデジタル・データに変換することが求められます。Lindqvist博士は次のように述べています。「私たちはエネルギー・システムの監視と保守の在り方を見直し、異常が停電に至る前に対応できるツールを運用者に提供しています。アナログ・デバイセズの先進的な高精度ハードウェアおよびEcoPhiのソフトウェアと直感的なAIを組み合わせることで、電力会社が性能を最適化し、コストを削減し、より持続可能でインテリジェントなエネルギーの未来を実現する取り組みを後押しします。」