珍問/難問集

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James Bryant ,

ガラス・ダイオードが光を見出し、ハミングするかも

Q: 数ヵ月前の記事で、スイッチング電源に付随する内部高周波(HF)ノイズが影響を受けやすいアナログ回路の中に入り込み、回路を台無しにするのをどのように防ぐか説明されていましたね。私のオペアンプ出力もハミングし、いくら電源フィルタ処理をしても収まりません。どうすればよいのでしょうか? 

 

raq_issue45なぞなぞを学んだばかりの小さい子供たちなら、こう答えるでしょう。ミツバチがブンブンいうのはなぜか、それは言葉を知らないからだと。しかし、一般にオペアンプは別の理由でブンブンいうのです。

電子回路がハミングする理由として昔からいわれているのは、DC電源上のライン周波数(あるいは、ダブル・ライン周波数といったほうがよいかもしれません)のリップルでした。これに対処するには、電源デカップリング・コンデンサを大きくするか、あるいはもっと良い方法として電子電圧安定化回路を使用します。電子電圧安定化回路には、低周波(LF)リップルを減衰させる副作用もあります。前にも述べましたが、今日のスイッチング電源は大量のHFノイズを発生しますが、このノイズを電源に閉じ込めて逃がさないようにする必要があります。LFノイズの問題はめったにないため、おそらく今回は電源が原因ではないでしょう。これを確認するには、オシロスコープかスペクトル・アナライザを使って電源のLFノイズを計測してみてください。

ハミングするもう1つの原因は、ライン電流/電圧が信号回路に近すぎるために生じる、信号ラインまたはグランド(恐ろしい「アース・ループ」)内のライン周波数電流です。この場合も考えられる対策は以前の「ノイズの監禁」のRAQでご説明したとおりですが、これはHFだけでなくLFでもうまくいきます。HFノイズ・リダクションに成功したら、おそらく電源関連のLFノイズについても大部分の原因を処理できたことになるはずです。これをテストするには、回路をバッテリで動作させ(必要なら、単純なリニアICレギュレータで電圧を安定させます)、スイッチング電源に抵抗性負荷を付けてオペアンプの場合と同じ電力消費をシミュレーションします。スイッチング電源をオン/オフしてノイズを調べてください。

それでもハミングがある場合は、オペアンプにハミングが入り込むメカニズムを調べる必要があります。驚くほどよく見られるのは、入力保護ダイオードからの光電流によるものです。ガラス・パッケージのシリコン・ダイオードはフォトセルのような働きをします。このシリコン・ダイオードが照明の変調光を受けると、そのリーク電流が光によって変調します。その変調が電力回線で動作する蛍光灯からの120Hz(国によっては100Hz)である場合、ダイオードが組み込まれた回路がハミングします。この効果はダイオード・メーカーによって特性化されておらず、同一のデバイスでも個々に大きく異なることがあります。ガラス・ダイオードではなくプラスチック・パッケージのダイオードを使用すれば、この問題は解決します。

1 ハミングするもう1つの理由は、次の話の中に示唆されています。ある人がバーに入ると、ピアニストがリクエスト曲を演奏していて、小さな猿がトルコ帽を持ってチップを集めていました。その人が演奏を聞いていると、猿が彼のビールを飲んでしまいました。彼はピアニストの肩をぽんと叩いてこう言いました。「あんたの猿が俺のビールを飲んだって知っているか?」すると、ピアニストは答えました。「知らないね。だけど、ハミングしてくれたらその曲を演奏できると思うよ。」
2 RAQ『そのノイズを捕まえろ‐逃がすな』を参照してください。



 

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James Bryantは、1982 年から2009 年までアナログ・デバイセズの欧州地区アプリケー ション・マネージャを担当し、つねに面白いプロジェクトを探求しています。 リーズ大学で物理学と哲学の学位を取得し、さらにC.Eng.、Eur.Eng.、MIEE、FBISの資格があります。エンジニアリングに情熱を傾けるかたわら、アマチュア無線家でもあり、コールサインG4CLFを持っています。