バッテリのフォーメーション/テストを高精度化し、電気自動車に革新をもたらす

次に車に乗るときには、自動車業界にもたらされた変革をぜひご自身の目で確認してみてください。おそらく、大通りを走行していれば、電気自動車(EV)が急速に普及していることを実感されるのではないでしょうか。現時点で、自動車の総販売台数のうちEVの割合は2%にも達していません。しかし、2025年までにはその割合は最大で10%に達すると予想されています。[1]

今後、EVの市場は爆発的に成長します。当然のことながら、EVに搭載されるバッテリの需要も高まっていきます。また、バッテリはいずれ劣化するので、交換需要も生じます。このような状況に対応するには、バッテリの製造装置を早急かつ大量に市場に投入する必要があります。しかし、バッテリの製造には非常に厳しい要件が課せられます。そのため、いくら急いでいるからといって、性能の低い装置によりこの状況を切り抜けることはできません。

EVの性能はバッテリの性能に大きく左右されます。アナログ・デバイセズはこの点を深く理解しており、EVの性能を決定するバッテリのフォーメーションとテストの分野で主導的な役割を果たしています。

概要

対象企業/業種:

EVのメーカーと、バッテリのフォーメーション/テストを実施する企業

アプリケーション:

バッテリのフォーメーション/テスト

課題:

EVの市場拡大に伴い、バッテリに対する需要が高まっている。その需要に応えるためには、質が高く信頼性に優れるバッテリ技術が必要になる。

目標:

フォーメーション工程を改善し、バッテリの品質と信頼性を高める。それにより、EVメーカーの供給力の改善や、EVの品質の向上、サプライ・チェーンの効率化を図る。

 

Game changer

 

バッテリへの投資がブランド力の強化に

EV用のバッテリは高コストであり、それがそのままEVの店頭表示価格に反映されます。実際、EVの製造コストのうち最大40%はバッテリによるコストです。特に問題になるのは、バッテリ製造の最終工程です。その工程にかかるコストは、バッテリのコストのうち最大20%を占めます。その最終工程に行われるのがフォーメーションとテストです。バッテリのメーカーは、自社製品がブランド力に及ぼし得る影響について十分に理解しています。携帯電話、電動工具、ゲームなど、充電式のバッテリを使用する他の機器市場では、過去に様々な事例が発生しました。それらが物語っているように、バッテリの性能はブランド力を左右する重要な要素になるのです。

 

Game changer

 

バッテリのメーカーと計測器のプロバイダは、急成長を遂げるEV業界で利益を生み出すためには何が重要なのか把握しています。それは、製造の規模を拡大することと、製造の効率を高めることです。しかし、とにかく急ピッチで数多くのバッテリを製造し、どこよりも早く市場に提供すればよいというわけではありません。EV用のバッテリを製造する賢明なメーカーは、他のどの要素よりもバッテリの性能/品質を優先しなければならないことを理解しています。

バッテリのフォーメーションとテストには長い時間がかかります。バッテリの化学反応を引き起こすために、充電と放電を何度も繰り返さなければならないからです。この作業は完了するまでに丸2日かかることもあります。しかし、バッテリを使用可能な状態にし、信頼性と品質を保証するためには、これらの工程が不可欠であることは明らかです。


必要なのは、フォーメーション/テストの高精度化

バッテリの性能は、フォーメーションとテストの精度によって決まると言っても過言ではありません。フォーメーションとテストは、バッテリの品質と安全性を確保するための重要な工程です。アナログ・デバイセズは、両工程の水準の引き上げに大きく貢献しています。具体的には、継続的な研究活動に基づき、高い精度を備える新製品、リファレンス・デザイン、集積型のソリューションを生み出しています。加えて、メーカー各社がバッテリをより効率的に製造し、スペースの限られる工場でより多くのテストを実施できるように尽力しています。そうしたすべての取り組みが、フォーメーション/テストの実施規模の拡大、ひいてはEVの製造規模の拡大につながるのです。


「フォーメーションの工程を改善すれば、バッテリの歩留まりが高まります。つまり、スクラップ損失を削減することが可能になります」

Vikas Choudhary
バッテリ用フォーメーション/テスト製品担当
戦略マーケティング・マネージャ


システム・レベルの専門技術に基づく包括的なアプローチ

バッテリのメーカーがコストを削減するためには、エコシステムの規模に対応する包括的なアプローチを導入する必要があります。また、システム・レベルの専門技術を活用することにより、チャンネル数を増加させつつ、バッテリ用のテスト回路全体の実装面積を削減しなければなりません。ここで重要なのは、フォーメーション/テストにおける計測の確度、精度、信頼性、速度は維持しつつ、安全性、性能、信頼性に対する要件を確実に満たさなければならないということです。

上記の内容を実現するのは容易なことではありません。まず、フロント・エンドでは、バッテリ用の充電回路を駆動する電源をきめ細かく制御する必要があります。また、バッテリのフォーメーション/テストでは、パワー・サイクルの中で適用される電圧と電流のプロファイルを慎重にモニタリングし、必要に応じてセルの過充電と過放電を防ぐ処理を実行しなければなりません。それにより、テストの実施中の安全性を確保できるだけでなく、バッテリの寿命を最大限に延伸することが可能になります。バッテリの寿命が長くなれば、エンド・ユーザの総所有コストは大きく削減されます。

アナログ・デバイセズは、バッテリの製造に関連するシステム・レベルの専門技術と幅広い製品群を有しています。バッテリ・メーカーは、当社と密に連携することで、より洗練されたコンポーネントやビルディング・ブロックを活用することができます。それだけでなく、システムのアーキテクチャに対応するリファレンス・デザインも利用できるようになります。これを活用すれば、フォーメーション/テスト用のシステムをゼロから開発する場合と比べて、市場投入までの期間を1/3~1/4に短縮することが可能です。

また、アナログ・デバイセズの技術を採用すれば、フォーメーション/テスト(セルの充放電)において、システム・レベルで高い精度を得られるようになります。その結果として、複数のセル間でエネルギーを再利用するアーキテクチャを構成することが可能になります。バッテリ・メーカーは、従来は実現できなかったレベルの効率を達成し、スループットを高めることができます。エネルギーの再利用などにより無駄を減らせば、コストも低減されます。最終的には、バッテリの製造における費用対効果を更に高められます。

アナログ・デバイセズは、主導的な立場でバッテリのフォーメーション/テストの課題に取り組み、お客様を適切な方向に導けるよう尽力しています。システム・レベルの実績を有し、精度について妥協を許さない当社と連携することにより、バッテリ・メーカーは、急成長を遂げるEV市場が求める高品質で高性能な製品を製造することが可能になります。


バッテリのフォーメーション/テストにおけるアナログ・デバイセズの優位性

  • 技術力の高さ: 極めて高い再現性でバッテリのフォーメーションに必要な精度が得られるので、高性能のバッテリを一貫して製造することができます。

  • システム・レベルの専門技術:フォーメーション/グレーディング工程向けに、実装密度と効率に優れる装置を設計することができます。

  • フォーメーションにおけるシステム・レベルの精度: 高い精度が得られることから、余剰のエネルギーを他のセルのフォーメーションに再利用することが可能になります。

  • システムのサイズを縮小する集積型のソリューション:単位面積あたりにより多くのテスト装置を配備できるようになると共に、工場のフロアを拡大することなく、フォーメーション/テスト用の機能を追加できます。

 

 

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[1] David Keohane and Peter Campbell. “Valeo Doubles Forecast for Electric Car Sales.” Financial Times, February 2018.

[2] electrive.com, "Number of Plug-In Cars Climbs to 5.6M Worldwide" (2019)