FAQ
AD7982 - FAQ
コンバータのアナログ部とデジタル部の分離
Q: 回路のアナログ部とデジタル部分離したいと考えています。 アナログ用とデジタル用で全く別の電源を用意し、コンバータのREF+、REF、 AINはアナログ電源に、VDD/GND/通信インターフェースはデジタル電源に、というような配線をしても問題ないでしょうか。
A: VDDはアナログ電源とすることをお勧めいたします。またREF+/REF/AINにはGND 0.3V ≤ (REF+, REF, AIN) ≤ VDD+0.3Vの制限がありますので、別電源とした場合、この制限を越える状態が発生しないように注意してください。
変換とデータ出力が同時の場合、出力されるデータは?
Q: たとえばAD7898をMODE-1で使用した場合、外部クロックで変換とデータ出力が同時に行われますが、このとき出力するデータは今変換しているデータか、それとも前回変換したデータなのでしょうか。
A:
Mode1では確かに変換とデ-タの読み出しを同時に行えますが、ADCの基本としては、変換が完全に終了するまでは、正しいデ-タが、内部のレジスタには収まりません。
よってAD7898のMode0のような、変換、終了、デ-タ読み出しといった一連の動作には変わりありません。
さて、Mode1では、変換とデ-ダの読み出しを同時に行うことで、より高速に動作されることができます。
しかしながら、基本動作はMode0の考え方と同じですから、変換したデ-タは変換終了後ADC内部の出力レジスタに格納されます。
その次のCSが立下り(次の変換動作)になったとき、内部に格納された変換デ-タが出力されます。
A/Dコンバータの変換速度と入力周波数の関係は?
Q: ± A/Dコンバータのスペックを見ると入力帯域と変換速度が異なりますが、これらはどのような関係なのですか?
A: A/Dコンバータの入力周波数帯域は、アンチエリアスフィルタを付けないでAD変換を行ったときにコンバータがサンプリングできるアナログ信号の帯域です。従ってサンプリング周波数の1/2以上の帯域を持つコンバータは、フィルタが無ければこの帯域にある信号を1/2帯域内に折り返してきます。逆に高い周波数に信号を低いサンプリング周波数で変換し、信号の折り返しイメージをデジタルフィルタで取り出す目的で、このようなA/Dコンバータを使う場合があります。これをアンダーサンプリングとよびます。
完全差動型のADCをシングルエンドのアナログ入力信号で駆動したい
Q: 完全差動型のADCでは、データシートによると、シングルエンドのアナログ入力信号の場合は、差動変換ドライバの使用が推奨されています。シングルエンド信号を直接A/Dコンバータ入力端子(IN+)に接続した場合、ADCコードはどのようになりますか?(2の補数で出力されないのでしょうか?)
A: 完全差動型の入力構成で設計されているADC、たとえばAD7690では、本来はシングルエンド入力信号に対しての使用を推奨する製品ではありません。AD7690のデータシートにもありますようにコモンモード入力レンジはVref/2までしかなく、仮に"-入力"をGNDに接続して+側にシングルで入力した場合、5Vリファレンス使用時に、入力信号電圧2.5Vまでしか精度が保証されません。基本的にADC内部で信号がシングルか差動かを判別するロジカルな機能はなく、出力データフォーマットは一定です。
未使用ロジック入力は?
Q: /CONVSTやALERT、/BUSY信号を使用しない場合の処理を教えてください。
A: 未使用ロジック入力はノイズの影響でエッジが発生することを避けるためPull upなどでLOGIC high固定してください。
+IN/-INのレベルは?(AD7982)
Q: アナログ入力範囲 +/-5V入力の場合 +IN/-INのレベルはどのように入れればよいのですか?
A: リファレンスが5VでADCの変換レンジが+/-5Vであった場合、IN+とIN-にそれぞれ0~5Vの180度位相の異なる信号を与えて+/-5Vを再現します。たとえば、
ADCの変換電圧が5Vの場合 IN+は5VでIN-は0V
ADCの変換電圧が0Vの場合IN+は2.5VでIN-は2.5V
ADCの変換電圧が-5Vの場合IN+は0VでIN-は5Vという構成にします。
シングルエンドの信号であった場合には、ADA4941を用いることで差動の信号を生成可能です。
ADコンバ-タの差動入力とは何?
Q: 差動入力を持つADコンバータのデータシート内にある「Common-Mode Input Range」とは、どういったものなのでしょうか? 入力IN+、IN-には、VRef/2までの電圧しか入れられないという事なのでしょうか?
A: ADコンバータの差動入力(Differential Input)とは、ふたつの入力(IN+とIN-)の電圧の差を、入力信号とするというものです。 例えばIN+=+1.5V、IN-=+0.5Vであれば、これは入力が+1Vと認識されます。逆にIN+=+0.5V、IN-=+1.5Vであれば、これは-1Vと認識されます。たとえばAD7687というADコンバータの入力レンジは、±Vref電圧までですから、Vref=+5で使用すると、入力は±5Vになります。極論するとIN+が+100VでIN-が+95Vでも、差動入力は+5VでOKののはずですが、そこにはやはり入力の耐圧の制限があります。この制限が、データシートのスペックに記されている、Absolute Input VoltageとCommon-mode Input Voltageのふたつです。Abs inputは、このふたつの入力ピンにかけることができる最大の電圧値を、グランドからの電圧値で示したものです。これを見るとAD7687の場合は、-0.1V~Vref+0.1Vとなっているので、Vref=+5Vの時は、IN+、IN-にそれぞれ加えることができる電圧は、-0.1V~+5.1Vということになります。次にふたつの入力信号の動作の中点である同相電圧にも制限があります。同相電圧とは簡単にいうと、ふたつの信号電圧の平均値(中点)電圧です。データシート1頁目の図に書いてある入力信号の絵で、その動作の中心になっている電圧です。これが0V~Vref/2+0.1Vということですから、Vref=5Vの時は、0V~+2.6Vということになります。仮にこの電圧を越えても(例えばIN+=IN-=5Vになると同相電圧は+5Vになる)デバイスが破壊することはありませんが、スペックシートに記載された性能は保証されません。同相電圧はふたつの入力の平均値で、通常の差動信号では中点にあって動かないもの、すなわちIN+とIN-は同相電圧中心に逆方向に同じ振幅の信号と想定されています。これらの二つの規定は、デバイスごとにデータシートに示されているので、設計する際に十分確認してください。