未発表論文から

電流センスとケルビン接続を有する電源ブースト回路

   Angel Caballero、Greg DiSanto著

自動試験装置(ATE)には、調整可能な低電流電圧源と固定の高電流電圧源が使用されています。調整可能な高電流電圧源が必要な場合は、電源を追加しなければなりません。

この記事では、高電流レールtoレール・オペアンプAD8397によって調整可能な電圧源の電流を最大±750mAまで上げる方法を説明します。バッファ処理を行った電圧は電源電圧やリファレンスに使用でき、ケルビン接続によって抵抗損がなくなります。この方法は正確な電圧を提供し、センス抵抗による電流測定が可能です。

図1. 電源ブースト回路として機能するAD8397

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図1は、被試験デバイス(DUT)の電源を生成する回路です。AD8397は、1倍のクローズド・ループ・ゲインに設定されており、電源電圧をバッファ処理してDUTに電力を供給します。アンプの負帰還とオープン・ループ・ゲインにより、反転入力が非反転入力と同じ電圧になります。バッファ処理された電圧がオペアンプのオフセット電圧を大幅に上回っていれば、誤差はすべて無視できる程度のものになります。DUTの負荷電流はAD8397が供給します。

電流センス抵抗R2が電流を変換して、計装アンプで容易に測定できる電圧にします。このセンシング技術により、それぞれの電流を個々に測定しながら、異なるブースト回路を使って1つの電圧を何回もバッファ処理することができます。R2の値はアンプのダイナミック動作に影響しませんが、ヘッドルームが制限される可能性があります。図2は、出力電圧が駆動する電流が上昇するにつれどのように変化するかを示しています。この例では、電源電圧は15V、R2は10Ω、所望のDUT電源電圧は6Vと9Vです。グラフは、6Vでは約650mA、9Vでは約500mAで回路が飽和することを示しています。

図2. 出力電流に対するDUT電源電圧とAD8397の出力電圧

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抵抗R2の値を小さくするとアンプのヘッドルームが増大しますが、抵抗を大きくすれば、バッファに損傷を与える可能性がある偶発的な電流オーバドライブに対して回路を保護できます。電流が増大すると、アンプの出力電圧は出力が飽和するかアンプが損傷するまで上昇し続けます。抵抗が大きくなると、それだけ出力の飽和が早くなり、消費電力が扱いやすいレベルに維持されます。AD8397は短時間で正常に駆動できる電流がわずか750mAであるため、通常動作時のアンプの消費電力も考慮する必要があります。

バッファ処理されたDUT電源電圧は、コンデンサC2でデカップリングされます。このコンデンサと抵抗R2は、不安定性の原因となる帰還ポールを形成しています。この問題を解決するには、システムのクローズド・ループ・ゲインを大きくして、位相マージンを増やし、ループを安定させる方法があります。ただし、バッファ処理できる電圧の振幅は出力振幅幅により制限されます。

R1とC1で構成される回路は、高周波のクローズド・ループ・ゲインを増大させますが、低周波のユニティ・ゲインを維持します。R2とR1の比により、システムの高周波クローズド・ループ・ゲインが規定されます。ゲインが大きくなるほど、システムの安定性は増します。コンデンサC1と抵抗R1により、ユニティ・ゲインから非ユニティ・ゲインへの遷移が発生する周波数が設定されます。このコーナーは、安定性を維持するためにアンプのクロスオーバ周波数より少なくとも1ディケード低いところに設定されます1。図1に示した値で、このブースト回路はユニティ・ゲイン安定を維持したまま最大10nFの負荷を駆動できます。

図1に示すように、反転入力(センス)とAD8397の出力(フォース)を別々にDUTに配線することによって、ケルビン接続ができます。アンプの出力は、帰還経路での高電流の流れによって生じる抵抗損を補償できるような電圧になります。センス・ラインの電流はごくわずかであるため、反転入力は非反転入力に追従します。この方法で、DUT電源ピンの電圧が所望の値に維持されます。

AD8397は電流をソース/シンクできるため、DUTに供給する負電源を生成することもできます。

図3. 中間電源リファレンスとして機能するAD8397

AD8397は、単電源DUT用の中間電源電圧リファレンスとしても使用できます(図3を参照)。ここでは、AD8397は、抵抗分割器に従って電源電圧の半分をバッファ処理します。アンプは、中間電源電圧を一定に保ったまま電流をソース/シンクできます。双方向電流を得るために、AD8397を単電源で使用することが大切です。中間電源電圧をデカップリングするには、前述の補償方法と同じやり方が必要となります。ケルビン接続や電流センス抵抗も実装することができます。

参考文献
1 Joe Buxton著、AN-257『Careful Design Tames High Speed Op Amps

 

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