要約
このアプリケーションノートでは、MAX4382トリプルアンプを使用して、デュアル電源電圧で、低コスト、トリプルチャネル、3極のローパスSallen-Keyフィルタを構築する方法について説明します。この回路によって30MHz帯域幅のバターワース応答が得られ、HDTVアプリケーションのビデオ再生フィルタリングに理想的です。また、MAX4382は、デュアル電源構成と同等のフィルタ性能を備えた、単一電源の入力バイアスネットワークの一部としても紹介しています。
HDTVアプリケーションでは、RGBおよびコンポーネントビデオ(Y、Pb、およびPr)信号の再生にローパスフィルタが使用されています。ローパスフィルタは、高周波の信号レプリカを除去するためビデオDACの後に配置され、さらにアンチエイリアシングのためビデオADCの前にも配置されています。MAX4382の高速でトリプルチャネルのアンプを使用すると、HDTVアプリケーションに理想的なローパスフィルタを構築することができます。
図1は、MAX4382を実装した1チャネルでデュアル電源の構成を示しています。これは、3極のSallen-Keyバターワースローパスフィルタであり、ここで、電流DACがビデオ信号を生成し、抵抗器(RL)が振幅を設定します。MAX4382とRL、R1、R2、C1、およびC2によって、利得が2の2極Sallen-Keyローパスフィルタを形成しています。出力端の駆動負荷(75Ω)およびRTとCpによって実際の極が設定されます。図1の回路では、-3dB帯域幅はおよそ30MHzです(図2)。減衰量は44.25MHzで約14dB、74.25MHzで約28dBです。群遅延はおよそ6.5nsです(図3)。電流DACの負荷が75Ωでない場合、関係式R1 + RL = 150Ωを使用して、R1の値を設定してください。RLが150Ωより大きい場合は、C1、C2、R1、およびR2を調整する必要があります。
図1. 3極、Sallen-Key、バターワースローパスフィルタでのMAX4382
図2. 利得 対 回路の周波数
図3. 群遅延 対 回路の周波数
5Vの単一電源アプリケーションでは、ビデオ信号は通常0V~1Vになります。アンプの出力端でビデオ信号のクリッピングを防止するため、MAX4382の入力端でDCバイアスが必要となります。図4は、シングルチャネルの入力バイアスネットワークを示しています。R3、R4、および、C3がRLとともに追加され、入力端で150mVのDCバイアスを生成しています。アンプ出力端でのDCレベルは約300mVですが、これは出力段が線形で動作するのに十分な値です。R4とC3は電源ノイズの除去に役立ちます。フィルタの性能は、デュアル電源構成の場合と同じです。
図4. シングルチャネルの入力バイアスネットワークでのMAX4382