オーディオ/ビデオアプリケーションにおけるDirectDriveビデオフィルタアンプの負チャージポンプとアナログスイッチの導入

オーディオ/ビデオアプリケーションにおけるDirectDriveビデオフィルタアンプの負チャージポンプとアナログスイッチの導入

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説明

MAX9503/MAX9505 DirectDriveビデオフィルタアンプには、アナログスイッチ(MAX9505のみ)と負チャージポンプが集積化されています。これらのデバイスは2.7V~3.6Vの単一電源で動作します。直接ビデオDACの出力に接続することが可能で、出力側でビデオ信号の黒レベルをグランドに設定します。余分な負電圧電源と大きな出力DCブロックコンデンサが不要になるため、コストと基板スペースを節約することができます。以下で検討するように、負チャージポンプとアナログスイッチを使ってオーディオ/ビデオアプリケーションの性能を改善することができます。

負チャージポンプを使用したシンクチップ電圧の調節

MAX9503/MAX9505は、入力シンクチップ信号が0~50mVの範囲のときに、出力の黒レベルが-0.1V~0.1Vの範囲に収まるようになっています。一部のアプリケーションでは、ビデオDACからのシンクチップレベルに50mVを超えるオフセットが含まれる場合があります。こうした入力信号に対しては、MAX9503/5の出力の黒レベルが100mVより大きくなる可能性があります。出力側でグランドの黒レベルが必要な場合は、図1の回路を使用して入力信号を下方にレベルシフトし、出力の黒レベルを調整することができます。ビデオDACの駆動負荷を150Ωとすると、入力と負チャージポンプの出力CPVSS (-3.3V)の間に13kΩの抵抗を接続します。この抵抗分割ネットワークによって、入力信号が約40mV下方にレベルシフトされます。チャージポンプ出力のリップルは約40mVP-Pです。この抵抗分割ネットワークの使用によって、ビデオ入力のリップルノイズは0.5mV以下になり、無視できる範囲になります。

図1. MAX9503/MAX9505を使って入力信号を下方にレベルシフトし、出力の黒レベルを調節する。

図1. MAX9503/MAX9505を使って入力信号を下方にレベルシフトし、出力の黒レベルを調節する。

オーディオ/ビデオアプリケーション向けのアナログスイッチの使用

MAX9505には、図2のように4極マルチメディアジャックとインタフェース可能なアナログスイッチが集積化されています。ビデオ出力とマイクロフォン入力には、同じピンが共用されています。スイッチの動作は、MODE0ピンとMODE1ピンによって論理レベルで制御することができます。マイクロフォン入力を使用するときは、スイッチが閉じられてオーディオ信号がスイッチを通してベースバンドICに渡されます。ビデオアンプはディセーブルされ、出力はハイインピーダンス状態になります。R1とR2が、オーディオのバイアス電圧を1.4Vに設定します。アナログスイッチの帯域幅は200MHzであり、ビデオ信号の切り替えに使用することができます。図3は、MAX9505を双方向ビデオ入出力アプリケーションに使用した例です。R3は外部の入力ビデオ信号に対する75Ωの終端抵抗です。

図2. MAX9505のアナログスイッチは、オーディオ(マイクロフォン)入力用の4極マルチメディアジャックとインタフェースできる。

図2. MAX9505のアナログスイッチは、オーディオ(マイクロフォン)入力用の4極マルチメディアジャックとインタフェースできる。

図3. MAX9505を双方向ビデオ入出力アプリケーションに使用した例。

図3. MAX9505を双方向ビデオ入出力アプリケーションに使用した例。