CN0213: 高速、高 CMRR、高精度でプロセス制御に対応した全機能内蔵型のアナログ・フロントエンド

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回路の説明

回路集(PDF版), 06/2012 (pdf, 288 kB)
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使用されている製品
    アプリケーション: 
  • プロセス・コントロール&産業用オートメーション
  • PLC/DCS
  • フィードバック&センシング

回路機能とその利点

工業用プロセス制御システムの信号レベルは、一般に次のいずれかのカテゴリに分類されます:シングルエンド電流(4~20 mA)、シングルエンド、差動電圧(0~5 V、0~10 V、±5 V、±10 V)、または熱電対やロードセルなどのセンサーからの小信号入力。特に小信号差動入力の場合は、大きな同相電圧振幅も一般的であるため、アナログ信号処理システムでは、優れた同相ノイズ除去性能が重要な仕様です。

図1に示すアナログ・フロントエンド回路は、この種の工業用レベル信号を処理するときに高精度と高い同相ノイズ除去比(CMRR)を実現するように最適化されています。

図1. プロセス制御向けの高性能アナログ・フロントエンド(簡略回路図:すべての接続とデカップリングが図示されているわけではありません)

信号は、回路によってレベル・シフトされ、減衰するため、250 kSPSの高性能な16ビットPulSAR® ADコンバータ AD7685など、最新の単電源SAR ADCの入力レンジ条件に適合します。

18 V p-pの入力信号に対して、この回路は、100 Hzで約105 dBの同相ノイズ除去(CMR)、5 kHzで80 dBのCMRを実現します。

AD8226 計装アンプによって、高精度、高入力インピーダンス、高CMRが実現します。高精度アプリケーションの場合、システム・ゲイン誤差を最小限に抑えて良好なCMRを実現するため、高入力インピーダンスが要求されます。AD8226のゲインは、1~1000まで抵抗でプログラム出来ます。

入力上に抵抗レベル・シフタ/アッテネータ段を直接置けば、抵抗間の不整合によってCMR性能が必然的に低下します。AD8226は、小信号と大信号の入力に要求される優れたCMRを提供します。AD8275レベル・シフタ/アッテネータ/ドライバは、外付け部品を必要とすることなく、回路において減衰およびレベル・シフト機能を実行します。

これまで、高分解能の計測システムではシグマ・デルタADCが使用されてきました。その理由は、信号帯域幅がきわめて低く、ΣΔアーキテクチャは低い更新レートで優れたノイズ性能を提供するからです。しかし、特にマルチチャンネル・システムでは、チャンネル当たりの更新を高速化するために高い更新レートや、チャンネル密度の増加が求められる傾向にあります。このような場合、高性能のSAR ADCが優れた選択肢となります。図1に示す回路は、250 kSPSの16ビットADC AD7685を使用し、高性能の計装アンプAD8226と、アッテネータ/レベル・シフタ・アンプAD8275によって、外付け部品を必要としない全機能内蔵型のシステム・ソリューションを実現しています。

回路の説明

この回路では、レールtoレール出力の計装アンプAD8226をG=0.2のディファレンス・アンプAD8275の正側入力に接続し、その出力をMSOP/QFNパッケージを採用した250 kSPSの16ビットPulSAR ADC AD7685の入力に接続しています。AD8226はゲイン1のモード(高電圧/電流入力)に設定され、その出力はグラウンドを基準とします。シングルエンド入力または差動入力で使用できます。AD8226の出力はバイポーラ信号であり、AD8275の入力を駆動します。AD8275は、バイポーラ入力を減衰させてレベル・シフトさせ、0.2のゲインを提供します。したがって、入力に20 V p-pの差動入力を加えると、出力に4 V p-pのシングルエンド・レンジが得られます。AD8275に内部同相バイアス電圧を提供し(VREF/2=2.25V)、AD7685 ADCに外部リファレンス電圧を提供するため、高精度の4.5 VリファレンスADR439を使用します。このような条件下で、AD8275の出力は+0.25 Vから+4.25 Vまでスイングしますが、これはAD7685のレンジ(0 Vから+4.5 V)内に収まります。

ADP1720を使用して、AD8275とAD7685に5 V電源を提供します。ADP1720を選択したのは、高い入力電圧範囲(最大28 V)のためです。この回路では、ADP1720はAD8275とAD7685に約4 mAを供給するために使用するだけであるため、28 V入力を持つレギュレータの最悪時消費電力は約90 mWです。このため、システム全体を±15 Vの外部電源で駆動することができます。

システム・レベルの同相ノイズ除去性能
最初のテストは、ADCまでのシステム・レベルにおいてAD8226の同相ノイズ除去性能を検証することでした。18 V p-pの入力信号で、10 Hz、100 Hz、500 Hz、1 kHz、2 kHz、3 kHz、4 kHz、5 kHzの入力テスト・トーンを使用しました。表1にテスト結果の要約を示します。テスト1では、AIN+信号とAIN-信号を一緒に短絡させてACテスト・トーンに接続し、結果はFFTで測定しました。AD8226は、その入力が一緒に接続されているため、AC信号を除去しなければなりません。テスト2では、信号をAIN+に印加し、AIN-をグラウンドに接続します。このような条件下で、FFTでトーンのレベルを測定します。テスト1とテスト2とのFFT結果の差から、同相ノイズ除去を計算します。表1は、さまざまな周波数で得られたCMR値をまとめたものです。重要な点は、AD8226のCMRは5 kHzで80 dBと規定されているため、システム・レベルではCMR性能の損失は認められないことです。

システム・レベルのAC性能
AD7685を250 kSPSのサンプリング・レートで動作させて、システムのAC精度もシステム・レベルでテストしました。図2は、10 kHzでの5 V p-p入力に対するFFTテストの結果を示します。プロットに示した結果は、次のとおりです。

  • SNR = 87.13 dBFS
  • SINAD = 85.95 dBFS
  • SFDR = 81.82 dBc
  • THD = −78.02 dBc



表1. 18 V p-p入力に対する回路のCMR性能
Overvoltage and Undervoltage Thresholds for Output Voltage Rails

図2. 250 kSPSのサンプリング・レートでフルスケールを14 dB下回る10 kHzの入力信号に対するFFTの結果

この回路や任意の高速回路の性能は、PCボードの適切なレイアウトに大きく依存します。これには、電源のバイパス、制御インピーダンス・ライン(必要な場合)、部品配置、信号ルーティング、電源/グラウンド・プレーンが含まれますが、これだけに限定されるものではありません。(PCボードのレイアウトの詳細についてはMT-031 チュートリアルMT-101 チュートリアルおよびAnalog Dialogue Vol.39「高速プリント回路基板」を参照。)

この回路ノートのための完全な設計支援パッケージについては、 http://www.analog.com/CN0213-DesignSupportをご覧ください。

バリエーション回路

この回路は、図に示された部品の値を使うことで、優れた安定性と高精度を提供します。さらに高い速度/分解能または高い性能を実現するため、AD7685の代わりに別のアナログ・デバイセズ製A/Dコンバータを使用することもできます。AD7688は、さらに優れたCMRを実現するために真の差動入力を提供します。AD7982は、18ビットADCであり、最大1 MSPSの速度で高い分解能を提供し、完全差動でもあります。AD8475ファンネル・アンプは、高電圧のバイポーラ入力も受け入れ、差動出力で減衰とレベル・シフトを実現できるため、差動入力付きのADCを使用する工業用アプリケーションに最適です(回路ノートCN-0180を参照)。

回路評価とテスト

この回路は、システム・デモ用プラットフォーム(SDP)を使用してテストしました。SDPプラットフォームには、必要なADCドライバに加えて、PCへのUSB接続機能も含まれています。ADCからのサンプリング・データは、SDPボードを使用して、USBを介してPCに送信されます。FFTプロットは、アナログ・デバイセズから入手できる標準のADC LabVIEW評価用ソフトウェア・ツールを使用して生成しました。図3は、テスト・セットアップの機能ブロック図を示しています。図4は、ボードの写真です。

テスト・データの収集に使用した機器

  • USBポート付きのPC、およびWindows® XP、Windows Vista®(32ビット)、またはWindows® 7(32ビット)
  • 回路評価用ボード(EVAL-A-INPUT-1AZ)
  • SDP-A評価用ボード(EVAL-SDP-CB1Z)
  • 評価用ソフトウェア
  • 電源:+5 V @ 200 mA
  • 電源:±15 V、Agilent E3630Aまたは同等品
  • 信号発生器:Agilent 33120Aまたは同等品

図3. テスト・セットアップの機能ブロック図
図4. SDPボードに接続した評価用ボード(EVAL-A-INPUT-1AZ)の写真

セットアップとテスト
評価用ソフトウェアをPCのCDドライブにロードします。

EVAL-A-INPUT-1AZ回路ボードの120ピン・コネクタを、EVAL-SDP-CB1Z評価用(SDP)ボードの「CON B」と記されたコネクタに接続します。120ピン・コネクタの末端にある穴を利用し、ナイロン製ハードウェアを使用して2枚のボードをしっかり固定します。信号源はEVAL-A-INPUT-1AZボードのJ1入力(AIN+)端子に接続します。通常のFFTテストを実行するときは、J3端子(IN-)とグラウンドの間にJP1ジャンパを接続し、CMRテストを実行するときは、J1(AIN+)とJ3(AIN-)の間にジャンパを接続します。

電源をオフにして、SDPボードに+5 V電源を接続します。USBケーブルにより、SDPボードとPCのUSBポートを接続しました。

その後、EVAL-A-INPUT-1AZ回路ボードに±15 V電源を接続します。評価用ソフトウェアを起動し、USBケーブルによってSDPボードのUSBミニ・コネクタとPCを接続します。

USB通信が確立された後、SDPボードを使用してEVAL-A-INPUT-1AZボードからのシリアル・データの送信、受信、取り込みを行います。

この回路に使用されている製品&サンプル:

製品 概要 サンプルが入手可能な製品
AD7685 PulSAR® A/Dコンバータ、16ビット、250kSPS、MSOP / QFNパッケージ AD7685CCPZRL7 AD7685BRMZ AD7685BCPZRL7 AD7685CRMZ AD7685ARMZ AD7685ACPZRL7
AD8226 計装アンプ、広い電源範囲、レールtoレール出力 AD8226ARZ AD8226ARMZ
AD8275 ADCドライバ、16ビット対応、ゲイン=0.2、レベル変換 AD8275ARMZ AD8275BRMZ
ADP1720 リニア・レギュレータ、50mA、高電圧、マイクロパワー ADP1720ARMZ-3.3-R7 ADP1720ARMZ-5-R7 ADP1720ARMZ-R7
ADR439 電圧リファレンス、出力電圧4.5V、超低ノイズ、XFET®、電流シンク / ソース機能付き

To obtain samples of this part, please contact ADI

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