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設計者は、これらの仕様に基づいて、許容できる総合的な誤差見積りに適合するフロントエンドのアナログ部品を選択します。しかし、このようなアプリケーションでは、しばしば見過ごされる 外部信号からの高周波干渉による問題が発生します。一般に「電磁干渉(EMI)」と言われているものです。EMIの発生の仕方は、主に最終アプリケーションに左右されますが、さまざまです。たとえば、DCモーターに接続する制御ボードには計装アンプが使用されます。電源リード線、ブラシ、整流子、ワイヤ・コイルによって構成されるモーターの電流ループが高周波信号を発生するアンテナの働きをして、計装アンプ入力の小さい信号電圧と干渉することがあります。
もう1つの例は、自動車のソレノイド制御における電流検出です。ソレノイドへの電源は車両のバッテリから長いワイヤを使って供給しますが、これがアンテナの役割を果たします。このワイヤ経路の途中に直列シャント抵抗が接続され、その電圧が電流検出アンプによって測定されます。アンプの入力は、配線に存在する高周波の外部同相信号の影響を受けます。アナログ部品が高周波の外部干渉の影響を受けると、精度が低下し、ソレノイド回路を制御できなくなる場合もあります。このような状況では、アンプの出力精度が誤差見積りやデータシートの許容誤差を超えてしまい、場合によっては動作限界に達して制御ループのシャットダウンを招くことがあります。
EMI はどのように大きなDC偏差を発生させるのでしょうか?考えられるメカニズムをひとつ説明しましょう。多くの計装アンプは、最大数十キロヘルツの周波数で優れた同相ノイズ除去性能 を維持するように設計および仕様規定されています。シールドなしのアンプが数十または数百メガヘルツのRFフィールドにさらされた場合に、問題が発生します。アンプの入力段で非対称の整 流が行われ、生成されたDCオフセット成分がさらに増幅されて(アンプのゲインを考えてください)大きな出力となり、その出力は外部回路の一部を限界まで駆動することさえあります。

図1. ハイサイド電流モニタリング
類似した設計の2つの電流検出アンプを用いたこのような構成で、高周波干渉の影響を調べました。2つのデバイスの機能とピン配置は全く同じですが、片方のデバイスにだけ内部EMI フィ ルタ回路が組み込まれています。

図2. 内部EMIフィルタのない電流センサーの出力
(順方向電力=12dBm、100mV/DIV、ピークDC出力=3MHz)
図2は、入力が広範囲な周波数影響下にさらされたため、電流センサーのDC出力が理想値から逸脱して変動する様子を示しています。1 ~ 20MHz の周波数範囲で大きな偏差(>0.1V) が発生し、ピークDC誤差は3MHz で1Vです。つまり、アンプの0 ~ 5Vレンジのかなりの部分を占めることがわかります。
図3は、ピン互換の電流センサーを使用した同じ実験と構成による結果です。電流センサーの回路アーキテクチャは前と同じで、DC仕様も類似していますが、今度は内部に入力EMIフィルタが組み込まれています。なお、電圧スケールは20倍にしています。

図3. 内部EMIフィルタのある電流センサーの出力
(順方向電力=12dBm、5mV/DIV、ピークDC出力>100MHz)
この場合、誤差レベルは40MHz で約3mVであり、100MHz 超でのピーク誤差は30mV未満であるため、フィルタがない場合に比べて35倍以上の改善になります。このことから、内部EMI フィルタが電流センサーの入力に存在する高周波信号をシールドするのに大きく役に立っていることが明らかです。EMI のレベルが未知である現実のアプリケーションの場合でも、内部EMI フィルタ付きの電流センサーを使用すれば、制御ループはおそらくその許容誤差範囲内にとどまることが予想されます。
このテストは、両方のデバイスに対してまったく同じ条件下で行われました。唯一の違いは、AD8208(付録を参照)の方には入力端子と電源端子に内部ローパスRF入力フィルタが組み込まれていることです。チップにわずかな追加をしただけのように思われるかもしれませんが、アプリケーションは一般にPWM制御されるため、電流検出アンプは最大45Vまで絶えず切り替わる同相電圧に耐えなければなりません。したがって、高いゲインと同相ノイズ除去性能を高精度に維持するには、入力フィルタを最適化してマッチングする必要があります。
このような不確実性はコストがかかり、技術者にとっては悩みの種になります。そこで、自動車業界はEMI コンプライアンスを改善するために具体的な措置をとるようになりました。自動車 OEMの機器にはEMI 準拠が要求され、現在、アナログ・デバイセズなどの半導体メーカーに対しても部品使用の認可を得るためにコンポーネント・レベルのEMI テストが求められています。 現在、すべてのICメーカーが標準仕様に基づいてコンポーネントのEMI コンプライアンスをテストするように指示されているため、このプロセスはさらに普及しています。
さまざまな種類の集積回路の標準EMI テストの条件は、国際電気標準会議(IEC)1 から購入できます。IEC 62132 やIEC 61967 などの文書は、EMI とEMCについて学習する ための優れたツールであり、業界で認められた規格を用いて特定の集積回路をテストする方法が詳細に記述されています。上述のテストは、これらの規定されたガイドラインに従って実施 しました。
特に、これらのテストでは、コンデンサを介してRF信号を特定のコンポーネント・ピンに結合する方法として直接電力注入法(Direct Power Injection: DPI)を使用しました。デバイ スの各入力は、対象とするICのタイプに応じて、RF信号のパワー・レベルと周波数範囲を変えながらテストします。図4は、特定のピンにおいて直接電力注入テストをどのように実施する かを示す簡略図です。

図4. 直接電力注入法
これらの規格には、回路構成、レイアウト方法、デバイスの合否を判定するためのモニタリング(判定)技術について、詳細な情報が記載されています。図5は、IEC仕様に基づく、より包括的な回路図です。

図5. EMI感度特性テストの回路図

図A. AD8208差動アンプ
高度なシステム制御を実現するために堅牢で高精度な部品が要求される自動車用アプリケーション向けに認可されたAD8208は、優れたAC/DC性能を提供します。代表的なオフセット・ドリフトは5μV/℃未満、ゲイン・ドリフトは10ppm/℃未満です。AD8208は、SOICパッケージとMSOPパッケージを採用し、DCから10kHz まで80dBの最小CMRを実現します。 ローパス・フィルタ処理と20以外のゲイン設定の場合、外部からアクセスできる100kΩ抵抗を使用できます。
参考サイト
アナログ・デバイセズの全製品については、
www.analog.comをご覧ください
1 http://webstore.iec.ch
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