高精度ナビゲーション・システム
乗用車、トラクター、配達ロボット、無人機(UAV)などの自律マシンはすべて、地球上での自己位置や相対的位置を正確に把握し、どのような条件下でも安全で信頼性の高い動作を実現できるものでなければなりません。これは特に、内蔵の視覚センサー(探知装置、レーダー、カメラ)が気象条件や日光、スプーフィング攻撃による障害の影響を受けやすく、グローバル・ナビゲーション衛星システム(GNSS)または全地球測位システム(GPS)で生成されたジオロケーション信号が定期的に遮断される場合に問題となります。これらのセンサーの環境制限を克服するため、自動車の加速度や方向角度、相対的位置を個別に判断する高性能慣性測定ユニット(IMU)が使用されています。IMUは外部環境の代わりに重力および慣性の法則に基づき、自律高精度ナビゲーション・システムに一貫した相補的データ・ソースを提供します。
堅牢なレガシー製品…
アナログ・デバイセズの’ iSensor® IMU技術 は、過去10年間で急成長を遂げた自律マシン市場に初めて投入された技術であると共に、重要な役割を担っています。アナログ・デバイセズのIMUは、競合全社を組み合わせた数よりも多くのL4自動車・航空機に搭載されています。当社のポートフォリオは、タクティカル・グレードの安定性と超低ノイズにも対応し、最高で10自由度の製品も提供しています。いずれの製品も、工場出荷時にフル・キャリブレーションを実施済みで、組み込みセンサーの使用条件に最適化してあります。発売中のアビオニクス認定のIMU、自動車用途向け認証に向けた取り組みなど、当社は製品ポートフォリオの拡大に努めています。
…そして明るい未来
アナログ・デバイセズは自動車向け工業用IMUのポートフォリオを拡大しており、自動車用途向けの認証や詳細診断でタクティカル・グレードの性能を初めて実現しています。アナログ・デバイセズのiSensor IMUは、世界中で急成長を遂げている自律ロボットタクシー分野の試験で圧倒的な市場シェアを獲得しています。また当社では、自動運転技術や自動バレーパーキングといった機能を対象とした、部分的な自動化システム(一般にSAEレベル3と呼ばれます)向けのASIL認定小型IMUの開発に取り組んでいます。
多くのIMUサプライヤがバイアス安定度を1時間あたり1度未満に抑えられると主張していますが、実際のところ、実験室の数値をフィールドで実現できている事例はほとんどありません。IMUの安定度を示す一般的な基準である動作中のバイアス安定度は、常に静かな環境でIMUが静止している状態で測定されています。これと同じIMUをフィールドに展開した場合、でこぼこ道での振動など環境面の動的脅威により、バイアス安定度のような重要な仕様が大幅に低下することがあります。そこで優れた性能を発揮するのが、高精度ナビゲーション・システムです。
アナログ・デバイセズは実験台の上だけでなく、どのような条件下でも仕様を維持できる製品づくりに力を注いでいます。アナログ・デバイセズ製品と主要競合3社製品の比較を示した下の表をご覧ください。アナログ・デバイセズ製品に近いバイアス安定度[1]を提供するサプライヤも一部ありますが、振動[2]および交差軸[3]エラーが生じると、両社の性能差は10倍以上に広がってい ます。
仕様 | 説明 | アナログ・デバイセズ | A社 | B社 | C社 |
[1]動作中のバイアス安定度(dph) | 静かなラボ環境で評価されたIMUの安定度を示す値 | 1 | 1 | 5 | 10 |
[2]直線加速度(dps/g) | IMU振動性能 | 0.0001 | 0.1 | 0.05 | 0.1 |
[3]交差軸(dph) | 5度の傾斜下でのIMU交差軸性能 | 0.3 | 31.4 | 15.7 | 31.4 |
[4]実現可能なバイアス安定度(dph) | [2]および[3]を考慮した後のIMUバイアス安定度[1] | 1.04 | 31.4 | 16.5 | 33 |
[5]積算エラー(m) | 時速30マイルで移動する自動車の30秒後の自己位置検知エラー | 0.2 m | >5 m | >3 m | >5 m |
アナログ・デバイセズのIMUは安定性に優れているため、自動運転車はGPSまたは視覚センサーによる補正を求める前の1分間の自己位置を正確に追跡することができます。これにより、通信が遮断または停止した場合でも、現在の量産車に搭載されている従来のIMUに比べ、10倍長くレーンレベルの精度を維持することが可能となります。
オートモーティブ・アプリケーション
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ハンズフリーの自動運転技術
クルーズ・コントロールの最新版であるこのシステムは、レーン中央を走行し、前方車両との安全な距離を維持するための自動操作や速度調節を行います。
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自動バレーパーキング
空いているスペースに自動で駐車する機能です。更に高度なバージョンでは、運転手がいなくても駐車場内の空いているスペースを自動で検知します。
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自律航法
既知のスタート地点からの移動方向や距離を推測することで車の位置を算出する方法です。これはGNSS/GPS衛星信号が途切れた際に必要で、IMU方位を使用する必要があります。
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緊急停止
自動運転車がシステム内の故障を検知し、安全な動作を継続できない場合、IMUからの回転および加速度データに基づき車両を安全で管理された場所へ移動させます。
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GNSS/GPSの遮断
高層ビルやトンネル、陸橋、密集した森により衛星信号が途切れることで、GNSS/GPSが遮断されることがあります。こうした事態が発生した場合、自動車は検知機能やIMUセンサーに基づきナビゲーションを行います。
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検知障害
検知障害は内蔵カメラや探知装置、レーダーセンサーが雨雪や日光、泥砂の蓄積といった環境条件で悪影響を受けた場合に発生します。
アナログ・デバイセズのIMUは、幅広いGNSS/GPSシステムで使用されています。アナログ・デバイセズの革新的なIMU製品ポートフォリオの価値を理解するパートナー企業のSeptentrio社は、ADIS16505を導入しました。Septentrio社の製品は、マルチ周波数、マルチコンスタレーション・エンジンのほか、通信妨害やスプーフィング攻撃に対して優れた保護を提供する専用の信号処理ハードウェアとアルゴリズムなど、需要の高いGNSS機能を完備しています。先日、Septentrio社はこれらの機能にADIS16505を組み合わせ、UAVおよび自動運転アプリケーションに最適な小型のAsteRx-i D UAS評価用ボードを発売しました。
AsteRx-i D UAS
自律マシンレース:信頼性のあるナビゲーションと検知機能の実現
慣性計測ユニットや探知装置といったアナログ・デバイセズの最新センサー技術についてご覧ください。ショーブースからお届けするこのビデオでは、ナビゲーションや検知機能、インフラストラクチャのリアルタイム状態監視における重要な側面について紹介しています。
業界最低水準のSWaP+Cを採用したタクティカル・グレードの慣性計測ユニット(IMU)
MEMS慣性センシング技術の向上により、既存のソリューションの数分の一のサイズやコストでタクティカル・グレードの安定性を実現しました。
自律マシンのアプリケーションを可能にする高性能な慣性センシング・ソリューション
動くモノのインターネットIoMT(Internet of Moving Things)には効率向上を図る上で多くの課題がありますが、高性能な慣性センサーはそうした状況を変えることに貢献します。
180回の意思決定
平均的な運転手は毎分これだけの数の意思決定を行っています。これは1秒あたり3回意思決定を行っていることになり、私たちのほとんどがそのことを意識していないことを踏まえると、驚きの数であると言えます。
GNSS/INSの新しい基準設定
最先端の技術についてご紹介するこのウェビナーでは、INS初心者の方でも、ナビゲーション・システムの専門家の方でも、広範なGNSS/INS技術や最適な製品選びについて理解を深めることができます。
自律高精度ナビゲーション・システムのサプライヤとして業界最長の歴史を誇るアナログ・デバイセズは、これらのシステムが直面するダイナミクスや課題に関する包括的な知識を活用し、アプリケーション別のサポートを提供しています。また、アナログ・デバイセズは高性能IMUに視覚センサー(カメラ、レーダー、探知装置)を組み合わせ、遅延が少なく、更新頻度が高い、信頼性のある位置情報を提供する革新的な自動車向け高精度ナビゲーション・アーキテクチャを探求しています。
お使いのシステムのあらゆる条件下においてよりスピーディかつ安全な意思決定を下すために、当社のTrusted Motion UnitTMアーキテクチャがどのように役立つかの詳細については、最寄りのアナログ・デバイセズ販売代理店にお問い合わせください。このアーキテクチャおよびアナログ・デバイセズの最新技術の詳細については、Analog Garageをご覧ください。
オートモーティブおよびアビオニクス・セーフティ分野に精通したアナログ・デバイセズでは、自動システムの設計者向けにフル機能のDrive360™ポートフォリオを通じて広範な製品を提供しています。