ADIsimOpAmp - 使用方法

概要:
ADIsimOpAmpは、電圧帰還型オペアンプの選択、評価およびトラブルシューティングを支援するツールです。このツールは、標準的なパラメータ値を使用して選択したアンプの一般的な動作を数学的にモデル化します。ユーザは、アンプを選択し、回路を簡単に構成し、信号を印加し、一般的な性能を評価することができます。これによって、所定の回路構成でゲイン帯域幅、スルーレート、入出力範囲、差動電圧、ゲイン誤差、負荷電流、安定性に関わる予想される問題、DC誤差などのアンプのパラメトリック性能を調べることができます。このツールは一次近似のみに使用するものであり、SPICEモデリングやハードウェア・テストの代わりにはなりません。

 

 1: アンプの選択

ツール上部にある"Select Amplifier"のプルダウン・メニューから、評価するアンプを選択します。リストにアンプを追加するには、以下のいずれかのオプションを使用します。

  1. Parametric Search: 必要なオペアンプのパラメータがわかっている場合は、パラメトリック検索エンジンを使用して、評価するアンプを検索して選ぶことができます。検索を実行するには、所定の欄に所望のパラメータ値を入力し、Searchを押します。入力した基準値に最も近いものが検索結果に表示されます。検索パラメータを追加するには、"Add Searchable Parameters"の下にある項目のボックスをチェックします。他のアンプも選択して評価したい場合は、"Add Part(s) to Amplifier Parametric Evaluation Tool"を選択し、所望のデバイスの横にあるチェックボックスを選択してから、ページの下部にある"Add to Tool"ボタンをクリックします。
  2. Selection Wizard: アンプの選択方法がわからない場合は、セレクション・ウィザードが便利です。アンプ選択ウィザードが一般的な質問をいくつかします。その回答内容に基づいて、評価するアンプを検索してリストアップします。
  3. Suggest Amplifier: 構成された回路から抽出したデータをもとに、パラメトリック検索 エンジンに値を自動的に入力することができその回路で動作するアンプを探すことができます。すべての条件を満たすアンプが見つからなかった場合は、近似のコンポーネントがリストアップされます。

 

 2: 回路の選択

ツール上部の"Select Mode"のプルダウン・メニューから回路を選択します。反転アンプ、非反転アンプ、差動アンプから選択できます。

 

 

 3: 回路の構成

 
ゲインの設定
Rfb/Rgの比率を調整して、クローズド・ループ・ゲインを設定します。所定の入力欄に抵抗の値を入力してください。
(注: 抵抗値を大きくすると、入力バイアス電流と電圧ノイズによって誤差が増大します。)

電源電圧の入力
+Vsと-Vsの入力欄に所望の電源電圧を入力します。

ソース抵抗
所定の欄に入力信号源抵抗を入力します。デフォルト抵抗は0Ωです。ソース抵抗を大きくすると、入力バイアス電流と電圧ノイズによって誤差が増大します。

Vref
Vref欄にリファレンス電圧を入力できます。Vrefのデフォルト値は0Vです。Vref電圧は、信号のレベル・シフトを行うときに使用します。

Rbias抵抗(反転モードと非反転モードのみ) *非反転モードではRbiasでなくRref
必要であれば、Rbias抵抗の値を入力します。
(注: 非反転モードでは、Rref抵抗を0Ωより大きくする必要があります。そうしないと、入力信号がVrefに短絡します。Rbiasは、バイアス補償されていないオペアンプのときに入力バイアス電流による誤差を最小限に抑えるために使用します。そのために、非反転(+)ピンのソース・インピーダンスを反転(-)ピンの認識されるソース・インピーダンスに合わせます。一般に、Vbiasの値はRfb//Rgの並列抵抗に合わせて設定されます。)

Rload
Rloadの値を入力することによって、アンプ出力の抵抗性負荷を設定できます。デフォルト値は100MΩです。
(注: 抵抗値が低い場合は、オペアンプ出力端から過剰な電流が流れることがあります。)

Cload

Cloadの値を入力することによって、アンプ出力の容量性負荷を設定できます。デフォルト値は0pFです。
(注: 容量値が大きい場合は、周期性を持つ信号を使用したときにオペアンプが不安定になったり高い出力電流が流れることがあります。)

 4: 入力信号

入力信号の選択
左側のグラフの上にある"Input Signal"のプルダウン・メニューから、入力信号波形を選択します。Sine(サイン波)、Triangle(三角波)、DCを選択できます。

周波数の設定
所望の入力信号周波数を所定の欄に入力します。
(注: この欄は、DCの場合は表示されません。)

振幅の設定
所望の電圧入力信号振幅を所定の欄に入力します。
(注: この欄は、DCを選択した場合は表示されません。振幅を設定するにはDC Offset欄を使用してください。)

DCオフセットの設定
DC Offset欄で、入力信号に印加されるDCオフセット電圧を設定します。差動モードでは、入力信号V2とV1の間の平均DC電圧差が設定されます。

コモンモード電圧の設定(差動モードのみ)

Common Mode Voltage欄で、入力信号V1とV2の平均DC電圧値を設定します。


 5: アンプ応答の解析

 

モデルの実行
モデルを実行するには、ツールの右上にあるRun Modelボタンをクリックします。
(注: 変更した場合は、そのつど手動で再実行してください。)

結果の表示
選択したアンプの応答の計算結果がツール右下のグラフに表示されます。グラフの下には、表示された波形に含まれるオプションが示されています。

ゲイン誤差
所定のラジオ・ボタンによって、結果のグラフにゲイン誤差を含めたり(Including)除外したり(Excluding)することができます。ゲイン誤差を除外した場合は、合計ゲイン誤差とDC誤差が1%を上回ると注意フラグが表示されます。Includeを選択した場合は、表示されたグラフと右側のゲイン・ブロックにゲイン誤差が含まれ、注意フラグは表示されません。

ゲイン
ゲイン・インジケータは、Ideal Gain(理論上のゲイン)かActual Gain(実際のゲイン)を示します。Ideal Gainは、ゲイン抵抗の値によって決まります。Actual Gainは、指定の入力周波数におけるアンプのゲイン抵抗、帰還率、オープン・ループ・ゲインの値によって決まります。

DC誤差
所定のラジオ・ボタンによって、結果のグラフに+/-DC誤差を含めたり(Including)除外したり(Excluding)することができます。DC誤差を除外した場合は、合計ゲイン誤差と+/-DC誤差が1%を上回ると注意フラグが表示されます。Includeを選択した場合は、表示されたグラフにDC誤差が含まれます。

出力電圧
グラフ電圧の値を読むために、デジタル電圧計(DVM)機能があります。DVMは、ボルト・ピークtoピーク V(P-P)、ボルトRMS V(RMS)、ボルトDC V(DC)のいずれかになります。

ログ・ボックス
右下の応答グラフの下にあるのがログ・ボックスです。検出した障害を警告(Alert)もしくは注意(Caution)の2つのレベルのエラーとして表示します。

警告(Alert)
警告は、選択したアンプを動作させてならない条件をフラグで示し、これについて説明します。ログ・ボックスに警告フラグが表示されると、ディスプレイ・グラフには何の応答も現れません。修正しない限り、ディスプレイに応答は表示されません。警告の原因となるのは、デバイスの絶対最大値を超過していたり、発振が生じる場合などです。警告の説明の後に、警告を解除するための推奨する措置が示されます。

注意(Caution)
注意は、選択したアンプがその代表的な性能範囲を逸脱して動作している場合にフラグで示し、これについて説明します。ログ・ボックスに注意フラグが表示されると、ディスプレイ・グラフには代表的な一次応答(パラメータ値から取得)が示されます。注意の原因となるのは、選択したアンプが使用可能な入力範囲、出力範囲、スルーレート、帯域幅を超えている場合などです。注意の説明の後に、注意を解除するための推奨する措置が示されます。