概要
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マーケット & テクノロジー
使用されている製品
回路機能とその特長
図1に示すアナログ・フロントエンド回路は、この種の工業用レベル信号を処理するときに高精度と高い同相ノイズ除去比(CMRR)を実現するように最適化されています。 信号は、回路によってレベル・シフトされ、減衰するため、250 kSPSの高性能な16ビットPulSAR® ADコンバータ AD7685など、最新の単電源SAR ADCの入力レンジ条件に適合します。
18 V p-pの入力信号に対して、この回路は、100 Hzで約105 dBの同相ノイズ除去(CMR)、5 kHzで80 dBのCMRを実現します。
AD8226 計装アンプによって、高精度、高入力インピーダンス、高CMRが実現します。高精度アプリケーションの場合、システム・ゲイン誤差を最小限に抑えて良好なCMRを実現するため、高入力インピーダンスが要求されます。AD8226のゲインは、1~1000まで抵抗でプログラム出来ます。
入力上に抵抗レベル・シフタ/アッテネータ段を直接置けば、抵抗間の不整合によってCMR性能が必然的に低下します。AD8226は、小信号と大信号の入力に要求される優れたCMRを提供します。AD8275レベル・シフタ/アッテネータ/ドライバは、外付け部品を必要とすることなく、回路において減衰およびレベル・シフト機能を実行します。
これまで、高分解能の計測システムではシグマ・デルタADCが使用されてきました。その理由は、信号帯域幅がきわめて低く、ΣΔアーキテクチャは低い更新レートで優れたノイズ性能を提供するからです。しかし、特にマルチチャンネル・システムでは、チャンネル当たりの更新を高速化するために高い更新レートや、チャンネル密度の増加が求められる傾向にあります。このような場合、高性能のSAR ADCが優れた選択肢となります。図1に示す回路は、250 kSPSの16ビットADC AD7685を使用し、高性能の計装アンプAD8226と、アッテネータ/レベル・シフタ・アンプAD8275によって、外付け部品を必要としない全機能内蔵型のシステム・ソリューションを実現しています。
回路説明
ADP1720を使用して、AD8275とAD7685に5 V電源を提供します。ADP1720を選択したのは、高い入力電圧範囲(最大28 V)のためです。この回路では、ADP1720はAD8275とAD7685に約4 mAを供給するために使用するだけであるため、28 V入力を持つレギュレータの最悪時消費電力は約90 mWです。このため、システム全体を±15 Vの外部電源で駆動することができます。
システム・レベルの同相ノイズ除去性能
最初のテストは、ADCまでのシステム・レベルにおいてAD8226の同相ノイズ除去性能を検証することでした。18 V p-pの入力信号で、10 Hz、100 Hz、500 Hz、1 kHz、2 kHz、3 kHz、4 kHz、5 kHzの入力テスト・トーンを使用しました。表1にテスト結果の要約を示します。テスト1では、AIN+信号とAIN-信号を一緒に短絡させてACテスト・トーンに接続し、結果はFFTで測定しました。AD8226は、その入力が一緒に接続されているため、AC信号を除去しなければなりません。テスト2では、信号をAIN+に印加し、AIN-をグラウンドに接続します。このような条件下で、FFTでトーンのレベルを測定します。テスト1とテスト2とのFFT結果の差から、同相ノイズ除去を計算します。表1は、さまざまな周波数で得られたCMR値をまとめたものです。重要な点は、AD8226のCMRは5 kHzで80 dBと規定されているため、システム・レベルではCMR性能の損失は認められないことです。
システム・レベルのAC性能
AD7685を250 kSPSのサンプリング・レートで動作させて、システムのAC精度もシステム・レベルでテストしました。図2は、10 kHzでの5 V p-p入力に対するFFTテストの結果を示します。プロットに示した結果は、次のとおりです。
- SNR = 87.13 dBFS
- SINAD = 85.95 dBFS
- SFDR = 81.82 dBc
- THD = −78.02 dBc
表1. 18 V p-p入力に対する回路のCMR性能


図2. 250 kSPSのサンプリング・レートでフルスケールを14 dB下回る10 kHzの入力信号に対するFFTの結果
この回路や任意の高速回路の性能は、PCボードの適切なレイアウトに大きく依存します。これには、電源のバイパス、制御インピーダンス・ライン(必要な場合)、部品配置、信号ルーティング、電源/グラウンド・プレーンが含まれますが、これだけに限定されるものではありません。(PCボードのレイアウトの詳細についてはMT-031 チュートリアル、 MT-101 チュートリアルおよびAnalog Dialogue Vol.39「高速プリント回路基板」を参照。)
この回路ノートのための完全な設計支援パッケージについては、
http://www.analog.com/CN0213-DesignSupportをご覧ください。
バリエーション回路
回路の評価とテスト
テスト・データの収集に使用した機器
- USBポート付きのPC、およびWindows® XP、Windows Vista®(32ビット)、またはWindows® 7(32ビット)
- 回路評価用ボード(EVAL-A-INPUT-1AZ)
- SDP-A評価用ボード(EVAL-SDP-CB1Z)
- 評価用ソフトウェア
- 電源:+5 V @ 200 mA
- 電源:±15 V、Agilent E3630Aまたは同等品
- 信号発生器:Agilent 33120Aまたは同等品

図3. テスト・セットアップの機能ブロック図

図4. SDPボードに接続した評価用ボード(EVAL-A-INPUT-1AZ)の写真
セットアップとテスト
評価用ソフトウェアをPCのCDドライブにロードします。
EVAL-A-INPUT-1AZ回路ボードの120ピン・コネクタを、EVAL-SDP-CB1Z評価用(SDP)ボードの「CON B」と記されたコネクタに接続します。120ピン・コネクタの末端にある穴を利用し、ナイロン製ハードウェアを使用して2枚のボードをしっかり固定します。信号源はEVAL-A-INPUT-1AZボードのJ1入力(AIN+)端子に接続します。通常のFFTテストを実行するときは、J3端子(IN-)とグラウンドの間にJP1ジャンパを接続し、CMRテストを実行するときは、J1(AIN+)とJ3(AIN-)の間にジャンパを接続します。
電源をオフにして、SDPボードに+5 V電源を接続します。USBケーブルにより、SDPボードとPCのUSBポートを接続しました。
その後、EVAL-A-INPUT-1AZ回路ボードに±15 V電源を接続します。評価用ソフトウェアを起動し、USBケーブルによってSDPボードのUSBミニ・コネクタとPCを接続します。
USB通信が確立された後、SDPボードを使用してEVAL-A-INPUT-1AZボードからのシリアル・データの送信、受信、取り込みを行います。
製品サンプル
製品 |
概要 |
サンプル提供可能な
|
AD7685 | PulSAR® A/Dコンバータ、16ビット、250kSPS、MSOP / QFNパッケージ |
AD7685ACPZRL7 AD7685ARMZ AD7685BCPZRL7 AD7685BRMZ AD7685CCPZRL7 AD7685CRMZ |
AD8226 | 計装アンプ、広い電源範囲、レールtoレール出力 |
AD8226ARMZ AD8226ARZ |
AD8275 | ADCドライバ、16ビット対応、ゲイン=0.2、レベル変換 |
AD8275ARMZ AD8275BRMZ |
ADP1720 | リニア・レギュレータ、50mA、高電圧、マイクロパワー |
ADP1720ARMZ-3.3-R7 ADP1720ARMZ-5-R7 ADP1720ARMZ-R7 ADP1720TRMZ-EP ADP1720TRMZ3.3-EP ADP1720TRMZ5-EP |
ADR439 | Ultralow Noise XFET® 4.5V Voltage Reference w/Current Sink and Source Capability |