光学センサー(光センサー)
光が入射すると、光量・スペクトルに応じた電気的変化が受光素子に発生します。計測回路がこれを計測・解析し、アナログあるいはデジタルの出力を生成します。
発光素子と発光制御回路は、特定の波長の光が必要とされるアプリケーションの光源として利用されます。 周囲の環境によって変化する光量を、光学センサーを活用して測定することにより、非接触・非侵襲な解析アプリケーションの構築が可能です。
近年では、ガラス越しに可燃性ガスを検出できるとして、産業分野のガス検出アプリケーションに光学センサーが採用され、スパーク等の危険性の無い安全なシステムとして利用されています。また、医療分野においても、非侵襲なバイタル・モニタリングが実現されています。皮膚や体内を光が透過する現象を利用し、血管の状態や血中成分、骨組織のモニタリング・アプリケーションに、光学センサーが採用されています。
光学センシング技術
本サイトでは、アクティブな光学センサーを「光学ミックスド・シグナル・デバイス」、パッシブな光学センサーを「光学素子」と呼んで紹介します。アナログ・デバイセズで提供する光学センサーには、AFEと光学素子を組み合わせたものと、光学素子のみを提供するものがあります。
光学ミックスド・シグナル・デバイスは、発光機能と受光機能ならびに信号処理機能(AFE)を統合したデバイスです。発光機能が照射した光に対する反射光や透過光、回折光を、同じデバイス内の受光機能により解析できることから、バイタル・モニタリングなどの高度なアプリケーションを、少ない部品点数のみで簡単に実現いただけます。
光学素子は、受光機能のみを搭載した受動的なデバイスで、環境光や外部の発光デバイスからの光の収集に特化ししています。カメラなどに求められる環境光の計測や、HMIに利用される受光機能と発光機能の個別配置による広域用アプリケーションなど、様々な用途にご利用いただけます。
ダウンロード
上で紹介しているビデオの、「光学センサーADUX1020をI2C にて設定し、ジェスチャ認識を実現する」の手順書を公開しています。
右のフォームへ必要事項を入力して、登録ボタンをクリックいただくとダインロードページが開きます。
ダウンロードページでは、光学センサーのデモ手順書のほか、慣性計測ユニット(IMU)、加速度センサーのデモ手順書・コード例も併せてダウンロードいただけます。
アナログ・デバイセズの光学センサー
アナログ・デバイセズの光学センサーは、微弱な光量の変化も検出できる、超低ノイズ性能と、安定した出力が大きな魅力です。僅かな光量の変化から発生する微弱な電圧・電流・抵抗値変化を、精密に設計されたフィルターや増幅器などのアナログ回路が正確に解析します。微弱な光量変化であっても、ノイズに埋もれさせることなく計測することができ、発光素子の微弱な電気信号を完全に分離することにより、安定した信号を出力します。
アナログ・デバイセズの光学センサーは、超低ノイズ、安定出力という特長により、ウェアラブルデバイスをはじめ、最先端医療製品、産業機器など、幅広いアプリケーションへ安心して採用いただけます。
特長
アナログ・デバイセズでは、お客様のアプリケーションへ簡単に導入いただけるよう、光学センサーに以下の特長を盛り込んでいます。まず、受光部を内蔵することによって低ノイズ化を図り、安定した信号を実現しました。また、光量変化を正確に増幅できる最適なアナログ回路の統合を行っています。
次に、一部の製品にはA/Dコンバータを同梱し、ノイズ耐性の高いデジタル・インターフェース(SPI、I2C)を採用することで、高精細な受光素子を少ない工数で、高度なノイズ対策を必要とせずに導入いただけます。また、アプリケーションとの接続性を向上するため、評価用ボードやアプリケーションノートを提供しています。さらに、最先端のアプリケーションの持つ高度な要求に応えるため、特定のアプリケーションに特化した光学センサーをラインナップし、ユーザーエクスペリエンスに注力できる製品群を実現しています。
受光部内蔵による低ノイズ化
アナログ・デバイセズでは、受光素子をデバイスへ内蔵することにより、パッケージ内にて受光素子と増幅器を近接して配置、ノイズの混入を防止しています。
また、内蔵する受光素子にバリエーションを加えていますので、アプリケーションに最適な特性を持ったセンサーを選択いただけます。例えば、ADPD2211、ADPD2212、ADPD2214は、それぞれ異なる受光素子を内蔵した光学センサーです。全スペクトル帯域に同等な感度を持つ受光素子から、人間の目に近いスペクトル感度を持つ受光素子までを取り揃えています。

最適なアナログ回路の統合
アナログ・デバイセズのすべての光学センサーでは、独自に設計された最適なアナログ回路を搭載することにより、ディスクリート製品を利用した高度なアナログ回路設計をすることなく、安定したセンサーの出力を簡単にお使いいただけます。
例えば、ADPD2210は低バイアスアンプと24倍の電流ミラー回路を搭載し、センサーからの微少電流信号を24倍電流増幅し、低ノイズで扱いやすい大きさの電流に変換します。

評価用ボードの提供
アプリケーション開発の初期段階では、光学素子の選定よりも、より迅速な開発プロセスの立ち上げが求められます。一方で、最適な光学素子を熟慮し、間違いのない部品選定も必要です。アナログ・デバイセズでは、これら双方の要求を満たすため、評価用ボードやアプリケーションノートの提供にも注力しています。
例えば、EVAL-ADPD2210は、受講素子を持たないAFEであるADPD2210に、受光素子を加えた評価用ボードです。ADPD2210による光学計測をアプリケーションに採用した後に、そのアプリケーションにあわせて受光素子を選定する、段階的な開発を実現いただけます。
ADPD2210をすぐに評価できるEVAL-ADPD2210 (左:表面、右:背面)
ユーザーエクスペリエンスに注力できる製品群
バイタル・モニタリングやジェスチャー・センシングといったアプリケーションは、収集した光学情報を解析するアルゴリズムが、ユーザーエクスペリエンスに大きく作用します。アナログ・デバイセズでは、お客様がアルゴリズム設計へ注力できるよう、アプリケーションに特化したセンサー製品を提供しています。最適な計測回路や光学素子がシングル・パッケージに統合されているため、アプリケーションに必要な光学情報を簡単に取得し、いち早くアルゴリズム設計に注力いただけます。
バイタル・モニタリング
ADPD188GGやADPD144RIは、バイタル・モニタリングにおける成分分析や血管の動きを解析するアプリケーションに最適な光学センサーです。人体の計測に最適な特性の受光素子が統合されており、発光素子をドライブするためのAFE機能も搭載していることから、パッシブ方式/アクティブ方式いずれのバイタル・モニタリングにも活用いただけます。
バイタル・モニタリングに最適なADPD188GG(左:外観、右:背面)
ジェスチャー・センシング
ジェスチャー・センシングは、スマートデバイスから、接触操作が困難な工場など、幅広い分野の次世代インターフェースとして採用されている技術です。ジェスチャー・センシング用の光学センサー ADUX1020を利用することにより、空間からの反射光を上下左右の4方向に分割して収集できるため、物体の検出や、動きの解析に活用いただけます。
なお、アナログ・デバイセズは、ジェスチャー・センシング向けソリューションとして、容量/デジタル・コンバータ を利用した方式も紹介しております。アプリケーションの利用方法とあわせて、是非ご検討ください。
代表製品のスペック比較
インター フェース |
受光 素子 |
受光 素子 制御 |
発光 素子 |
発光 素子 制御 |
応答 周波数 |
用途 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
光学ミックスド・シグナル・デバイス | |||||||
ADPD188GG | デジタル、SPI / I2C | 2 | 2 | 2 | 3 | 0.122Hz ~ 2kHz | 生態情報、成分検出 |
ADPD144RI | デジタル、I2C | 4 | 4 | 2 | 2 | - | 生態情報、成分検出 |
光学素子を含む アナログ・フロント・エンド (AFE) | |||||||
ADUX1020 | デジタル、SPI / I2C | 4 | 4 | - | 1 | 1400Hz | ジェスチャー・センシング |
光学素子制御用 アナログ・フロント・エンド (AFE) | |||||||
ADPD105 | デジタル、SPI / I2C | - | 8 | - | 3 | 0.122Hz ~ 3.820kHz | 汎用 |
ADPD2210 | アナログ | - | 1 | - | - | 125kHz | 汎用 |
光学素子 | |||||||
ADPD2214 | アナログ | 1 | - | - | - | 75kHz | 汎用 |