温度センサー

温度センサーとは

TM_001温度のモニタリングは、あらゆるアプリケーションに欠かせない機能です。様々な機器に搭載されている半導体デバイスは、高温・低温といった熱の影響を受けやすく、保証温度外となった場合、動作が不安定となります。

そのため、半導体デバイスが部品として使用される精密機器においても、温度監視はもちろん、適切な温度を維持する機能が搭載されています。また、産業分野においても温度のモニタリングは大きな課題です。溶鉱炉では、製造工程での温度管理が製品の品質に直結することから、常に温度を把握し適切に制御する必要があります。

このように、温度センサーは、民生用デバイスから産業分野に至るまで、さまざまなアプリケーションに利用されているデバイスです。

 

なお、温度センサーは、温度を電気信号へ変換するセンシング・デバイスです。これに対して、温度にあわせて電気的特性が変化するデバイスを温度トランスジューサと呼びます。

温度トランスジューサには、サーミスタ、熱電対、測温抵抗体(RDT)などがあります。温度センサーにも、この温度トランスジューサが内蔵されています。

 

温度センサーのデモ

アナログ・デバイセズの温度センサー

アナログ・デバイセズの提供する温度センサーは3種類に大別されます。

まず、熱を電気的な情報へ変換する、温度トランスジューサと温度センサー。次に、温度トランスジューサを制御し、温度信号を正確に収集する温度センサー用アナログ・フロント・エンド(AFE)。そして、近年の高度なコンピューティング・システムやバッテリー製品を安全・安心に運用するための、温度センサー内蔵の特定アプリケーション向け素子があります。

 

温度トランスジューサと温度センサー

アナログ・デバイセズでは、温度を電気信号へと変換する温度トランスジューサを提供しています。また、パッケージ内に、半導体温度トランスジューサ、信号処理回路、A/Dコンバータを統合することにより、簡単に高精度な温度を計測できるデジタル出力の半導体温度センサーも提供しています。

アナログ・デバイセズでは、温度センサーのパッケージ内に、温度トランスジューサ、アナログ信号処理回路、A/Dコンバータ回路、さらには、温度閾値判定回路を集約。温度計測部と信号処理回路を近接して配置することにより、高いノイズ耐性を実現しています。また全ての回路は半導体をベースとして設計されているため、優れたS/N比の計測を、高コストパフォーマンスにてご利用いただける、ブロードな製品です。

代表的なアナログ出力温度センサーのスペック比較

出力 伝達関数 測定精度
(25℃)
測定精度
(温度範囲内)
温度範囲 特長・備考
AD590 電流 1μA/℃ ±0.5℃ ±1.7℃ -55℃~+150℃ 2端子素子
フローティング動作
低コスト版AD592
TMP35
TMP36
TMP37
電圧 10mV/℃
20mV/℃
±1℃ ±4℃ -40℃~+125℃ 超低動作電流50μA
IoTリモート向け
低コスト
TMP05
TMP06
時間
(PWM)
0.025℃/5μS ±0.5℃ ±5℃ -40℃~+125℃ 2デユーティ比変調パルス幅出力
タイマー入力で測定可能

代表的なデジタル出力温度センサーのスペック比較

出力 分解能
(℃/LSB)
測定精度
(25℃)
測定精度
(温度範囲内)
温度範囲 特長・備考
ADT7320
ADT7420
SPI/I2C 0.0078 ±0.002℃ ±0.5℃ -40℃~+150℃ NISTトレーサブル
調整無しで高精度
ADT7408 I2C /SMBus 0.0625 ±0.5℃ ±4℃ -20℃~+125℃ JEDEC JC-42.4準拠
アラーム機能内蔵
AD7415 I2C /SMBus 0.25 ±0.5℃ ±3℃ -40℃~+125℃ 3μAパワーダウン
29μS温度AD変換
LTC1392 3線Serial 4 - ±4℃ -40℃~+80℃ 電圧、電流モニター機能内蔵

アナログ・デバイセズの温度センサーを採用するメリット

使い方が容易で、高精度の温度測定が可能

アナログ・デバイセズの提供する温度センサーは、シングル・パッケージに高精度・最適な機能をすべて集約しているため、あらゆるアプリケーションへ簡単に搭載できます。特に、温度センサーの高精度化のため、アナログ・デバイセズではすべての温度センサーに、正確な増幅器とフィルタ機能を実現する高度なアナログ信号処理回路を統合。S/N比の高い、正確な出力を実現しています。これにより、アナログ・デバイセズの温度センサーは、計測誤差をわずか±0.1℃の「LTC2983/2984/2985」を代表に、アプリケーションの求めるモニタリング精度の要件をシングル・パッケージで簡単に解決できます。

 

システムの保全・安全性や信頼性の向上

アナログ・デバイセズの温度センサーは、長期運用においても校正を必要としないため、ロングライフ製品にも安心して搭載いただけます。その高い信頼性は、各温度センサーを半永久的に破損の無い部品として検討いただけるため、ロングライフ・サポートのシステム実現に大きく貢献します。また、機能のシングル・パッケージ化により、BOM点数も削減できるため、障害を発生させる要因の低減にも効果を発揮します。

 

低電力による電池駆動などのリモート用途への導入が容易

アナログ・デバイセズの温度センサーは超低消費電力も魅力の一つです。計測回路やフィルタ回路をはじめ、A/Dコンバータなど計測に必要となる機能はすべてパッケージ内部に集約、最適化。センシング・デバイス外部に回路を必要とせず、システム全体の電力削減も実現できます。

また、低消費電力化された温度センサーは、バッテリーのみで動作する超低消費電力のアプリケーションへの搭載も手軽に実現。電源確保の難しい埋没環境や、長時間バッテリーで運用される遠隔環境の温度計測アプリケーションにもご活用いただけます。

 

70種類以上の製品群による広い選択幅

温度センサーを利用するアプリケーションは年々増加し、各アプリケーションの温度センサーに対する要件も多様化してきました。そこで、アナログ・デバイセズでは、実に70種類以上の温度センサー製品をラインナップ。幅広いアプリケーション・フィールドからの多様なニーズに応えることができます。

例えば、多量出荷を計画する民生製品用の温度センサーには低価格が求められ、極地利用される温度センサーには極地に合わせた温度計測範囲が必須であり、それぞれに適した温度センシング・ソリューションが不可欠です。

是非、皆さまの設計するアプリケーションに最適な温度センサーを、豊富なラインナップからご選択ください。

 

40年以上の半導体温度センサー技術の実績による信頼性

アナログ・デバイセズは40年以上も半導体温度センサーを提供し続けています。1970年代にリリースした半導体温度トランスジューサAD590は、温度/電流コンバータ(アナログ温度センサー)として、現在でも新規採用が増え続けています。人気の秘訣は、産業製品やプラント、ロングライフなシステムを支え続けている実績ならびに高い信頼性にあります。もちろん、40年経った現在も、スペック・シートに一切の変更が無いため、既存のシステムを変更することなく利用可能であり、安心して長期運用いただけます。

 

リニアライズされた扱いやすい応答

アナログ・デバイセズは温度トランスジューサ・温度センサーにリニアリティを高くするための信号処理回路を統合。一般的に言われる温度トランスジューサはリニアリティが低く扱いが難しい、といわれる課題をパッケージで解決します。温度センサーのリニアリティを高くすることで、アプリケーションは、加減乗除のみで温度値を扱えるため、計測処理を削減し、モニタリングや制御へ簡単に採用いただけます。

 

電流/電圧/デジタル出力による高い接続性

アナログ・デバイセズの温度センサー、温度トランスジューサを採用することにより、電流/電圧/デジタル出力など、アプリケーションに適した出力で温度情報を入手できます。

例えば、温度トランスジューサAD590は長年利用され続けている温度/電流変換デバイスです。AD590は温度に比例した電流を通過させる機能を持つデバイスのため、伝送線路が長く寄生インピーダンスが存在するシステムであっても、電流計測のみで的確に温度を取得できます。また、複数のAD590を結合するだけで、最低温度や平均温度を単純な回路のみでMPU無しに算出することも可能です。

 

優れたS/N比と高い感応性

アナログ・デバイセズの温度トランスジューサや温度センサーは、優れたS/N比を実現するため、高度なアナログ回路技術が搭載されています。アプリケーションは、優れたS/N比の温度センサーにより、追加のフィルタリング処理の設計から開放され、より本質的な設計に注力することができます。また、高集約化により、パッケージの小型化も実現。小さな熱容量により、周囲の温度変化に対して高い感応性を示します。

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