未発表論文から

高精度電源リファレンス・レベ ル・シフト付きの高性能差電圧 アンプ(Difference Amp)

   Moshe Gerstenhaber/ Michael O’S ullivan共著 (コメントは英語でお願いいたします

高精度電源リファレンス・レベ ル・シフト付きの高性能差電圧 アンプ(Difference Amp)」をダウンロードする(pdf, 380KB)

ジオメトリィの小さなプロセスによって設計された高性能A/D コンバータ(ADC)は、一般に1.8 ~ 5Vの単電源で動作します。 このようなコンバータで±10V以上の信号を処理するときは、 ADCの前にアンプ回路を配置し、信号を減衰してADC入力の 飽和を防ぎます。信号に大きな同相電圧が含まれるときは、多く の場合差電圧アンプが使用されます。

差電圧アンプが同相電圧をどれだけ除去できるかは、ゲイン設定 抵抗の比のマッチングによって決まります。マッチングの度合い が高いほど、同相ノイズ除去比(CMR)が高くなります。0.1% 精度の抵抗を使用したディスクリート・アンプの場合、CMRは 計算上54dBまでです。それに比べて、オペアンプと高精度にレー ザー・トリムされた抵抗を内蔵したICでは、80dBを上回る高 いCMRを実現できます。

初期の差電圧アンプ は、ほかの多くのアナログICと同様、±5 ~±15V電源での動作が普通でした。ADCやその他の部品の電源 電圧が低くなり、時に両電源を必要とする回路はフロントエンドの差動アンプだけとなってしまいました。しかし、この単電源動作する回路の中にひとつだけ負電源を追加するのはかなり面倒でした。

新しい差電圧アンプは2.7 ~ 15Vの単電源で動作しますが、オ ペアンプの入出力は特定の動作条件下では負のレール(グラウン ド)に張り付いてしまいます。負の同相電圧を含む信号を測定す るには、同相入力電圧を負のレールより上げる必要があります。 負の信号を測定するには、アンプの出力を負の電源レールよりシ フトする必要があります。これらのレベル・シフトはいずれも、 正の電圧をリファレンス・ピンに印加することで可能です。たと えば、単電源5Vの場合、リファレンス・ピンに2.5VのDC電 圧を入力し、出力を電源中央値に設定し、オペアンプ入力の同相 電圧をシフトします。このDC電圧はソース・インピーダンスを 低くしてCMRの低下を防ぎ、ドリフトを抑えて全温度範囲で 精度を維持する必要があります。図1に、2個の外付け高精度抵 抗と低ドリフトの高精度オペアンプを使用した代表的なソリュー ションを示します。

図1.電源中央値出力を備えた単電源差電圧アンプ
図1. 電源中央値出力を備えた単電源差電圧アンプ

図2に示すのは、代わりのソリューションです。このソリューションは、複数の高精度トリム抵抗を内蔵した差電圧アンプAD8271を使用することでコストを低減し、性能を向上させます。オンチップ抵抗器がデバイスの出力を電源中央値に設定しま す。抵抗器はすべて同じ品質の低ドリフト薄膜抵抗材料で製造されており、全温度範囲で良好な抵抗の比のマッチングを示します。これらの抵抗は回路内のほかの抵抗ともマッチングするように調 整されているため、CMR性能が低下することはありません。

図2. AD8271は外部部品を使用せずに出力を電源中央
値にシフト
図2. AD8271は外部部品を使用せずに出力を電源中央 値にシフト

高精度プログラマブル・ゲイン差電圧アンプ


ゲインをプログラムできる低歪み差電圧アンプAD8271は、高 精度オペアンプと7個のレーザー・トリムされたゲイン設定抵抗 器を備えており、0.5、1、2の差動ゲインを選択できます。また、 −2 ~+3のゲイン範囲で40通り以上のシングルエンド構成に設 定することができます。このデバイスには2つのグレードがあり ます。Bグレードは、最大ゲイン誤差が0.02%、最大ゲイン・ドリフトが2ppm/℃、最大オフセットが600μV、同相ノイズ除 去比が80dBミニマムに仕様規定されています。Aグレードは、 最大ゲイン誤差が0.05%、最大ゲイン・ドリフトが10ppm/℃、 最大オフセットが1000μV、同相ノイズ除去比が74dBミニマ ムです。いずれのグレードも、高調波歪みは−110dB、帯域幅は 15MHz、スルーレートは30V/μsと規定されています。高速性 と高精度を兼ね備えたこのデバイスは計測用アンプとして、また ADCの駆動アンプ、レベル・シフト、自動試験装置に最適です。 AD8271は5 ~ 36Vの単電源と±2.5 ~±18Vの両電源で動作 し、電源電流は2.3 mAです。動作温度範囲は−40℃~+85℃で、 製品価格は1.25ドル(1000個単位)からです。

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