これは、MAX16834を用いた、長いLEDストリング向け昇圧LEDドライバのリファレンス・デザインです。このアプリケーションは、大型LCD TVやディスプレイのLEDバックライトや、街路灯や駐車場の照明に適しています。VIN:24VDC ±5% (1.22A出力時)
VLED構成:直列に23個のLED(75V)、350mA
調光:最低3.33µsのオンパルス(3000:1の調光比、調光周波数 = 100Hz)
注:この設計は構築およびテスト済みです。ただし、詳細な試験は行っておらず、わずかな相違が生じる可能性があります。
図1. LEDドライバ基板
図2. LEDドライバの回路図
図3. LEDドライバのレイアウト
図4. 部品表
図5. 設計のスプレッドシート。個々の設計に必要なスプレッドシートについては、アナログ・デバイセズにお問い合わせください。
図6. ドレイン電圧と電流検出抵抗の電圧(50mΩ)
図7. ドレイン電圧の立上がり時間
図8. 出力電圧(ACカップリング)とセンス抵抗の電圧
図10. インダクタ温度の上昇。計算ツールはCoilcraft®から入手可能です。
回路の説明
概要
このリファレンス・デザインは、非常に長いLEDストリングに適した、高電圧の昇圧電流ソースです。アプリケーションとしては、LCD TVのバックライト、LCDモニタのバックライト、街路灯、および駐車場の照明などがあります。長いLEDストリングは、LEDを駆動する上で非常にコスト効果の高い方法です。また、LEDには正確に同じ電流が流れるため、輝度の変動は精密に制御されます。この設計は24V入力、最大80VのLED出力に対応し、LEDストリングを350mAで駆動できます。測定された入力電力は29.3W、出力電力は26.4Wであり、効率は約90%です。
PCB
プリント基板(PCB)は、MAX16834のブースト設計用の汎用基板です(図1および図3)。そのため、不足している、または実装されていない部品が多くあります。これらの部品は、回路図に示されています(図2)。図4にこの設計での部品表を示します。
トポロジ
この設計は、300kHzの不連続昇圧レギュレータです。図5のスプレッドシートでは、MOSFETおよびインダクタでの計算された実効値およびピーク電流を示しています。不連続設計には確かにいくつかの欠点があり、MOSFET電流およびインダクタ電流が著しく大きくなります。しかしながら、MOSFET(Q1)がオンになるときの出力電流は基本的にゼロになるため、出力ダイオード(D2)での逆回復損失は最小限に抑えられます。逆回復電流による過熱およびノイズを処理するのは難しいため、この利点は設計上の欠点に勝ります。図6の回路波形を観測すると、MOSFETのオン時間は約1.6µsであることがわかります。MOSFETが一旦ターンオフすると、インダクタが出力コンデンサと導通する間、ドレイン電圧は約1µsで75Vに急上昇します。その後、インダクタのエネルギーが基本的には放出され、インダクタンスとMOSFET出力容量によって次のオン時間までマイクロセカンドの間リンギングします。
MOSFET駆動
断続設計のため、MOSFETのピーク電流は連続設計での電流の2倍以上になります。しかしながら、ターンオン期間中はMOSFETに電流が流れないため、ターンオフ期間中にのみスイッチング損失が発生します。MAX16834はMOSFETを約20nsでターンオフにスイッチするだけの十分な強度で駆動をするため(図7)、温度上昇を低く抑えます。EMIが問題になる場合には、MOSFETのゲートに接続された直列抵抗とダイオードを変更してスイッチング時間を調整できます。必要に応じて、温度上昇を低減するために2つ目のMOSFET(Q2)をQ1と並列に接続します
出力コンデンサ
ドライバは、入力と出力の容量用に長寿命の電解コンデンサを使用します。電解コンデンサは、セラミック・コンデンサに比べて、耐久性がなく小型でもありませんが、低価格で大容量を提供できるという利点があります。高さを低く(10mm)抑えるために、コンデンサは水平方向に寝かされています。入力と出力のコンデンサは、+105°Cの温度において、それぞれ4000時間および8000時間の定格です。一般的に、周囲温度が10°C低下するごとに、電解コンデンサの寿命は2倍になります。これによって、周囲温度+65°Cでは、入力/出力コンデンサは64000時間/128000時間、性能を維持すると期待できます。図5のスプレッドシートには、目的の出力リップル電圧を実現するため必要な出力コンデンサの容量はわずか6µFであると示されています。電解コンデンサのリップル電流能力には限界があるため、この設計では47µFコンデンサを2個使用しています。容量が十分大きいため、ほとんどのスイッチング周波数のリップル電圧を除去します(図8)。しかしながら、コンデンサが大きな等価直列インダクタンス(ESL)を備えた電解タイプのため、スイッチングMOSFETがターンオフするときに発生する回路ノイズは十分に除去されません。セラミック・コンデンサまたは低QのLCフィルタを出力に追加すると、この問題を低減できます。このようなオプションはコストを要するため、対策を実施する前に高周波スパイクによる問題があるかどうかを確認することが最良の方法です。
調光
MAX16834は調光に大変適しています。PWMDIM (ICの10番ピン)がローになると、次の3つの動作が発生します。第一は、スイッチングMOSFET(Q1)のゲート駆動(13番ピン)がローになります。これによってLEDストリングに供給される余分なエネルギーを防止します。第二は、調光MOSFET(Q3)のゲート駆動(18番ピン)がローになります。LEDストリングの電流が直ちに抑制されることに加えて、調光MOSFETがオフ時間の間出力コンデンサの電圧を一定に維持します。最後に、補償コンデンサを定常状態の電圧に固定し続けるために、COMP(3番ピン)が高インピーダンスになります。COMPピンが高インピーダンスとなることで、ICはPWMDIMがハイに復帰した後直ちに正しいデューティサイクルで確実にスタートできます。これらの各動作、そして不連続設計においてインダクタが各サイクルでゼロ電流からスタートするという事実によって、非常に短いPWMオン時間、および高い調光比が可能になります。調光比の唯一の実際的な制限は、メインのスイッチング・ドライバの周波数です。この設計は300kHz用のものであるため、最小のPWMオン時間は約3.33µsであり、調光比は最大で1500:1(200Hzの調光周波数)です。図9は、オン時間が4µs以下でのLEDストリングの電流を示しています。LEDストリング電流は正常に動作し、パルス期間中に最大の350mAを供給します。
OVP
LEDストリングがオープンになった場合には、MAX16834の過電圧保護(OVP)回路はドライバを、リトライ間隔である約400msの間シャットダウンします。この設計ではOVPの検出スレッショルドを101Vに設定しています。
FAULT#
MAX16834はFAULT#と呼ばれる出力信号を供給します。この信号は、何らかの内部フォルト(過電流または過電圧)が検出された場合にローになります。フォルトが取り除かれると、FAULT#信号はハイに復帰します。FAULT#はラッチされません。
温度上昇
高効率(~90%)の回路によって、ドライバの各部品は低温に保たれます。明らかな例外としてはインダクタになり、図10に示されたCoilcraftの予測(+27°Cの上昇)より高く+49°Cの上昇になります。不連続設計ではピーク電流が実効値電流の2倍を超えることがあり、その場合には予測精度は不正確になります。周囲温度が高いアプリケーションでは、車載定格のインダクタ(+125°C)を使用するか、6µHのインダクタを2つ直列に使用することが必要になる可能性があります。周囲温度がこれより低い多くのアプリケーションでは、1つの12µHインダクタで許容できます。
| VIN | 24VDC | - |
| 周囲温度 | +22°C | ΔT |
| L1: | +71°C | 49°C |
| D2: | +43°C | 21°C |
| Q2: | +38°C | 16°C |
| Q3: | +34°C | 12°C |
パワーアップ手順
- 最大23個のLEDストリングをLED+ポストとLED-ポストの間に接続します。
- 24V、2Aの電源をVINポストとGNDポストの間に接続します。
- 調光が必要な場合には、PWM信号(0~5V)をDIM INポストとGNDポストの間に接続します。
- 24V電源をオンにします。
- 必要に応じてPWMのデューティサイクルを調整して、調光を実施します。
- CoilcraftはCoilcraft, Incorporatedの登録商標です。