DN-267: 高効率白色LEDドライバによるマッチングのとれたLED輝度の保証
はじめに
白色LEDはシンプルで信頼性が高く低コストなので、小型LCDバックライトの用途に広く使われます。ただし、白色LEDの順方向電圧降下には固体差があるので、複数のLEDを使う場合、輝度のマッチングが設計上の重要な検討事項となります。LEDの輝度は電圧ではなく電流に比例するので、LEDを直列にドライブする定電流源を使って各LEDの輝度を同じにする必要があります。LT®1932には定電流ステップアップ・アーキテクチャが使われています。このアーキテクチャではLED電流を直接制御するので、各LEDの順方向電圧降下の差に関係なく、各LEDに対して一定の光度が保証されます。入力電圧がLED電圧より高くても、LT1932固有の内蔵電流源がLED電流を正確に制御するので、バッテリ/アダプタ電源のデザインが大幅に簡素化されます。36Vの内部スイッチにより、直列接続された8個のLEDを20mAのLED電流でドライブすることができます。
LT1932は小型1mmのThinSOT™パッケージで供給されます。このデバイスは1.2MHzのスイッチング周波数で動作するので、小型で低プロフィールのチップ・インダクタやコンデンサを使うことができ、スペースにゆとりのない携帯用アプリケーションで実装面積やコストを抑えることができます。
4個の白色LED用リチウムイオンLEDドライバ
図1に示されている白色LEDドライバは、リチウムイオン・バッテリ駆動の4-LEDバックライト・アプリケーションに最適です。LT1932と5個の外付け部品はプリント基板上で6.5cm2以下のスペースしか必要としません。
定周波数ステップアップ・トポロジーにより、可変電流制御に加えて、低ノイズ、高効率、さらにマッチングのとれたLED輝度が実現されます。LT1932はシャットダウン時にLED電流を流さないので、待機モードのバッテリ電流は1µA未満です。表1に示されているRSETの値を選択することにより、LED電流を5mA~40mAの範囲で簡単に設定することができます。追加のDC電圧あるいはパルス幅変調(PWM)信号をRSETピンに印加することにより、LED電流を調節して調光(輝度制御)をおこなうことができます。
ILED (mA) | RSET VALUE (Ω) |
40 | 562 |
30 | 750 |
20 | 1.13k |
15 | 1.50k |
10 | 2.26k |
5 | 4.53k |
調光制御
LEDの輝度は、PWM信号、フィルタをかけたPWM信号、ロジック信号、またはDC電圧を使って簡単に調節することができます。LEDの5つの調光方法を図2に示します。PWMを使ったLT1932による輝度制御により、調光範囲が最大となり、全調光範囲にわたって最も純粋な白色LED色が得られます。これにより、20:1を超す調光比が得られます。LEDバックライトに普通見られる好ましくない青味をおびることもありません。PWMで制御されたLED電流を図3に示します。LED電流は全電流とゼロ電流のあいだで切り換えられるので、平均LED電流はデューティ・サイクルにしたがって変化します。これにより、LEDがオン状態のとき最適電流でドライブすることができ、光度はPWMのデューティ・サイクルで変化させながら、(15mAあるいは20mAで)最も純粋な白色光を得ることができます。図2に示されている調光制御法の詳細については、LT1932のデータシートを参照してください。
まとめ
多くの白色LEDバックライト・アプリケーションでは、各LEDに適した光度を得るため、定電流の直列LEDドライバが必要です。LT1932は定電流トポロジーと36Vの内部スイッチを備えているので、多くの白色LEDドライバ・アプリケーションに最適です。LT1932は最も純粋な白色LEDの調光制御、1µA以下の待機モード消費電流、選択可能な電流レベル、保証されたLED輝度マッチング、および非常に小さな回路サイズを特長としているので、携帯電話やハンドヘルド・コンピュータの用途に最適です。