低コスト電源シーケンサ
要約
このアプリケーションノートでは、MAX16029によってシーケンスおよび逆シーケンスを行い、高コストのプログラム可能なシーケンス用部品を使うことなく高信頼性を実現する方法を紹介します。
このアーティクルはマキシムの「エンジニアリングジャーナルvol. 61」 (PDF、1.02MB)にも掲載されています。
同様の記事が2007年1月18日発行のEDN誌に掲載されています。
大半のPoL (point-of-load) DC-DCコンバータでは、1つのコンバータのパワーグッド出力を次のコンバータのイネーブル入力に接続することによって順番にパワーアップすることができます。この方法は簡単な設計の場合は有効に働きますが、多くの最新のマイクロプロセッサやDSPの要求を満足しません。パワーダウンの際には電源レイルを逆の順序でシーケンス制御する必要があるからです。様々なベンダーがこうした目的のプログラマブルシーケンスICを提供していますが、これらのデバイスは一般にコスト重視のアプリケーションにとって高価過ぎます。
プログラマブルシーケンスICの代替である図1に示す回路は、4つの電源レイルを経済的かつ効果的にシーケンス制御して監視することができます。4つのDC-DC電源は個別に、アプリケーション回路にそれぞれ3.3V、2.5V、1.8V、および1.2Vを供給します。クワッド監視回路(U1)は、各レイルを監視して、マスタパワーOK (POK)信号を発生します。また、パワーアップ時、U1は前の電源が有効になるまでシーケンス内の次の電源がオンにならないようにします。第2のクワッド監視回路(U2)は、R1、R2、R3、およびC1からなるRC回路によってパワーアップとパワーダウンのシーケンスを生成します。各監視回路は内部にスレッショルドが設定されているため、外付け抵抗分圧器は不要です。
パワーアップシーケンスは、電源オン/オフ信号を5V入力に接続することによって開始され、C1はR2を通って充電されます。このコンデンサ電圧が1.2V、次いで1.8V、2.5V、および3.3Vをゆっくり超えると、それぞれ対応するU2出力が開放状態になり、その結果電源が指定された順序でオンになります。4個の電源すべてがオンになると、C2で設定されたタイミング遅延の後POK信号がアサートします。
電源レイルを監視するために、電源オン/オフ信号をフローティング状態のハイのままにしてください。すると、POK信号はR1とR3によってC1電圧を維持し、電源をオンに保ちます。障害が発生するとPOKは直ちにアサート解除し、これによってC1はR1を通って放電し、すべての電源が遮断されます。パワーダウンするためには、電源オン/オフ信号をグランドに接続してください。POKがアサート解除すると、C1はR2とR1を通って放電し、各電源が逆の順序でオフになります(図2)。