DN-491: 独立した小型機器のバッテリを充電する小型 2 セル・ソーラーパネル

はじめに

低消費電力エレクトロニクスの進歩により、今ではパワーグリッドから離れた場所にバッテリ駆動センサや他の機器を設置することが可能になっています。理想的には、パワーグリッドに全く依存せずにすむように、バッテリの交換を不要にして、代わりに太陽エネルギーなどのローカルに利用できる再生可能エネルギーを使って再充電します。このデザインノートでは、小型の 2 セル・ソーラーパネルで動作する小型バッテリ・チャージャの構成方法を説明します。このデザインの特長は、DC/DC コンバータが電力点制御を行って、ソーラーパネルから最大電力を引き出すことです。

最大電力点制御の重要性

太陽電池やソーラーパネルは出力電力定格が定められていますが、パネルの利用可能な電力は決して一定ではありません。その出力電力は、照度、温度、およびパネルから引き出される負荷電流に大きく依存します。これを説明するため、2 セル・ソーラーパネルの一定の照度での V-I 特性を図 1に示します。I-V 曲線は、短絡(左端)から約 550mA の負荷電流までほぼ定電流特性を示し、そこから低電流の定電圧特性へと折れ曲がり、開放回路(右端)で最大電圧に近づきます。パネルの出力電力曲線は、750mV/530mAのあたりで(I-V 曲線の屈曲点のあたりで)出力電力のピークを示します。負荷電流が電力ピークを超えて増加すると、電力曲線は急速にゼロ(左端)に低下します。同様に、軽負荷では、電力はゼロ(右端)に向かって低下しますが、これはさほど問題にはなりません。

図 1.ソーラーパネルの出力電圧、電流、および電力

図 1.ソーラーパネルの出力電圧、電流、および電力

当然、パネルの照度が利用可能な電力に影響を与えます。光が少ないほど出力電力が減り、光が多いほど電力が増えます。照度はピーク出力電力の“値”に直接影響しますが、電圧スケール上のピークの“位置”にはそれほど影響しません。つまり、照度には関係なく、ピーク電力が生じるパネルの出力電圧は比較的一定に保たれます。このため、ソーラーパネルの電圧がこのピーク電力電圧(この場合は 750mV)またはそれ以上に留まるように、出力電流を調整することは有意です。そうすることを、最大電力点制御(MPPC)と呼びます。

最大電力点制御を行う場合と行わない場合の、充電電流に対する太陽光の変化の影響を図 2 に示します。太陽光が 100% から約 20% まで下がり、再度 100% に変化するようにシミュレーションしました。太陽光強度が約 20% 下がると、ソーラーパネルの出力電圧と電流も下がりますが、LTC3105 の最大電力点制御により、パネルの出力電圧がプログラムされた 750mV より低くならないことに注意してください。これは、ソーラーパネルが(図 2 の右側のプロットで示されているように)0V 付近まで落ちないようにLTC3105 の出力充電電流を減らすことで行います。電力点制御を行わないと、太陽光が少し減少しただけで、充電電流が完全に停止することがあります。

図 2.太陽光強度の変化の充電電流に対する影響

図 2.太陽光強度の変化の充電電流に対する影響

入力電力制御付きの LTC3105 昇圧コンバータ

LTC3105 は主に、低電圧太陽電池や熱電発電機などの環境エネルギー源からバッテリ充電電力へ電力変換を行うように設計された、同期整流式昇圧 DC/DC コンバータです。LTC3105 は MPPC を使ってエネルギー源から利用可能な最大電力を供給します。これは、ソーラーパネルが 0V 付近まで落ちないように LTC3105 の出力電流を減らすことで行います。LTC3105 はわずか 250mV の入力で起動することができるので、1 セルの太陽電池や直列接続した最多9 セルないし10 セルの太陽電池で駆動することができます。

出力切断機能により、他の太陽電池駆動の DC/DC コンバータで多くの場合に必要となる絶縁ダイオードが不要であり、出力電圧を入力電圧より上にも下にもすることができます。インピーダンスが比較的に高い電力源で動作できるように、起動時には 400mA のスイッチ電流制限は減少しますが、コンバータが通常動作になると、多くの低電力ソーラー・アプリケーションに対して十分な電力を供給します。さらに、可変出力の 6mA 低損失リニア・レギュレータ、オープン・ドレインのパワーグッド出力、シャットダウン入力、および低消費電力アプリケーションの効率を改善するためのBurst Mode®動作も備えています。

太陽電池駆動のリチウムイオン・バッテリ・チャージャ

昇圧コンバータとして LTC3105 を使い、リチウムイオン・シャント・チャージャとして LTC4071 を使う、太陽電池駆動の小型バッテリ・チャージャを図 3 に示します。2 セルの400mW ソーラーパネルが LTC3105 に入力電力を供給し、最大太陽光で 60mA を超える充電電流を発生します。図 1に示すように、最大電力点制御により、ソーラーパネルの電圧が 750mV の最大電力点より下がらないようにします。コンバータの出力電圧は、リチウムイオン・バッテリの 4.2Vのフロート電圧よりわずかに高い 4.35V にプログラムされています。LTC4071 シャント・レギュレータは、バッテリ両端の電圧を 4.2V に制限します。FBLDO ピンを接地して低損失レギュレータを 2.2V にプログラムし、それによって「充電」LED に電力を供給します。この LED は充電中はオンし、バッテリ電圧がフロート電圧の 40mV 以内になるとオフして、満充電に近いことを表示します。NTC サーミスタがバッテリ温度を検出し、バッテリの安全性を増すために高い周囲温度では LTC4071 のフロート電圧を下げます。過放電によるバッテリの損傷を防ぐため、低電圧バッテリ切断機能により、バッテリ電圧が 2.7V を下回るとバッテリを負荷から切断します。

図 3.2 セル・ソーラーパネルで動作するリチウムイオン・バッテリ・チャージャ

図 3.2 セル・ソーラーパネルで動作するリチウムイオン・バッテリ・チャージャ

まとめ

ここで説明されている回路が発生する電力はわずか数100mW ですが、ほとんどの気象条件で 400mAhr のリチウムイオン・バッテリを満充電状態に保つのに十分な電力を供給することができます。入力電力制御と組み合わせた低入力電圧により、LTC3105 は低消費電力の太陽電池アプリケーションに最適です。さらに、戸外環境でのバッテリ寿命を延ばすために、LTC4071 シャント充電システムは高精度フロート電圧、充電状態および温度に対する安全機能を提供して、LTC3105 を補完します。

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Fran Hoffart