Line 6 採用事例
Line 6、SHARCを使用してギタリストに新しいトーンとヴィンテージ・トーンを提供 —
ギタリストは、常に、独自のスタイルを生み出したり、著名な演奏家のサウンドを手に入れたりするのに「ぴったりの」サウンドを楽器に求めています。こうした簡単には手に入らないサウンドを追求していくと、「慢性的な機材症候群」、つまり、望みのサウンドが奏でられる高価なボックスやパッチ・ケーブル、ギター、アンプを買い漁ることになります。Line 6が画期的なPOD®ギター・プロセッサでエレキギターのエフェクター業界に一大変革をもたらす前は、望みのサウンドを手に入れるためには,機材の収集とパッチングを試行錯誤で行うしか方法がありませんでした。PODは単一のエフェクト・ボックスというより、さまざまなエフェクト(トレモロ、リバーブ、フランジング、ディレイ、コーラスなど)を生成し、さらに(ノブを「11」に設定しなくても)史上もっとも望ましいアンプ独特のクリーンでオーバードライブされたトーンを作り出せるのです。
Line 6が開拓したテクノロジーは「モデリング」と呼ばれるもので、一連の複雑なデジタル・アルゴリズムを用いて、従来の「ストンプボックス」やヴィンテージ・ギター・エフェクト装置、真空管パワーアンプに見られるアナログ回路をエミュレートします。Line 6は、もっとも高い評価を受けている新旧のアンプやその他の機材を入念に計測したり解析したりして得たパワフルなDSPアルゴリズムを開発することによって、「ぴったり」のトーンを奏でるという難題に取り組んできました。Line 6は数多くの装置を解析したきたため、「トーン」を奏でるコンポーネントに対して独自の考えをもっています。トーンを生成するコンポーネントは他のコンポーネント(アンプやリバーブ付きストンプボックス、ロータリースピーカー)とともに使用することが多いため、Line 6は人気の高い機材のコンビネーションと、開発現場でしか出会うことのないコンビネーションをプリセットとして提供しています。このプロセスは極めて複雑なため、「トーン」そのものへの科学的理解と芸術に対しての深い理解が必要となります。
「弊社のモデリング・プロセスでは、個々のトーンを構成するエレメントのレベルまで深く掘り下げます。モデリングがアンプであれ、ギターであれ、クラシック・エフェクトであれ、SHARC上で動くアルゴリズムを作成する場合、回路レベルから解析をスタートし、それから実際ヴィのンテージ・デバイスの計測値を用いて設計を手直しします。古くなったコンポーネントのエフェクトや、オリジナルの設計者が予期しなかったトーンの影響(真空管アンプの場合は電源による変調、特徴的なエレキギターの場合はトレモロ・スプリングの共鳴)などを調べます。アンプ・モデリング・プロセスでもう一つの重要な部分は,素晴らしいギターサウンドとは分けて考えることのできない象徴的なレコーディングの行われたスタジオの環境にも及びます。私たちは、素晴らしいサウンドの録音空間でアンプのトーンだけでなく、うまく配置されたマイクロフォンの影響をも捉えます」
(主席DSPエンジニア、Angelo Mazzocco氏)
Line 6は、従来のプレミア・モデリング・ユニットを次のレベルにまで高めた2つの新製品、「M13 STOMPBOX MODELER」と「POD® X3 PRO」を発表したばかりです。PODはギター、バス、ボーカルの録音にアンプ・モデルやエフェクト・モデルを完備したラックマウント型のデュアル・トーン・プロセッサですが、 POD X3 PROはPODファミリーのなかでもっともパワフルな製品です。M13は、75種を超すモデルのストンプボックス・エフェクトの究極のコレクションを備えた、完全なペダルボードです。
Line 6はミュージシャン向けのDSP分野のパイオニアです。1997年に初代PODを発売して以来、ミュージシャンや録音技術者のギター・エフェクトへのアプローチを塗り替えてきました。デジタル・モデリングが本物のヴィンテージ・サウンドの再現への道を開き、クリエイティブなミュージシャンはこれによりモデリングによってしか得られないエフェクトを使って実験が可能となりました。Line 6はこの技術を拡大し、いくつものラインのアンプやモデリング・ギター(エレキギターもアコースティック・ギターも)を含むことができるようになりました。
Line 6は、このレベルの信号処理を最高の品質で完璧に実現するために、必要とされる性能を実現するのに十分パワフルで、かつ多くのさまざまなモデリング・アルゴリズムを調整するのに十分フレキシブルなプロセッサを必要としていました。
アナログ・デバイセズのDSPを使用した当社の最初の製品「Vetta(TM)」から「M13」のような最新のSHARCベースの製品まで、SHARCのパワーとフレキシビリティと使いやすさのおかげで迅速な試作と創造的な実験が可能となりました。SHARCのもつ自由とスケーラビリティが私たちのモデリング技術の進化を促し、より高度な機能と技術力でお客さまによりよいサービスが提供できるようになったのです」(主席DSPエンジニア、Angelo Mazzocco氏) 「さらに、私たちは極めて有用で十分な機能を備えたDSPデバッガにも大変助けられました。これは当社の開発プロセスの重要な一部となっています」
SHARCは、外付けのRAMに接続するためのSDRAMインターフェースやDMAコントローラなどのペリフェラル・デバイスを内蔵しています。主要なペリフェラルを集積化したことは、性能の面から重要であるだけでなく部品コスト(BOM)や消費電力、PCボード面積の削減にも寄与しています。
新製品の「Spider Jam™」と「JM4™」では、SHARCがこれらのシステムで中心的な役割を果たしているため、アナログ・デバイセズの「VisualDSP++カーネル」を採用することに決定しました。VisualDSP++ 環境に完全に統合されたフレキシブルなリアルタイム・オペレーティング・システムがあるというのは、大きなメリットでした。シニア・エンベデッド・エンジニアのJoe Sarlo氏によると、「VDK(VisualDSP++カーネル)は素晴らしい製品です。VDKは他の多くの不要な機能への対応や、コードの構成を変更なしに、スレッドやセマフォのようなものを本当に使いやすい方法で提供してくれます。つまり、VDKはモジュラー方式なので、自分が必要とする部分だけ使用できるのです」
Line 6は、アナログ・デバイセズの「Crosscore開発ツール」とVisualDSP++を用いて製品を開発しています。Line 6は、十分に調査研究されたLine 6モデルを作成するアルゴリズムとパラメータを備えた、独自の信号処理カーネル・ライブラリとコード・ライブラリを開発しています。Line 6では現在、十数に及ぶ製品にSHARCプロセッサを使用していますが、引き続きSHARCプロセッサ技術をベースにした新しいモデルと製品を発表する予定です。
「Line6では、SHARCプロセッサがエフェクト・プロセッサやアンプ向けの優れた選択肢であり、ミュージシャンはこれによってクリエイティブでモダンなトーンやヴィンテージ・サウンドを手に入れることができ、また練習やスタジオ録音、ライブパフォーマンスのために必要なエフェクトも同時に提供することができるとわかったのです。SHARCは、プロ級の品質の信号処理を実現し、そのパワフルな処理能力でヴィンテージ・トーンの正確なエミュレーションと独自のアルゴリズムを実現します。」 — Line 6 主席DSPエンジニア Angelo Mazzocco氏 |
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