アナログ・デバイセズの温度センサーが採用されるアプリケーション・フィールド
温度センサーを活用した最先端のアプリケーション
厳密な温度管理への活用
アナログ・デバイセズの提供する高精度な温度センサーを活用することにより、これまで以上に高度な温度制御システムが構築できます。アプリケーションの一例として、食品、医薬品、ワクチン、微生物といった製品の輸送や保管サービスが挙げられます。これらの製品は、高温による変質だけでなく、凍結も許容できないため、常に適切な温度を維持する必要があります。特に、食品や医薬品の輸送や保管に際しては、FDAやICHの定めるコールド・チェーンのガイドラインに準拠しなければなりません。厳密さが要求される温度制御システムには、アナログ・デバイセズの温度センサーをご検討ください。
生体を扱う医療用システムでは、対象となる温度を、目標温度へ精密に追従させる必要があります。例えば人工透析機は、人体へ再注入する液体の温度を、35℃~39℃の範囲において、許容誤差±0.5℃として制御します。また、DNA分析器は、チャンバー内の温度を55℃~95℃の目標温度への追従させる必要があります。このように可変の目標温度が求められるアプリケーションにも、アナログ・デバイセズの温度センサーをご活用いただけます。
高精細なセンシングを支える補正機能への活用
アナログ・デバイセズの温度センサーは、最先端のセンシング・システムの補正にも活用されています。例えば、CTスキャナーは、明瞭な画像を撮影するため、温度センサーにより計測した温度から熱の影響を推定し、ゲインやオフセットにフィードバックするための回路を搭載しています。また、超低バイアス・アンプの入出力特性、レーザーダイオードやRF送信機の出力特性(波長やエネルギー)も、熱により特性が変化することから、温度センサーを利用した補正機能が導入されています。
温度変化は、機械部品に対しても熱膨張として誤差の原因となります。工業用途に広く利用されている温度モニターフローメータは、RTDを利用することにより、スプール部分の温度を計測。メータ値を補正し、精密な計測を可能としています。
また、温度センサーは絶対温度を高精度に取得可能です。工業分野で広く利用されている熱電対は、基準温度に対する相対温度を計測するデバイスです。そのため、熱電対計測(計測機器)のための冷点補償(端子温度補償)にも、アナログ・デバイセズの高精度な温度センサーが採用されています。
精密な温度計測を可能とするアナログ・デバイセズの温度センサー
アナログ・デバイセズでは、医療、食品等の温度管理に最適な温度センサーとして「ADT7320」と「ADT7310」を提供しています(下表)。ADT7320は-20℃から+105℃の範囲を誤差わずか±0.25℃、ADT7310は-40℃から+105℃の範囲を誤差わずか±0.4℃で計測できる温度センサーです。比較的狭い温度範囲に対する高精度なモニタリングを実現いただけます。
計測温度範囲 | 誤差 | 分解能 | |
ADT7320 | -20℃~+105℃ | ±0.25℃ | 0.0078℃/LSB |
-40℃~+125℃ | ±0.5℃ | 0.0078℃/LSB | |
ADT7310 | -40℃~+105℃ | ±0.4℃ | 0.0078℃/LSB |
-55℃~+150℃ | ±0.7℃ | 0.0078℃/LSB |
オートモーティブ分野においても、温度管理は欠かせない機能です。アナログ・デバイセズでは、車載アプリケーション向けの品質評価をクリアした温度センサーも提供しています。ADT7312は、内蔵した回路技術と高品質な温度測定素子により、広い温度範囲(-55℃から+175℃)を高精度(誤差±1℃以内)に計測可能できる温度センサーです。内蔵する温度トランスジューサには、バンドギャップ(PNジャンクション)方式の半導体温度トランスジューサを採用。オール半導体による頑丈さにより、オートモーティブ分野にも採用可能な高信頼性を実現しています。
計測温度範囲 | 誤差 | 分解能 | |
ADT7312 | -55℃~+175℃ | ±1℃ | 0.0078℃/LSB |
汎用用途として温度センサーが活用されているアプリケーション
温度センサー用AFEの活用
温度センサー用AFEは、アプリケーション内部に多数搭載された温度トランスジューサの統合管理に大変有効です。
例えば、近年の大型システムは、筐体内の各所の温度を推定温度ではなく実温度で管理する機能設計が求められています。これは、筐体構造や可動部品の配置が複雑化され、推定温度の算出が難しくなってきたことも理由の一つです。そこで、温度センサー用AFEとマルチプレクサを利用することにより、筐体内に多数搭載した温度トランスジューサを切り替えながら温度情報へ変換。安全なシステム運用を実現できます。
参考資料:Analog Dialogue RTDによる温度測定用アナログ・フロント・エンドの設計
温度センサー内蔵の特定アプリケーション向け素子の利用
アナログ・デバイセズは、高信頼性が要求されるコンピュータシステムの中心であるCPUやFPGA、ASIC内部の温度を測定するための温度センサーとして「LTC2991」「LTC2995」を、自律的にファンコントロールを行う制御デバイスとして「ADT7470」を提供しています。これらの製品を利用することにより、システム内の各点の温度を簡単に収集。温度に基づく最適なファンコントロールを最小のBOM点数で実現します。これにより、コンピュータシステムの高可用性を容易に達成することができます。
バッテリーを搭載したシステムは、温度の管理は必須要件です。温度により自己放電やインピーダンスが変化するため、バッテリーの温度をモニタリングすることにより、最適な運用を実現できます。もちろん、バッテリー充電時の発熱発生する損失が熱となるため、温度を監視しながら、安全に電力を供給する必要があります。