バッテリの過放電を防止するラッチ付きレギュレータ

要約

充電式バッテリを採用しているシステムでは、バッテリが過放電に入る前に負荷を切断することが重要となります。この過放電はセルを破壊したり損傷を与えたりすることがあります。以下の回路は、バッテリが過放電に入る前に回路をオフにし、µCハウスキーピング動作に十分な時間を与えます。

充電式バッテリは過放電による寿命の短縮や破壊を防ぐために、完全に放電した時点で負荷を切り離すことが必要です。バッテリの端子電圧は負荷を取り除くことで回復するため、端子電圧が設定されたスレッショルドよりも低くなった時に負荷を切り離し、電圧がスレッショルドよりも高くなった時に再び接続するという単純な方法は不適切です。このようなことを行った場合は切り離し用のスイッチがチャタリングを起こす可能性があります。

放電したセルの電圧はほぼ完全充電状態のレベルまで回復するため、ヒステリシスでこの回復効果に対応するのも困難です。ここで必要となるのは、負荷をバッテリから切り離し、バッテリが充電または交換されたことを外部信号(バッテリ充電器や押しボタンスイッチからなど)によって示されるまで、切り離した状態を保つような回路です。

こうした回路は、ローバッテリコンパレータを備えた低ドロップアウトのリニアレギュレータを用いることで実現できます(図1)。この回路では、ローバッテリコンパレータと誤差アンプは内部リファレンスおよび外部抵抗分圧器を共有します。ここに示す抵抗値では、出力が公称値よりも8%低くなった時点でローバッテリ出力(LBO)がローになり、バッテリと負荷の両方が切り離されます。バッテリと負荷は、S1によるコマンドを受けるまでは切り離されたままとなります。

図1. バッテリを保護するために、この回路はバッテリが過放電状態になる前に負荷を切り離します。再び接続するためにはS1を押します。

図1. バッテリを保護するために、この回路はバッテリが過放電状態になる前に負荷を切り離します。再び接続するためにはS1を押します。

この回路でラッチングが可能な理由は2つあります。まず、ローバッテリコンパレータがシャットダウン中、アクティブ状態を維持します(ほとんどのレギュレータではこのコンパレータはシャットダウン時にはオフになります)。また、この回路はバッテリ電圧でなく安定化出力電圧を監視します(レギュレータ電圧はレギュレータがターンオンされるまで回復できません)。

さらにこの回路は、出力がターンオフされる50ms前にローになる%-overbar_pre%POWER FAIL%-overbar_post%信号(LBO、ピン1)を備えています(図2)。この信号は制御用のマイクロプロセッサにハウスキーピングおよびシャットダウン機能を実行する時間を与えます。LBOがローになった時、C1は%-overbar_pre%STBY%-overbar_post%入力がスレッショルド(1.15V)に達するまで、R3を通して放電します。次にICはスタンバイモードに入り、バッテリを切り離します。IC1はリニアレギュレータで、350mVのドロップアウト電圧で150mAを供給することができ、スタンバイ電流は10µAで、11.5Vまでの入力電圧を許容します。

図2. これらの波形は図1に示す回路のタイミング関係を表しています。

図2. これらの波形は図1に示す回路のタイミング関係を表しています。

関連したアイデアがEDNの3/16/95号に掲載されました。