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評価用ボード

型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。

  • EVAL-CN0198-SDPZ 5 V Regulator Supplies High Transient Current for Dynamic Power Controlled DAC
  • EVAL-SDP-CB1Z ($116.52) Eval Control Board
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デバイス・ドライバ

コンポーネントのデジタル・インターフェースとを介して通信するために使用されるCコードやFPGAコードなどのソフトウェアです。

AD5755 IIO Multi-Channel DAC GitHub Linux Driver Source Code

AD5755 GitHub no-OS Driver Source Code

機能と利点

  • クワッド16ビットDACは、4 mA~20 mA出力
  • ダイナミックに調整された昇圧電圧
  • 外部5 V電源

回路機能とその特長

図1の回路は、D/Aコンバータ(DAC)をベースにした、4 mA~20 mA出力回路のユニークな省電力ソリューションです。10 Ω~1000 Ωの標準的抵抗性負荷に対して十分なヘッドルームを確保するため、従来の4mA~20mA出力段は、少なくとも20 V(プラスいくらかの追加ヘッドルーム)で動作する必要があり、大きな抵抗性負荷をドライブするための十分な電圧が供給出来なければなりません。には、しかしながら、、値の小さな抵抗性負荷の場合、固定の高電圧電源は内部消費電力が大きくなるためDACの精度に影響を与える可能性があり、追加のヒートシンクが必要になることがあります。

AD5755クワッド16ビットDACは、4 mA~20 mA出力の実際の電圧を検出し、それに基づいてダイナミックに調整された昇圧電圧を供給する4個の独立した高効率DC/DCコンバータを内蔵しています。負荷抵抗値に関係なく、昇圧回路が出力段のヘッドルームを数ボルトに維持します。それによって、10 Ω負荷に24 mA出力電流が流れる場合、最大内部消費電力を約1/4に減らします。

内部DC/DCコンバータは外部5 V電源を必要としますが、DAC出力がフルスケールまでスイングしても大きな電流を引き込むことが出来ます。ADP2300をベースにした高効率外部DC/DCコンバータ回路が15 Vでドライブされ、この電圧を供給します。ADP2300は800 mAまでの大きな電流ステップに対する過渡応答が優れており、昇圧コンバータの適切な動作を保証し、別の5 V電源を不要にします。

回路全体は±15 V電源で動作するので、DACは(4 mA~20 mAの出力に加えて)工業用信号レベルの範囲である最大±10 Vをカバーする電圧出力を与えることができます。必要な外付け部品数を少なく抑え、変化する負荷状態で16ビットの性能を保証する低価格で電力効率の高いソリューションを与えます。

図1.電源回路を改良した電流および電圧出力DAC(簡略回路図:接続とデカップリングの一部は表示を省略)

 

回路説明

この回路は、AD5755 のスルーレート制御およびダイナミック消費電力制御機能を強化して、フル機能で堅牢なDACソリューションを実現します。ADP2300を使った簡単な降圧DC/DCコンバータの実装により、この回路は、AD5755の出力が大きく変化するのに必要な通常より高い電源電流を供給することができます。

AD5755は、デジタル・データをアナログ電流(たとえば、0 mA~20 mA、4 mA~24 mA、または0 mA~24 mA)または電圧出力(0 V~5 V、0 V~10 V、±5 V、または±10 V)へ変換する標準的DACのように動作します。AD5755は−26.4 Vまでの拡張AVSS電源範囲、および+33.0 VまでのAVDD範囲で動作します。


消費電力制御

標準的電流制御モジュールまたはアクチュエータの設計では、負荷抵抗値は一般に50 Ω~750 Ωの範囲で変えることができますが、10 Ωまで下げることも、1 kΩまで上げることもできます。4 mA~20 mA出力ドライバ段は負荷抵抗値の全範囲に対して十分なヘッドルームを与える電源電圧で動作させる必要があります。

たとえば、24 mAで1 kΩ負荷をドライブするとき、3 Vのヘッドルームが必要だと仮定すると、27 Vを上回る電源電圧が必要です。この場合、出力ドライバによるパッケージ内部の消費電力は3 V × 24 mA = 72 mWです。ただし、同じ27 Vの電源電圧で10 Ω負荷をドライブするとき、ドライバによる内部消費電力はおよそ27 V × 24 mA = 648 mWになります。クワッドDACの場合、2.5 Wを超えます。

AD5755回路は出力電圧を検出し、昇圧電源の電圧を、電源電圧要件に十分なヘッドルームを加えた電圧に動的に安定化します。24 mAの出力で10 Ωをドライブする場合、昇圧電圧が7.4 Vのとき、内部の消費電力はわずか7.4 V × 24 mA = 178 mWです。これは、制御されない場合に比べて1/4に近い省電力に相当します。

5V入力で動作する4個の独立したDC/DCコンバータによって、4つのDAC出力のそれぞれに別個の昇圧電源電圧を発生します。


DC/DCコンバータ

AD5755は4個の独立したDC/DCコンバータを内蔵しています。それらはそれぞれのチャンネルのVBOOST_X電源電圧を動的に制御します。DC/DC回路に必要なディスクリート部品を図2に示します。以下のセクションでこの回路の動作を説明します。

図2.DC/DCの外部回路

 

CDCDCの後に10 Ω、100 nFのローパスRCフィルタを配置することを推奨します。これは電力を少し消費しますが、VBOOST_X電源のリップルを低減します。

LDCDC、CDCDC、および DDCDCの推奨部品値を表1に示します。


表1.DC/DCコンバータのディスクリート部品
 Symbol  Components  Value  Manufacturer
  LDCDC  XAL4040-103  10 μH
 Coilcraft
  CDCDC  GRM32ER71H475KA88L  4.7μF  Murata
  DDCDC  PMEG3010BEA  0.38VF  NXP


DC/DCコンバータの動作

内蔵DC/DCコンバータは固定周波数のピーク電流モード制御回路を使って、4.5 VのAVCC入力を5.5 Vに昇圧し、AD5755の出力チャンネルをドライブします。これらは、デューティ・サイクルがTyp< 90%の不連続導通モード(DCM)で動作するように設計されています。

不連続導通モードは、スイッチング・サイクルのかなりの部分でインダクタ電流がゼロになる動作モードを指します。DC/DCコンバータは非同期なので、外付けのショットキー・ダイオードが必要です。


DC/DCコンバータの出力電圧

チャンネルの電流出力がイネーブルされると、コンバータはVBOOST_X電源を7.4 V (±5%)または(IOUT × RLOAD + ヘッドルーム)のどちらか高い方の電圧に安定化します。ヘッドルーム電圧は約3 Vです。

出力がディスエーブルされた電圧出力モードでは、コンバータはVBOOST_X電源を+15 V (±5%)に安定化します。出力がディスエーブルされた電流出力モードでは、コンバータはVBOOST_X電源を7.4 V (±5%)に安定化します。

チャンネル内では、VOUT_X段とIOUT_X段はVBOOST_X電源を共有するので、IOUT_X段とVOUT_X段の出力を結合することができます。


DC/DCコンバータのセトリング時間

電流出力モードにおいて、約1 V (IOUT × RLOAD)より大きなステップのセトリング時間はDC/DCコンバータのセトリング時間によって決まります。例外は、IOUT_Xピンに必要な電圧にコンプライアンス電圧を加えた電圧が7.4 V (±5%)を下回るときです。小さな負荷のセトリング時間は高速になります。24 mA より小さな電流ステップのセトリング時間も高速になります。


DC/DCコンバータのVMAXの機能性

VBOOST_Xの最大電圧は、DC/DC制御レジスタで設定されます。この最大電圧に達すると、DC/DCコンバータはディスエーブルされ、VBOOST_X電圧を約0.4 Vだけ減衰させます。電圧が減衰した後DC/DCコンバータは再度イネーブルされ、必要に応じて、電圧は再度VMAXまで上昇します。

図3.VMAXの動作

 

図3に示すように、状態レジスタ内のDC-DCxビットは、AD5755がVMAX値まで上昇中はアサートされ、電圧がVMAX − 0.4 Vまで減衰中はデアサートされます。


AVCC電源の静的電流要件

DC/DCコンバータは次のVBOOST_X電圧を供給するように設計されています。

VBOOST = IOUT × RLOAD + ヘッドルーム

つまり、負荷と出力電圧を固定した場合、DC/DCコンバータの出力電流は次のように計算することができます。

CN0198_equation1

ここで、

IOUTはアンペアで表したIOUT_Xからの出力電流です。
ηVBOOSTは分数で表したVBOOST_Xの効率です。


AVCC電源の遷移電流の要件

出力が遷移しているときは、DC/DCコンバータの出力容量を充電するため出力電力が増加します。そのため、AICC電流の要件は静的動作の場合より大きくなります。十分なAICC電流が供給されないと、AVCC電圧が低下します。このようなAVCCの低下により、出力遷移に必要なAICC電流はさらに増加します。このことは、AVCC電圧がさらに低下し、VBOOST_X電圧、つまり出力電圧がその所定の値に決して達しない可能性があることを意味します。このAVCC電圧は全てのチャンネルに共通なので、他のチャンネルにも影響を与える可能性があります。


ADP2300のAVCC電源

前に説明したように、AD5755の電源電流要件を満たす簡単な5 Vレールを生成するのにADP2300およびいくつかのディスクリート部品が使われています。出力電圧は、図4に示すように、出力電圧からFBピンに接続した抵抗分圧回路によって外部で設定されます。

図4.ADP2300の標準的アプリケーション(ADP2300評価用ボード)

 


テスト・データと結果

全てのテスト・データは、EVAL-AD5755SDZボード、 EVAL-SDP-CB1Zボード、 および ADP2300-EVALZ ボードを使って得られました。ADP2300回路を使ったシステムの積分非直線性(INL)、微分非直線性(DNL)、および総合未調整誤差(TUE)をそれぞれ図5、図6、および図7に示します。全ての測定で、AD5755昇圧レギュレータがアクティブでした。

システムのドキュメント一式がCN0198デザイン・サポート・パッケージに含まれています。 CN0198 Design Support package.

図5.電圧出力のINL

 

図6.電圧出力のDNL

 

図7.電圧出力のTUE

 

バリエーション回路

AD5755-1AD5755に類似しています。ただし、HART接続に対応しています。各チャンネルは、それぞれ対応するCHARTxピンを備えており、HART信号をAD5755-1の電流出力に結合させることが出来ます。

回路の評価とテスト

この回路にはEVAL-AD5755SDZ回路ボードとEVAL-SDP-CB1Zシステム・デモンストレーション・プラットフォーム(SDP)評価用ボードが使用されています。2枚のボードは120ピンコネクタを備えているので、短時間で組み立てて回路の性能を評価することができます。

EVAL-AD5755SDZ回路ボードには評価対象の回路が含まれており、データをキャプチャするためにSDP評価用ボードがAD5755評価用ソフトウェアと一緒に使われています。


必要な装置


以下の装置類が必要になります:


  • USBポート付きPCおよびWindows® XP、Windows Vista® (32ビット)、またはWindows 7 (32ビット)
  • EVAL-AD5755SDZ回路ボード
  • EVAL-SDP-CB1Z SDP評価用ボード
  • ADP2300-EVALZ評価用ボード
  • AD5755評価用ソフトウェア
  • 電源:±15 V
  • デジタル・マルチメータ(Agilent 34401A等)
  • GPIB-USBケーブル(DACからアナログ・データをキャプチャしてPCに送信する場合にだけ必要)


評価開始にあたって


AD5755評価用ソフトウェアのCDをセットしてPCにロードします。マイコンピュータから評価用ソフトウェアCDを挿入したドライブを探し、Readmeファイルを開きます。Readmeファイルの指示に従って評価用ソフトウェアをインストールし、使用します。


機能ブロック図


図8にテスト・セットアップのブロック図を示します。 EVAL-CN0198-SDPZ-SCH-RevX.pdfファイルには回路図が含まれています。このファイルはCN0198デザイン・サポート・パッケージに含まれています。

 

図8.写真のテスト・セットアップのブロック図

 


セットアップ


EVAL-AD5755SDZの120ピン・コネクタをEVAL-SDP-CB1ZCON Aコネクタに接続します。120ピンのコネクタの両端にある孔を使って2つのボードをしっかり固定するのにナイロン製ハードウェアを使います。

電源をオフにした状態で、以下の手順で組み立てます。:


  • ±15 V電源をEVAL-AD5755SDZのJ5端子ブロックに接続します。
  • 15 V電源をADP2300-EVALZの入力に接続します。
  • 出力ピンをEVAL-AD5755SDZのJ6コネクタに接続します。
  • ±15 V電源をEVAL-AD5755SDZのJ5コネクタに接続します。
  • SDPボードに付属しているUSBケーブルをPCのUSBポートに接続します。注意:このときUSBケーブルをSDPボードのmini-USBコネクタに接続しないでください。

テスト

ADP2300-EVALZの電源とEVAL-AD5755SDZの電源をオンにします。

USBケーブルをPCからSDPボードのmini-USBコネクタに接続し、評価用ソフトウェアを立ち上げます。

USB通信が確立したら、SDPボードを使ってEVAL-AD5755SDZとデータを送受信することができます。

EVAL-SDP-CB1Zに関する情報がSDP ユーザガイドに掲載されています。

テスト・セットアップおよびデータ・キャプチャのための評価用ソフトウェアの使い方に関する詳細な情報がCN-0198 ユーザガイドに掲載されています。

 

図9.EVAL-AD5755SDZボードの写真