アナログ・デバイセズのデジタル・アイソレータについて
高木秀樹 著

電波新聞ハイテクノロジー 2008年10月17日 掲載



  1. フォトカプラの置き換えに最適なデジタル・アイソレータ
  2. 安全性能


フォトカプラの置き換えに最適なデジタル・アイソレータ


アナログ・デバイゼズでは、2002年ごろからフォトカプラに置き換わる絶縁機能を備えたデジタル信号伝送イ ンターフェース(デジタル・アイソレータ)素子として、「iCoupler®」製品を出荷してきた。この製品は、絶縁 体に高い絶縁性能と対環境に対して安定した性能を持つポリイミドを用いて、1次側と2次側を電気的に 分離絶縁し、デジタル信号のみ共に向かい合ったマイクロコイルによる磁気結合により情報の伝達を行う技 術を使用している。この技術の主な特長は、LEDのような使用条件による経年変化や温度による寿命の影 響がある素子を使用していないため製品寿命が長いこと、温度により影響を受ける部分がないために性能が 温度に影響を受けないこと、信号の転送速度のさらなる高速化が可能で同時に複数のチャンネル間で信号 遅延のばらつきを小さく調整できること、消費電力が大幅に低いことなどである。またすべての部材を半導体 製造工程で作ることができるので、信頼性が通常の半導体と同等である。入出力レベルもCMOS/TTL互 換のため、電源間の小さなバイパスコンデンサ2個以外には、基本的に外部部品は必要ない。これらはどれ もフォトカプラが抱える従来の課題を解決できる。 iCouplerの内部構造を図1に示す。入力側(1次側 )と出力側(2次側)の分離された2つのダイ(Dei)で構成されており、信号の伝達は絶縁体を挟んで向か い合ったマイクロコイルにより行われる。信号のエッジとロジックレベルを共に検出して2次側に伝送する独自の データ通信方法を使用しており、長時間論理の変化しない直流的なロジック信号(LまたはHのレベルステイ ト)から150Mbpsまでのロジック信号をエラーなく伝送できる。



図1. iCoupler内部構造

安全性能

絶縁性能にかかわる重要な部分である絶縁体は、必要とされる絶縁電圧に十分余裕を持った材料と厚さ を検討し選ばれている。さらにiCoupler部品単体で 絶縁層間の高電圧を印加した加速度試験により、連続印加電圧に対する絶縁劣化の性能すなわち部品 の寿命を検討しており、たとえばADuM1400は、400Vrms (565Vp-p)連続印加を最低50年の期 間保証している。このような長寿命性能は、平均的な機器の寿命を超えているので、連続使用する電圧範 囲を超えない限り寿命は実用上問題とならないと言える。また各国の安全規格に基礎絶縁、強化絶縁とも に認証が取れている。アナログ・デバイゼズのiCoupler製品の安全認証取得状況を図2に示す。



図2. iCouplerの安全認証 取得状況

iCoupler技術は磁気的結合により絶縁間の通信が 可能な技術であるために、外部から受ける磁気によって、たとえば強磁界の中にさらされる機器や大型の誘 導型モータなど、その通信が妨げられる可能性が考えられる。これに対しても十分な検討が行われており、た とえばコイルをできる限り小さく作りこみ(マイクロコイル)、実用的な磁気変化に影響を受けないようにし、また マイクロコイルの設置間隔を可能な限り近づけお互いの磁気結合を密にして外部からの影響を最小にするな どの工夫によって、外部磁気からの影響を最小としている。この効果を示す図3は、外部から受ける磁界を( より実用的な)電流値に変換した値と、その電流周波数値によってiCouplerが影響を受け誤動作を引き起こす可能性のある閾値 を示す。例えば電流線とiCouplerデバイス間の距離 が5mmのケース(デバイスの真下を電流パターンが通過しているような場合)で、その周波数が100kHzで変 化している場合、その電流線には約5000A以上の電流が流れない限りiCouplerはデータエラーを生じないことを示している。またこの値 は入手できる測定機器の限界まで実測され検証されている。たとえこれを超える超大電流がある場合でも、 部品配置を変更するなど距離を置く対策を取れば閾値を簡単に拡大でき問題を解決できる。これらの理由 によってiCouplerが実用上外部磁界からの影響を考 慮する必要がないことがわかる。



図3. 最大電流値と磁界周波数の関係

このような高い完成度と安全性を兼ね備え、最も早くフォトカプラからの新しい代替を提案し供給してき たアナログ・デバイセズでは図4に示すようなiCoupler テクノロジを活用した数々の応用製品を提供している。



図4. iCoupler 製品ライ ンナップ

この中で特長的な製品として、isoPowerと呼ばれる絶縁型電源ソリューション(ADuM5xxxファミリー) をご紹介したい。これはコイルによる磁気結合によって電力を絶縁側に供給できるというiCoupler独自の応用といえる。これまでは組み込み型の電源 部分は、複数のディスクリート部品またはDC/DCコンバータモジュールによって構成され基板面積や設計に 多くの時間を割かれていた。ここにisoPower製品を使 えば実装基板面積を大幅に削減でき、部品点数の削減によるコスト削減とトータルでの信頼性の向上が望 める。またisoPowerは部品単体で絶縁安全規格の 認証を取得しているためセットでの安全認証作業の効率向上も望めるだろう。

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