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図1. Adept MobileRobots Seekurシステム

図2. 一般的なナビゲーション・システム
ナビゲーション・システム開発の主要なステップでは、まず、システム動作の目標や制約について重点を置いて各機能をよく理解する必要があります。一般に、各機能は明確に定義され、簡単に実行できるという側面を備えていますが、管理を必要とするような難しい制約もあります。場合によって、このプロセスは反復的なものとなりますが、制約を特定してそれに対処できれば、最適化のための新しい機会が生まれるでしょう。このプロセスを的確に説明するために具体例を示します。

図3. Adept MobileRobots Seekurナビゲーション・システム

図4. オドメトリの線形変位の関係式
各車輪における駆動アクセルとステアリング・シャフト・エンコーダの測定値は、アッカーマンステアリング式を使って順運動学演算で結合され、進行方向、回転角速度、位置、速度の測定値
が生成されます。
この測定システムの利点は、その検出機能が駆動/ステアリング制御システムと直接結合されるために、それらの状態を正確に知ることができるという点です。しかし、一連の実世界の座標を参照できなければ、車両の実際の速度や方向の正確さは限定されます。主な制約、あるいは誤差は、タイヤの形状の一貫性(図4のDの精度と変動)やタイヤと地表間の接触の断絶に起因します。形状は、トレッド(タイヤの接地面)の一貫性、空気圧、温度、重量すなわち、通常のロボット使用時に変化する可能性のあるすべての条件に左右されます。タイヤのスリップは回転半径、速度、および表面の一貫性に左右されます。

図5. レーザー・マッピング
アウトドア・アプリケーションの場合、Seekur は位置の測定に全地球測位システム(GPS)を使用します(図6)。GPSは、4機以上の衛星から送信される無線信号の移動時間を使って地球上 の位置を三角測量します。これらは1m以内の精度で情報を提供できます。しかし、同システムは、建物、木々、橋、トンネルなど、さまざまな物体によって妨害される視線条件によって制限さ れます。戸外の物体の位置や特徴がわかっている場合は(アーバン・キャニオン、つまりGPS衛星の電波の届かない都市内峡谷)、GPSが停止したときにレーダーとソナーを使って位置の推定を補足することもできます。その場合でも、車の通過や建設現場などの動的な条件/状態が存在すると、効果が薄れることがよくあります。

図6. GPS位置検出

この方法の重要な利点の一つは、ロボット・フレームに装着されているジャイロスコープがギア比、バックラッシュ、タイヤの形状、表面接触の完全性などに依存せずに車両の実際の動作を測定できるという点です。しかし、進行方向の推定値はセンサの精度に関わるバイアス誤差、ノイズ、安定性、および感度に依存します。固定のバイアス誤差は、バイアス誤差ωBEを含む以下の関係式に示すように、進行方向のドリフト率に変換されます。

バイアス誤差には、初期バイアス誤差、条件依存のバイアス誤差の2種類があります。Seekur システムは、無動作時に初期バイアス誤差を推定します。この場合は、ナビゲーション・コンピュータが位置変更コマンドの非実行時を認識して、データを収集してバイアスの推定とバイアス補正係数の更新を円滑に実行できるようにします。このプロセスの精度は、データを収集して誤差推定を公式化するために使用できる時間と、センサ・ノイズに依存します。アラン分散曲線は、図7に示すように、バイアス精度と平均化時間の便宜的な関係を示すことができます。この曲線は、Seekur システムで現在使用されているジャイロスコープiSensor®MEMSデバイス「ADIS16265」に関するものです。このジャイロスコープの場合、Seekurはバイアス誤差20秒間平均値を0.01°/秒未満にまで低減でき、約100秒間での平均化で推定値を最適化することができます。

図7. ADIS16265のアラン分散曲線
アラン分散4曲線からは、最適な積分時間(t =t2- t1)を直感的に理解することもできます。アラン分散の最小値は、一般にin-runバイアス安定性を示す値とみなされます。進行方向の推定値は、積分時間を設定することで最適化されます。この時間τ は、使用しているジャイロスコープのアラン分散曲線上の最小値に対応した積分時間となります。これらの値は性能に影響を及ぼすので、バイアス温度係数などの条件依存誤差で、バイアス補正の更新のためにロボットを停止する回数を決めることができます。校正済みセンサを使用すれば、温度や電源の変化など、最も一般的な誤差源に対応することができます。たとえば、ADIS16060から、事前校正されたADIS16265に変更すると、その分サイズ、価格、消費電力が増大する可能性がありますが、温度特性面では18倍もの優れた安定性が得られます。2℃の温度の変化に対して、最大バイアスはADIS16060の0.22°/秒からADIS16265では0.012°/秒にまで低減されます。
感度誤差は、次の関係式に示すように、進行方向の実際の変化に比例します。

民生用MEMSセンサの多くは感度誤差仕様が±5%~±20%以上となっているので、これらの誤差を最小限に抑えるために校正が必要となります。ADIS16265、ADIS16135などの事前校正されたMEMS5ジャイロスコープは±1%未満の仕様を提供しており、制御された環境下で性能はさらに高くなります。

図8. Seekur経路精度(MEMSジャイロスコープ・フィードバックを適用しない場合)

図9. Seekur経路精度(MEMSジャイロスコープ・フィードバックを適用した場合)
図8と図9の経路の軌跡を比較すると、精度の違いを簡単に確認できます。これらの実験では初期世代のMEMS技術を用いて行われており、約0.02°/秒の安定性を示したという点に注目することができます。現在のジャイロスコープは、同じ価格、サイズ、および消費電力レベルで2 ~ 4倍の性能を提供できます。こうした性能改善が続くことにより、ナビゲーションの性能が向上し、同じ経路を反復する精度は向上するでしょう。その結果、病院の検体/用具配送など、新しいアプリケーションや市場がさらに開けると考えられます。
補給コンボイ
現在の米国のDARPAの戦略は、戦力を倍増するためにロボット技術の向上を要求し続けています。補給コンボイ(船団や車列)は、この対象となるアプリケーションの一例です。軍隊は敵
の脅威にさらされながら、ゆっくりと予想可能なパターンで移動しなければなりません。Seekur のようなロボットは、正確なナビゲーションによって補給コンボイとして重責を担い、補給経路で人間が危険にさらされるリスクを低減することができます。一つの重要な性能指標は、GPS停止時の対応力です。そこで、MEMSジャイロスコープの進行方向フィードバックが特に役立ちます。最新のSeekurナビゲーション・システムはこの環境にも適合するように設計されており、MEMS慣性測定ユニット(IMU)6を使って精度を向上させ、将来の高集積化(地形管理などの機能領域)に対応できるようにしています。
このシステムがどの程度正確に位置を特定できるかをIMU使用時と未使用時とでテストするために、戸外の経路の誤差を記録し、分析しました。図10は、KalmanフィルタでオドメトリとIMU
を併用した場合の誤差とオドメトリのみを使用した場合の誤差(GPSに基づく真の経路を基準とする)を比較したものです。位置精度は、IMUを使用するとほぼ15倍向上しました。

図10. オドメトリ/IMUを使用した場合(緑)とオドメトリのみを使用した場合(青)のSeekur位置誤差
*1817年にルドルフ・アッカーマンが特許を取得
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