信号の変換と保護用のメモリカードインタフェース
要約
このアプリケーションノートでは、MAX13030E~MAX13035Eロジックレベルトランスレータをメモリカードレベルトランスレータとして使用する方法を説明します。回路例でこれらのデバイスの優位性を示します。
図1に示す回路は、MAX13030E~MAX13035Eロジックレベルトランスレータ回路ICを使ってメモリカード信号のロジックレベルを変換し、同時に最大±15kV HBM (Human Body Model)のESDから信号を保護する方法を示すものです。たとえば、MAX13035Eは(ベースバンドプロセッサ、アプリケーションプロセッサ、マルチメディアプロセッサなどの)任意のメモリカードコントローラから1.8Vの信号を受け取り、自動的に3.3Vに変換します。このデバイスは、これと逆のプロセスを実行することもできます。この回路は、SDカード、MMC、TransFlash® (microSD)、MiniSD、メモリースティック、メモリースティックPRO、および類似のメモリカードに使用することができます。
これらのデバイスは独自アーキテクチャを使用しており、DIR (方向)端子やW/R (書込み/読取り)端子を使ってデータの方向を示す必要がありません。このアプローチにはいくつかの利点があります。第1に、必要な信号数が少ないため、MAX13035Eファミリのパッケージサイズは16バンプUCSPでわずか2mm × 2mmにまで小型化されています。第2に、これまで信号の方向を示すために使用していたベースバンドプロセッサのI/Oを、他の目的に使用することができます。最後に、必ず過密状態になるレイアウトの中で、配線すべき信号の数が1つ減ります。
MAX13035Eの独自アーキテクチャでは、内蔵の電流ソースを使用して、入力ハイインピーダンス時にもバス上で既知の状態を保証しています。この設計によって、外付けのプルアップまたはプルダウン抵抗が必要なくなります。各チャネルは相互に交換可能であり、最高50MHz (100Mbps)のCMOSプッシュプル信号または200kHz (400kbps)のオープンドレイン信号と互換性があります。この柔軟性は、初期化モードでラインの1本がオープンドレイン信号に使用される場合のあるMMCのようなメモリカードとのインタフェースに特に有効です。
MAX13035Eおよびその他のMAX13030Eファミリのデバイスは、すべてVCC < VLのとき、すなわちVCCが切断されるとシャットダウンします。MAX13030E~MAX13034EはEN端子を備えており、ローに駆動することでデバイスをより低電力のシャットダウン状態にすることができます。これに対してMAX13035EにはEN端子がありませんが、代わりにCLK_RET端子を備えています。この端子の機能は、図2に示すようにクロック信号をホストプロセッサにフィードバックすることです。特定のSDカードコントローラでは、この信号を使用して性能を改善することが可能です。
MAX13015Eファミリのすべてのデバイスは、VCC側(カード側)のすべてのI/O端子について最大±15kV (HBM)の拡張ESD保護を備えています。このESD保護を保証するため、1µFのセラミックコンデンサを使用してVCCをバイパスしてください。
図1の回路は、MAX3202Eを使用してCARD_DETECTおよびWRITE_PROTECT信号上のESD保護を提供する方法も示しています。この回路を使用する際には、DAT3にプルアップ抵抗を使用するのではなく、SDカードコネクタが提供するCARD_DETECTの使用を強く推奨します。これは、MAX13035Eがプルアップ手法によるカード検出との互換性を備えていないためです。