WCDMAアプリケーションで使用するMAX2322

2003年07月10日

Figure 1

   

要約

MAX2322は、PCS (1900MHz)帯域CDMA (符号分割多重アクセス方式)アプリケーション用に最適化された高性能SiGeレシーバフロントエンドICです。この製品にはLNA、ミキサ、および選択可能な周波数LOバッファがあります。このアプリケーションノートには、2.14GHzのWCDMA (広帯域CDMA)アプリケーション用に調整されたMAX2322の測定性能が紹介されています。この例で使用されている中間周波数(IF)は190MHzです。分析ではフロントエンド利得、ノイズ指数および3次インターセプトが示されており、それぞれ18.5dB、5.8dBおよび-4.1dBmです。

追加情報

はじめに

MAX2322は、PCS (1900MHz)バンドのCDMA (Code Division Multiple Access:符号分割多重アクセス)アプリケーション用に最適化された高性能SiGeレシーバフロントエンドICです。MAX2322には、LNA、ミキサ、及び選択可能な周波数LOバッファが含まれています。LNAには、高利得高直線性、高利得低直線性、及び低利得の3種類のモードがあります。これらのモードは、LIN、GAIN、及びSHDNの各ピンによって制御されます。ミキサには、高IIP3 (Input Third-Order Intercept Point:入力3次インターセプトポイント)で、低ノイズの差動IFポートがあります。このアプリケーションノートでは、2.14GHzのWCDMA (広帯域CDMA)アプリケーション用にチューニングしたMAX2322の性能の測定結果について説明します。この例で使用した中間周波数(IF)は、190MHzです。

図1. MAX2322のブロック図

図1. MAX2322のブロック図

アプリケーション回路の性能

LNAセクションは、13dBの利得と2dBのNFを達成し、IIP3は8.8dBmです。入力と出力の反射減衰量は、それぞれ-11.1dBと-27.5dBです。低利得モードに切り替えると、利得は10dB減少します。LNAのバイアス抵抗を変更すると、IIP3と消費電流を設定することができるため、要求に合わせた柔軟な設計が可能となります。

ミキサセクションは、LO入力レベルが-7dBmの場合、10.5dBの利得と9.3dBのNFを達成し、IIP3は4dBmです。このミキサは、差動 IF出力用に最適化されており、IF出力マッチング用に2kΩの並列抵抗が必要です。このボードは、190MHz IF出力に同調され、バランを介して50Ωにマッチングされます。評価ボードのバランは、RF測定機器との簡易インタフェースとして使用されます。また、ミキサにはオフチップバイアス抵抗があります。バイアス抵抗を変更すると、IIP3と消費電流の値が変化します。

図8に回路図を示し、表1と表2に性能データを示します。

表1. LNAの性能
(VCC = 3.0V、高利得モードと低利得モードを設定、BUFFEN = ローレベル、LOX2 = ローレベル)
LNA High-Gain Mode
  (unit) 2110MHz 2140MHz 2170MHz
NF (dB) 1.99 2.08 2.18
Gain (dB) 13.13 12.78 12.51
Input RL (dB) -11.43 -11.85 -11.56
Output RL (dB) -31.35 -27.53 -23.46
Input IP3 (dBm) 8.92 8.83 9.17
ICC (IC total) (mA)   20.2  
LNA Low-Gain Mode
2110MHz 2140MHz 2170MHz
5.20 5.47 6.41
-2.59 -2.87 -3.45
-23.51 -22.61 -20.87
-21.56 -21.94 -16.77
11.83 14.41 12.33
  16.79  
表2. ミキサの性能
(VCC = 3.0V、LO = ハイサイド入力、IF = 190MHz)
  (unit) 2110MHz 2140MHz 2170MHz
NF (dB) 9.82 9.36 10.15
Gain (dB) 10.88 10.58 10.30
Input IP3 (dBm) 4.00 4.00 3.91

上記の2つの表には、入力と出力の伝送ライン損失は含まれていません。

図2. S11のスミスチャート。

図2. S11のスミスチャート。

図3. S22のスミスチャート。

図3. S22のスミスチャート。

図4. S11。

図4. S11。

図5. S21。

図5. S21。

図6. S12。

図6. S12。

図7. S22。

図7. S22。

カスケード解析

デュプレクサの損失を2dB、状態間のバンドパスフィルタ(BPF)の損失を3dBと仮定した場合、カスケード性能は次のようになります。

Gain 18.5dB -2dB 13dB -3dB 10.5dB
NF 5.8dB 2dB 2dB 3dB 9.3dB
IIP3 -4.1dB 8.8dBm 4dBm

図8. MAX2322アプリケーションの回路図。

図8. MAX2322アプリケーションの回路図。



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