ADG636 - FAQ

制御信号入力がオープンの時どうなる?

Q:  制御信号「IN」の入力がオープン状態の時には、S–Dの関係はON、OFFのどちらの状態になるでしょうか。

A:  制御信号にプルアップ等の処理がされていないアナログスイッチの場合は、回路のリーク電流によりHまたはLにバイアスされますが、どちらのロジックレベルになるかは不定です。

CMOSスイッチの未使用端子の処理

Q:  CMOSスイッチの入出力端子処理についてお教え下さい。
スイッチをOFFに制御した状態で、ソース、あるいはドレインを未接続(オープン)、もしくは不定状態にすることは可能でしょうか? 何か悪影響がありますでしょうか?

A:   スイッチをOFFのステートにした場合、DとSはともに高インピーダンス状態になります。原理的にはオープンでも回路動作に矛盾は起きませんが、高インピーダンスのアナログ入出力ピンをオープンにすることは、お勧めしておりません。静電気や他の回路からのリークなどにより、使用中に不慮の事故を起こす危険性がありますので、一般的には使用しないD,Sはともにグランドに接続しておくことを推奨しています。

電源OFF時にCMOS-SWに入力を加えると電流が流れる

Q:   電源断の場合、CMOSスイッチに電流が流れ込むようですが、対策方法はありますでしょうか?

A:   電源が入っていない状態で、スイッチ端子に電圧を加えることは素子の破壊につながります。半導体のスイッチは、機械式のものと異なり、スイッチの端子と電源の間には寄生的なダイオードが入っています。電源電圧に対してスイッチ端子の電位が逆転すると、このダイオードが、順方向にバイアスされるため、電流が流れるようになります。

スイッチ切り替え時に意図しない電圧出力が一瞬あらわれる。

Q:   たとえばADG408で VSS -15V VDD +15V GND 0V とし、S1に信号。他のCHはGND電位とした場合、 S8からS1を選択した場合、瞬間的に出力に高い電圧が出力され、その後数100μSで、切り替えた信号の電圧に落ち着きます。原因はどのようなことが考えられるのでしょうか。

A:   原因としては、ADG408のチャージインジェクションと後段の回路の影響のふたつが考えられます。チャージインジェクションは内部スイッチの切り替えの際に、過渡的にゲート側より信号ラインに注入される(流れてくる)電荷です。この電荷がインピーダンスの高い出力ノード(たとえばバッファーアンプの入力)に加えられると、電圧の誤差となります。またマルチプレクサの出力が、差動電圧が制限されているようなバッフアンプ(たとえばOP27)に接続されている場合、過渡的な入力の変化によりアンプの+-入力端子間のバーチャルショートが崩れ、電位差が生じる事により、入力端子間に電流が流れて入力電圧に影響を与える場合があります。 このような場合にはアンプの出力と-入力間に抵抗を接続して流れる電流を制限して下さい。またADG408の出力とGND間に小さな(10pF程度)コンデンサーを接続してチャージインジェクションによる出力電圧の変化を低減する事をお勧めいたします。

CMOSスイッチに電源が印加されていないときのスイッチの状態

Q:   CMOSアナログスイッチの電源ピンに電圧を入力していない状態で、スイッチ入出力間の導通はありますか。 それとも不定状態でしょうか。

A:   一般的なCMOSスイッチの各ピンは、ESD保護ダイオードにより各電源(VDDとVSS)に接続されています。VDD/VSSの電源が加わっていない状態で、DやSピンに電圧が加わると、このダイオードが導通して大電流が流れ、場合によってはダメージを受けることがあります。このピンの導通ということですが、テスターなどで測定すると、このESDダイオードを通して電流が流れるので、ある抵抗値を示します。(テスターの仕様により何Ωとは言えません) アナログスイッチがスイッチとして機能するのは、電源が正常に印加されているときだけです。

なお一部のFoullt Protection機能内蔵のCMOSスイッチは、電源オフの状態でもハイインピーダンスを保ち、以降の回路を保護するものもああります。

入力同士もしくは出力同士をショートさせてもいいのか

Q:  入力もしくは出力をショートさせて使っても良いでしょうか。S1-S2-S3-S4もしくはD1-D2-D3-D4という感じです。

A:  アナログスイッチの入出力は、CMOSのソースとドレインなので、一般的に(高周波デバイスを除いて)入出力の区別はありません。そのためDまたはS同士を接続しても、あるいはSとDを接続しても問題はありません。スイッチのパラレル接続、シリアル接続なども可能です。ただし複数のパッケージのデバイス同士が接続され、その電源がそれぞれ異なるタイミングでON/OFFする場合は、注意が必要です。 接続されたもの同士でダメージを与える場合があります。