アナログ技術セミナー2015 クイズの回答と解説

 2015年8月25日(火)の仙台を皮切りに、8月27日(木)に名古屋、9月2日(水)に大阪、9月4日(金)に東京で「アナログ技術セミナー 2015」を開催いたしました。

 

セミナーの各セッションにて2つずつクイズが出題され、多くの方にご参加いただきました。
本ページでは、それらのクイズ回答と解説に加え、セミナーではご紹介しきれなかった情報をご紹介しております。 

 

アナログ技術セミナー会場にてクイズに回答いただき、全問正解の回答用紙をご提出いただきましたお客様には、抽選で賞品をお贈りすることとなっております。

本クイズイベントにご参加くださいました皆様は、誠にありがとうございました。 当選者の発表は、賞品の発送をもって代えさせて頂きますので、予めご了承ください。

 

 

アナログ技術セミナー2015にて開催されたセッション一覧

【A1】 出題されたクイズはこちら⇒ 
  【B1】
出題されたクイズはこちら⇒ 
実験で理解するOPアンプの基礎
  これで解ったPLL設計の極意
講師:アナログ・デバイセズ 柿沼 淳
  講師:(有)レムフクラフト 浜田 智 氏
     
【A2】 出題されたクイズはこちら⇒    【B2】 出題されたクイズはこちら⇒ 

アナログ回路の数学的理解 ラプラス変換と伝達関数を知り、 回路の応答をイメージできるようになる

 

これからの回路設計で知っておきたい最適デジ・アナ信号伝送とSパラメータの基本・実践(前編)

 講師:アナログ・デバイセズ 祖父江 達也   講師:アナログ・デバイセズ 石井聡
     
【A3】 出題されたクイズはこちら⇒    【B3】 出題されたクイズはこちら⇒ 
システムの仕様、信号処理の経路構成からデジタル/アナログ混在素子を選ぶポイント
 

これからの回路設計で知っておきたい最適デジ・アナ信号伝送と
Sパラメータの基本・実践(後編)

講師:アナログ・デバイセズ 藤森 弘己   講師:アナログ・デバイセズ 石井聡
     
【A4】 出題されたクイズはこちら⇒    【B4】 出題されたクイズはこちら⇒ 
システムの信頼性向上に不可欠なアーキテクチャ設計と評価技法入門
  JESD204B超高速デジタル伝送に必要なアナログ技術と開発のポイント
講師:(株)制御システム研究所 森本 賢一 氏
  講師:ギガファーム(株) 山崎 隆行 氏

 

 【A4】、【B1】セッションを除く講義につきましては、セミナーで用いたテキストをダウンロードいただけます。

こちらのページから、必要事項を記入してダウンロードへお進みください。

セッションA で出題された問題


 

 

A1 :  『実験で理解するOPアンプの基礎』
講師:アナログ・デバイセズ 柿沼 淳

Q1: OPアンプを使用するメリットとして、正しいものを1つ選んでください。
   ① アナログ信号をデジタル信号に変換できる。
   ② コストが上がり、メリットは無い。
   ③ インピーダンス変換ができる。微小入力信号を増幅できる。

X+

【答え】 ③ インピーダンス変換ができる。微小入力信号を増幅できる。

 

【解説】

OPアンプは、入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスが低いという特徴を持ちます。

そのため、センサーなどの高いインピーダンスを持つ素子からの電気信号を低いインピーダンスの信号に変換することができます。

また、OPアンプは入力信号を増幅することが可能です。その際、負帰還回路を使用し任意の利得に設定することが可能です。

Q2: OPアンプが発振するのを防止する方法として、正しいものを1つ選んでください。
   ① 位相補償回路(部品)を挿入する。
   ② 発振を防止する方法は特にない。
   ③ OPアンプの電源電圧を変える。

X+

【答え】① 位相補償回路(部品)を挿入する。

 

【解説】

OPアンプが発振を起こしている場合は、負帰還回路での位相余裕が足りない可能性があります。

負帰還回路や負荷の条件を考慮し、適切な位相補償回路(部品)を挿入することで、発振を防止することが可能です。

 

 

A2 :  『アナログ回路の数学的理解ラプラス変換と伝達関数を知り、
  回路の応答をイメージできるようになる』
講師:アナログ・デバイセズ 祖父江 達也

Q1: つぎの部分分数展開におけるaとbの正しい組み合わせを①~③より選択してください。
1/(s2+3s+2)=a/(s+1)+b/(s+2)
   ① a=−2, b=2
   ② a=1, b=−1
   ③ a=1, b=2

X+

【答え】② a=1, b=−1

 

【解説】

部分分数展開は、ラプラス変換後の関数から、もとの時間関数へ戻す際に、ラプラス変換の公式集を活用するために必須です。
ヘビサイドの展開定理を使えば簡単に部分分数展開することができます。

Q2: つぎのシステム関数のポールとゼロの安定性の正しい組み合わせを①~③より選択してください。
F(S)=(s-1)/(s2+7s)
   ① ポール 0、7、ゼロ 1、システムは不安定
   ② ポール 0、-7、ゼロ 1、システムは準安定
   ③ ポール 0、7、ゼロ 1、システムは準安定

X+

【答え】② ポール 0、-7、ゼロ 1、システムは準安定

 

【解説】

ポールはシステム関数の分母をゼロにするもの、ゼロは分子をゼロにするものです。
複素平面上でポールの位置をプロットすると、左半面と虚軸にそれぞれありますからシステムは準安定と言えます。

【その他 関連情報】

セッション中でご紹介したADIsimPEはアナログ・デバイセズが提供する無料の回路シミュレータです。他社製のものに比べてシミュレーションに要する時間が短く、迅速な回路評価が可能です。

ADIsimPEは、SIMetrix/SIMPLISをベースにアナログ・デバイセズ製品のモデルをマージしています。SPICEシミュレータとスイッチング電源やPLLのシミュレータの2つのモードがあります。特に電源シミュレータの高速動作には定評があります。



 

 

 

 

A3 :  『システムの仕様、信号処理の経路構成から
   デジタル/アナログ混在素子を選ぶポイント』
講師:アナログ・デバイセズ 藤森 弘己


 参考数表 2の乗数
 28  256

 213

 8192  218 262144
 29  512  214  16384  219  524288
 210  1024  215  32768  220  1048576
 211  2048  216  65536  221  2097152
 212  4096  217  131072  222  4194304


Q1: 0~1000℃の温度変化で0~10mVの出力が出る温度センサーの出力をAD変換して0.1℃の分解能で測定しようと考えています。コンバータの分解能は最低何ビット以上必要でしょうか?
   ① 12ビット
   ② 14ビット
   ③ 16ビット

X+

【答え】 ② 14ビット

 

【解説】

0℃から1,000℃の間を0.1℃刻みで測定するには、1,000/0.1=10,000ステップが必要です。添付の表を見ると、2進数では214の分解能、すなわち14ビットの分解能があれば10,000ステップ以上の数値を表現することができます。
したがって14ビット以上のコンバータが必要になります。計算上は、10,000ステップとは13.3ビットです。14ビットのデータ長で14ビットをフルに使わないコンバータ、例えば0.3ビット以上のオーバーレンジを持つシグマデルタ・コンバータでも理論的には可能ですが、一般的には整数ビットのコンバータを用います。

Q2: AD 変換やDA変換のデータ処理であるデジタル信号処理部分について、正しくないものは次のうちのどれでしょうか。
   ① デジタル・フィルタリングにより帯域を制限し、AD変換結果のSN比を改善
    します。これにより有効ビットを改善します。
   ② デジタル・データで表現されている信号振幅は、本来の信号とは僅かな差
    があり実信号とは異なります。
   ③ シグマ・デルタADコンバータは、内部に高機能のデジタル・フィルタリング
    機能を内蔵しているので、アンチエリアス・フィルターは通常不要です。

X+

【答え】 ③ シグマ・デルタADコンバータは、内部に高機能のデジタル・フィルタリング機能を内蔵しているので、アンチエリアス・フィルターは通常不要です。

 

【解説】

AD変換の際にデジタル・フィルタリングやアナログ・フィルタリングで帯域を制限すると、帯域外のノイズを抑圧して信号とノイズの比率(SN比)を向上させることができます。これをプロセス・ゲインと呼んでいます。SN比の改善は、有効ビットの向上につながり、AD変換結果の精度を向上させます。

本来のアナログ信号は、振幅方向の分解能は無限大(無限小?)です。ところがAD変換データやDA変換のデータは、一番値が近い有限の桁数(ビット数)のデジタル値を本来の信号値に置き換えて表現するため、もとのアナログ信号とは異なる値となります。この差が誤差(ノイズ)となり、変換された信号のSN比を劣化させる要因の一つとなります。高精度のコンバータとはこのSN比が高いものを指しますが、高精度の変換のためにはコンバータだけでなく周辺の回路、電源、信号の品質などにも高精度が必要とされます。

シグマ・デルタADコンバータは、内部に高性能のデジタル・フィルターを内蔵していて、帯域制限やノイズ・シェ-ピングなどの技術を使って高精度・高分解能を実現しています。しかし入力においてはサンプリング回路を使用しているため、AD変換やデジタル・フィルタリングをする前の段階で折り返し(エリアシング)を生じさせます。AD変換の前にノイズが折り返してしまうので、変換データにもこのノイズが含まれています。ノイズの周波数にもよりますが、場合によっては信号のすぐ近くに折り返してくる場合があります。このような場合、デジタル・フィルターでもノイズを取り除くことが困難になります。ADコンバータのアナログ入力帯域とノイズ帯域の兼ね合いもありますが、一概にシグマ・デルタADコンバータにアナログのアンチエリアス・フィルターを不要とはいえません。

 

 

A4 :  『システムの信頼性向上に不可欠なアーキテクチャ設計と評価技法入門』
講師:(株)制御システム研究所 森本 賢一 氏

Q1: 機能安全とは何でしょうか?
   ① 危険の根本を無くすための安全のアプローチ
   ② 万一の時に危害を回避する、仕組みによる安全のアプローチ
   ③ 標識などによって、人に注意を喚起する安全のアプローチ

X+

【答え】 ② 万一の時に危害を回避する、仕組みによる安全のアプローチ

 

【解説】

危害そのものを無くしたり、その根源を無くす安全対策を本質安全と言います。本質安全の対策をまず行うのですが、それだけでは完全に危害を無くすことができない場合があります。
たとえばすべての踏切をなくすことはできません。このような場合は、その危害に至るイベントのリスクを、なんらかの仕組みで低減することを考えます。これを機能安全と言います。機能安全でリスクは0にはなりません。なぜならば危害そのものを取り除くわけではないからです。しかし危害に至るリスクは低くなります。許容可能なリスクのレベルまで低減できた場合、その受け入れたリスクを残存リスクと言います。残存リスクをさらに小さくするために、使用者の警告を表示したり注意喚起をするという方法も追加する場合もあります。

Q2: λDUとは何でしょうか?
   ① 万一発生しても、安全な方向に向かう故障の故障率
   ② 検知できる、危険な方向に向かう故障の故障率
   ③ 検知できない、危険な方向に向かう故障の故障率

X+

【答え】 ③ 検知できない、危険な方向に向かう故障の故障率

 

【解説】

故障のすべてがシステムにとって致命的であるとは限りません。故障の中には発生しても重大な危険につながらない部品もあります。また同じ部品でも、故障の仕方によっては、重大な危険につながる場合とつながらない場合と、影響が異なることも有ります。たとえば抵抗部品があった場合、ショート状態で壊れる場合には危険だが断線状態で壊れる場合には危険にはつながらない、などは壊れ方による違いです。このような故障の分類を、λD(危険側故障)λS(安全側故障)と呼称します。
さらにその故障が発生した場合、故障が発生した時にすぐにわかる故障と「いざっ!」というときにはじめて露呈する故障があります。前述の分類に加えて、さらにこの検知可能性を加えて、λDD(危険で検知可能)λDU(危険で検知不可能)λSD(安全で検知可能)λDU(安全で検知できない)の4つに分類します。
このうちλDU(検知できない、危険な方向に向かう故障の故障率)は、機能安全における信頼性向上にとってとても障害になる故障です。この故障を少なくするために、コンピュータソフトウェアによる自己診断を組み込んでゆきます。

機能安全やセキュリティなど、リスクマネージメントの教育・導入は

株式会社 制御システム研究所(kenichi_morimoto@controlsystemlab.com ) までお問い合わせください。

セッションB で出題された問題

 



B1 :  『これで解ったPLL設計の極意』
講師:(有)レムフクラフト 浜田 智 氏

Q1: VCOに隠れていたフィードバック制御の要素は何?
   ① 微分要素
   ② 積分要素
   ③ 無駄時間要素

X+

【答え】 ② 積分要素

 

【解説】

PLLは周波数の制御ではなく位相の制御です.周波数は位相を制御した結果、副次的に周波数も一定になってるにすぎません。
VCOに一定のDC電圧を与えると,VCOから出力される位相は時間とともに直線的に増加します。これはフィードバック制御の積分器特性そのものの動きになります。

Q2: 現実の位相比較器は何を比較している?
   ① 波形の全位相点を比較している
   ② 波形の電圧の大きさを比較している
   ③ 波形の先頭の位相点のみを比較している

X+

【答え】 ③ 波形の先頭の位相点のみを比較している

 

【解説】

もし理想の位相比較器がこの世に存在するなら,波形の全周の全位相点を比較し出力はリニア信号になります。でも現実の位相比較器は、波形の先頭部のみを比較するので飛び飛びの信号になります。またその位相差をPWM波で表現しています。

【その他 関連情報】

ADF4001:PLL(200MHz)、クロック生成用、電源電圧:2.7V~5.5V

ADF4360-7:整数Nシンセサイザ/VCO出力周波数350~1800 
 

 


 

 

 

B2 :  『これからの回路設計で知っておきたい最適デジ・アナ信号伝送と
    Sパラメータの基本・実践(前編)』
講師:アナログ・デバイセズ 石井 聡

B2_Q1

   B2_Q2
B2-Q1に関する図
   B2-Q2に関する図