S/D&R/Dコンバータ

S/Dコンバータ、R/Dコンバータとは、シンクロ・デジタル・コンバータ(SDC)、レゾルバ・デジタル・コンバータ(RDC)のことで、角度センサーのシンクロ・モータやレゾルバから出力されるアナログの電気信号を、角度情報や回転速度情報のデジタル値へ変換するコンバータです。

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S/D&R/Dコンバータの変換対象となる、シンクロ・モータとレゾルバは、電磁誘導により回転軸の状態を電気的変化に変換する角度トランスジューサです。シンクロ・モータとレゾルバはいずれも電磁誘導を利用しますが、巻線の配置、構造の違いにより、分類されています。

シンクロ・モータとレゾルバの役割は大きく2種類あり、回転速度情報の取得と、角度情報の取得です。回転運動のデータの取得例として、産業用機器の回転駆動部をはじめ、自動車に内蔵された高温や衝撃、粉塵にさらされる機構部、軍用機器に至るまでのモニタリングに利用されています。角度情報の取得例としては、航空機の可動翼の角度取得、機械式回転レーダーなどに利用されています。

S/D&R/Dコンバータは、シンクロ・モータやレゾルバにより得られたアナログ信号から、システムの制御部やMPUと容易に結合できるデジタル信号への変換をシングル・パッケージで解決。高精度かつ高信頼な回転制御アプリケーションを実現できます。

アナログ・デバイセズのS/D&R/Dコンバータ

アナログ・デバイセズのS/D&R/Dコンバータは、シンクロ・モータとレゾルバによる回転軸の角度と回転数の計測を、簡単にシステムへ統合します。シングル・パッケージのコンバータは、シンクロ・モータ/レゾルバの出力をデジタル化された角度情報へ変換するアナログ演算回路(乗算、差分、積分など)と高品質な発振器を搭載。シンクロ・モータ/レゾルバからの出力と、リファレンス発振器からの入力を高精度に解析し、高速な角度算出を実現します。また、S/D&R/Dコンバータは測定結果をデジタル値に変換する回路を搭載。出力は、コントローラから扱いやすいSPI通信やラッチ付きパラレル信号を採用しています。アナログ信号をパッケージの中で完結させることにより、低ノイズで扱いやすい情報をシステムへ提供します。

 

コンバータに集約されたアナログ演算回路と発信回路

S/D&R/Dコンバータは、リファレンス信号と出力信号から回転角度と回転速度を算出するため、演算回路が欠かせません。アナログ・デバイセズのS/D&R/Dコンバータに集約されたアナログ/デジタル演算回路により、乗算、差分、積分、フィルタ等の処理は、高速かつ高精度に実行されます。加えて、シングル・パッケージにすべての機能を集約することで、高いノイズ耐性も実現します。

また、センサーとコンバータには安定した基準発振器が必要です。これは、シンクロ・モータまたはレゾルバからの出力と、コンバータ内部のアップ・ダウン・カウンタのデジタル値(推定角度値)に基づいて、発振回路が生成した基準信号と比較・計算することで、回転角度を算出するためです。

 

高分解能を高速に出力できるラッチ付デジタル出力

アナログ・デバイセズは、S/D&R/Dコンバータによりシンクロ・モータまたはレゾルバのリファレンス信号と出力信号を解析し、最高3125Rps(Rotate per Second)、10ビット~16ビットの高分解能の角度計測を提供します。出力信号は扱いやすいデジタル出力を採用。SPI通信やラッチ付デジタル出力を提供します。特に、ラッチ付デジタル出力により、MPUはビット幅の信号を同時に取得できるため、高速処理が必要とされるモーター制御アプリケーションに適しています。ラッチするデータを切り替えることにより、同じバスから角度情報と回転速度情報をそれぞれ取得できます。

また、アナログ・デバイセズのR/Dコンバータの一部には、ロータリーエンコーダのエミュレーションモードを持つものがあります。本モードを利用することにより、レゾルバが組み込まれた駆動部からの角度情報を、ロータリーエンコーダのフォーマットで出力することで、ロータリーエンコーダ対応の制御システムと簡単に接続可能です。

AD2S1210/AD2S1205/AD2S1200はリファレンス発振器内蔵で、ロータリーエンコーダのエミュレーション・モードを持つR/Dコンバータです。リファレンス発振器内蔵のコンバータは、BOM点数を更に削減し、回路設計も簡単化。シンプルな回路で、高精度な回転軸のモニタリングを実現できます。

また、車載対応品としてADW71205(AD2S1205と同スペック)、AD2S1210W(AD2S1210と同スペック)も供給しています。

 

シングル・パッケージのリファレンス発振器

アナログ・デバイセズはシンクロ・モータとレゾルバに加えるリファレンス信号を供給する外付けリファレンス信号発振器としてAD2D99を提供しています。パッケージ化されたリファレンス発振器は、ディスクリート品により構成された発振回路に比べて高精度で安定したリファレンス信号を生成できます。また、BOM点数も削減できるため、回路品質やコストパフォーマンスも向上させることが可能です。なお、AD2D99はリファレンス信号発振器として、LVDTやRVDT、ACブリッジの励起、圧力トランスジューサの制御にもご利用いただけます。




代表製品と、そのスペックの比較

R/D & S/Dコンバータ

コンバータ
種別
発振回路 出力 角度
割出精度

Arc minutes
最大
トラッキング
回転速度
(※)
特長そのほか
信号 ①角度位置
②速度
③エンコーダ・
シミュレート
AD2S1210 レゾルバ 内蔵
2 k~20 kHz
パラレル
/シリアル
10~16 bit
± 2.5 3125 RPS 分解能可変
KDGチップあり
①、②、③
AD2S1205 レゾルバ 内蔵
10 k~20 kHz
パラレル
/シリアル
12 bit
± 11 1250 RPS ①、②、③
AD2S1200 レゾルバ 内蔵
10 k~20 kHz
パラレル
/シリアル
12 bit
± 11 1000 RPS ①、②、③
SDC1740 レゾルバ 内蔵
10 k~20 kHz
パラレル
/シリアル
10~12 bit
± 11 1250 RPS ①、②、③
シンクロ
・モータ
外付
400/2.6 kHz
パラレル
14 bit
± 5.3 20 RPS ハイブリッドIC
AD2S90 レゾルバ 外付
3 k~20 kHz
シリアル
12 bit
± 10.6 500 RPS 低電力50mW
①、②(アナログ)、③
AD2S83 レゾルバ 内蔵
DC~20 kHz
パラレル
10~16 bit
± 8 1040 RPS 分解能可変
①、②(アナログ)
AD2S44 レゾルバ 外付
400/2.6 kHz
パラレル
14 bit
±2.6 20 RPS デュアル・チャンネル
シンクロ
・モータ
デュアル・チャンネル
ハイブリッドIC

(※) RPS : Revolution Per Second (回転/秒)

 

リファレンス発振器

出力
周波数
周波数
誤差
最小
出力電圧
最大
出力電圧
特長そのほか
AD2S99 2 / 5 / 10 / 20 kHz ± 5% 0.7 V 5.25 V プログラマブル発振器

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