S/D & R/Dコンバータ アプリケーション

現在、シンクロ・モータとレゾルバの新規採用数を比較すると、ほとんどのアプリケーションにレゾルバが採用されています。シンクロ・モータは、耐久性や巻線設計の複雑さに課題があり、製造が難しく、レゾルバに比べて高価なためです。

シンクロ・モータの耐久性の課題は、リファレンス信号をローターへ伝えるためのブラシ構造部の摩耗に起因します。一方、レゾルバはブラシ構造がないため、ローター・ステータ間の機構部品はベアリングのみで構成されており、頑丈な高信頼性の実現が容易です。加えて、非接触な接続であるため、塵や振動など、劣悪な環境下でも確実に動作できる特長もあります。

また、シンクロ・モータは巻線を120°単位に巻き上げる製造を要求されますが、レゾルバは正弦方向と余弦方向の2方向のみであるためシンプルかつ安価に製造できます。こうした理由から、電磁誘導を利用した正確な回転角・回転速度の計測にはレゾルバの採用が主流となっています。

シンクロ・モータは、レトロフィット・アプリケーションが主な利用用途であり、防衛分野やアビオニクス分野の一部に採用されています。レゾルバは、先端的なアプリケーションである電気自動車の駆動部や、長寿命・高信頼性が求められる産業用機器など、幅広いアプリケーション・フィールドに採用されています。

アナログ・デバイセズは各々の採用傾向から、レトロフィット・アプリケーションに向けにS/Dコンバータを、現在設計中・製造中の多くのアプリケーション向けにR/Dコンバータを、それぞれ提供しています。

ここでは、レゾルバが採用されるアプリケーション・フィールドを中心に、S/D&R/Dコンバータの採用事例をご紹介します。


R/Dコンバータが採用されるアプリケーション

R/Dコンバータの制御対象となるレゾルバはブラシ構造を必要としないため、振動耐性や衝撃耐性に優れています。また、非接触であることから塵にも強く、耐環境性も併せ持ちます。そのため、常時振動が予想される産業用機器の可動部や工作装置のモニタリングや、衝撃が予想される重機の回転角・回転数モニタリングなど、高信頼性の求められるアプリケーションに適しています。

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また、シンクロ・モータやレゾルバは、電磁誘導を利用したトランスデューサのため、高温耐性に優れています。自動車の駆動部や、航空機の燃料制御系など、内燃機関に近い位置にある機構部や、摩擦により高温が予想される構造部のモニタリングにも適しています。新規設計にレゾルバを採用する場合はもちろん、既に搭載済みのシンクロ・モータを新規の制御システムへ接続する場合にも、S/D&R/Dコンバータをご活用ください。