CN0130: 0V~25Vの出力範囲を備えた、ATE用、集積化デバイス・パワー・サプライ(DPS)回路

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回路機能とその利点

過去においては、DPS(デバイス・パワー・サプライ)は、アンプ、スイッチ、DAC、抵抗器その他のディスクリートによって設計されていました。 今やシリコン・プロセスと縮小されたシリコンは、非常な高集積化を可能としていますが、1つのシリコン上に全てを配置することは、ほとんどまれと言えます。たとえ非常に高い集積化レベルといえども、 AD5560DPSは、完全なシステム・ソリューションを提供するには、若干の選りすぐられた外付け部品を必要とします。この回路のゴールは、何が必要で、何故それが選ばれるのか、についての詳細を記述しており、より完全なデバイス・パワー・サプライ・ソリューションを提供します。

この製品は主に、テスト対象デバイス(DUT)をドライブする電源として、自動テスト装置(ATE)産業で使われます、DPSには沢山の異なる要求、電圧、電流の仕様(ドライブするDUTのタイプに依存した)、および安定性、精度、その他などの他のファクタがあります。

デバイス・パワー・サプライとして、AD5560が、DUTにタイムリな方法で、必要な電圧と電流を供給できることが、最も重要な事といえます。

AD5560は、|AVDD − AVSS| ≤ 33 Vの最大許容電圧によって制限される、-22V~+25Vの範囲の何処にでも配置可能な、25Vのピークtoピーク電圧スパンを実現できるように設計されています。

さらにAD5560が供給できる電流範囲は、±1.2Aもの高い電流が可能です。パッケージの消費電力制限によるため、高い出力電圧時での1.2Aは実用できないことに注意してください。

1.2Aの能力は、主に約3.5Vを超えないような低い電圧レールを供給する場合に限ります。 したがって、電圧/電流の必要性を省みるには、多くのファクタ、ヘッドルーム、フットルーム、最悪時の消費電力、電源レール、熱性能など、を考慮する必要があります。

この回路は、以下の3通りのDUTレールを供給するように設計されています:

0 V to 25 V @ 5 μA to 25 mA
0 V to 7 V @ 500 mA
0 V to 3 V @ 1.2 A

回路での部品の選択と構成は、上記組み合わせの仕様に適合させています。

その他条件での使用、または、この製品自身の詳細については、AD5560のデータシートを参照してください。

回路説明

AD5560は電圧供給とDUTで必要な計測機能をカバーしていますが、回路のリセットを完成させるためには、若干のその他部品が必要となります:。リファレンス電圧、計測結果をデジタル化するためのADC、内部検出ダイオードの温度計測用の熱モニタなどが必要です、これによってダイ、またはそれに代わって、PCボードでの温度勾配を見ることが出来ます。

ADCは、計測出力をデジタル化するために使われます。計測出力(MEASOUTピン)は、電圧リファレンスとOFFSET DACが何処に設定されているかに依存して、異なる出力範囲で供給することが出来ます。

OFFSET DACは、異なる出力範囲を実現するために、フォース電圧出力範囲のオフセットとして使われます。ここで我々が想定している出力範囲は0V~25Vです。 結果として、ディフォルトのMEASOUT出力電圧(MEASOUT ゲイン=1)もまた0V~25Vとなります。 これを直接取り扱うことの出来る入力範囲を持ったADCはありませんので、バイポーラまたはユニポーラの入力を持ったADCの範囲にマッチさせるための、いくつかの外部信号処理が必要となります。

代位案として、MEASOUT(MEASOUT ゲイン=0.2)設定にすると、スケールとオフセットを持つMEASOUT出力範囲は0V~5.125V(ここでは、キャリブレーション、その他のため、若干のオーバーレンジが含まれています)となります。

図1. ATE向けデバイス・パワー・サプライ(DPS)回路(簡易回路:デカップリングおよび全ての接続は示されていません。)

ここの例では、0V~5.125Vの範囲を使っていますので、ユニポーラ入力のADCを使うことが容易となっています。

このアプリケーションでは16ビット、250kSPSのADC AD7685が使われていますが、それはMEASOUT経路の0V~5 V出力範囲を扱うことが出来るためです。これに付け加えて、同じピン・アウトを持ったより高速の他のADC(例えば16ビット/500kSPSのAD7686)を使えば、より魅力的なアップグレードされた経路を実現できます。

ADCの考慮事項

An ADC can be dedicated to each individual DPS c1つのADCは、より早いスループットを提供するために、おのおののDPSチャンネルに専用化させることができます、あるいは1つのADCを複数チャンネル間で共用することもできます。多くの標準的なアプリケーションでは、ADCは8チャンネルまたは16チャンネル間で共用されます。

複数チャンネル間でADCを共用することは、各MEASOUTピンの内部「ディセーブル」機能を使うことによって成し遂げられます。これにはDPSのレジスタに、対応するスイッチのイネーブル/ディセーブルの書き込みコマンドを必要とします。もしこの方法を取る場合、1つのMEASOUTチャンネル以上のチャンネルは、いかなる場合でも同時に選択することが出来ないことに注意してください。

代わりに、外部に4:1または8:1のマルチプレクサを使って、計測チャンネル選択を制御するために使うことが出来ます。この方法では、全てのMEASOUT経路をイネーブルとすることができ、マルチプレクサで選択することが出来ます。同様にして、16:1のマルチプレクサを使うことで、1つのADCをより多くの計測経路で共用することが可能です。このマルチプレクサの選択は、使われるADCとその入力電圧範囲に依存します。(バイポーラ入力のADCでは、ADG1404/ADG1204ファミリーのうちのどれか1つが適当で、単電源使用時にはADG706とADG708がより相応しいでしょう。)MEASOUT経路の出力インピーダンスは標準で60Ω、それにスイッチのインピーダンスが加わります、ADCを駆動するに当たりドライバをADCバッファとして考慮する必要があります(ADA4898-1は、このバッファに適応するオペアンプの一例です。)

電圧リファレンス

ここでは、25Vの出力電圧範囲を必要としていますので、5V出力のADR435 X-FETリファレンスが使われています。このリファレンスは、優れた温度ドリフト性能と低ノイズを備えており、複数個のPMUチャンネルをドライブする能力もあります。

温度モニタ

AD5560は、チップ上の各所に配置された、1616個の温度モニタ用ダイオード・アレイを備えています。これらのダイオードは電圧を発生させるための電流でドライブする必要があり、この電圧はダイのエリアの温度インジケータとなります。チップ上にこのように多くの温度ダイオードを配置している理由は、ユーザがチップ間、またはそれに代わってこれらの特別な条件下でのボード間、での温度勾配を計測できるようにするためです。この目的のため、オン・セミコンダクタ(ON Semiconductor)社のADT7461A温度モニタが、オンチップの温度ダイオードとのインターフェースとして選ばれています。ADT7461Aは直列抵抗のキャンセル機能を備えており、この機能は、このケースでは、各ダイオードがAD5560のGPOピンにマルチプレクスされるため、重要な機能となります。直列抵抗のキャンセル機能がないと、マルチプレクサのオン抵抗が測定誤差を生じます。ADT7461Aは2線のインターフェースを持っていることに注意してください。

補償とフィード・フォワード用コンデンサ

デバイス・パワー・サプライ、AD5560は、DUTのバイパスおよびデカップリング要求に依存する容量性負荷に対して広い範囲をまかなうことが可能です。この設計では、0μF~160μFの容量負荷を扱っています。表1に示した外部コンデンサが、内部補償アルゴリズムが適度な安定性とこの負荷範囲での設定を実現するために、必要とされています。

Table

ここには4個の補償入力ピン(CCX)と5個のフィードフォワード・コンデンサ入力ピン(CFX)がありますが、ユーザは、もしDUTの負荷コンデンサで大きな変動が予想される場合のみに全てのカンデンサ入力を使う必要があるでしょう。もしDUT負荷コンデンサがあらかじめ判っており、全ての電圧範囲とテスト状態の組み合わせで変化しないような場合、1セットのCCXとCFXコンデンサのみが必要となる場合があります。この補償アルゴリズムについての詳細は、AD5560のデータシートに記載されています。

図2、AD5560で、追加電源レールを用い、複数の電圧/電流範囲を使い、消費電力を最小化するための1例(簡易回路:デカップリングおよび全ての接続は示されていません。)

CCX とCFXピンの電圧範囲はFORCE上で期待される電圧範囲と同じです、したがってコンデンサの選択はこれを考慮する必要があります。CFXコンデンサは、これはセトリング時間の余分な変化に直接影響を及ぼしますので、10%以内の誤差である必要があます、特に低電流での電流計測時には重要です。CCXコンデンサは5%以下の誤差であるべきです。

出力電圧範囲

この設計での出力電圧範囲は以下となります。

0 V to 25 V @ 5 μA to 25 mA
0 V to 7 V @ 500 mA
0 V to 3 V @ 1.2 A

これらのレール組み合わせ構成のために、OFFSET設定値をディフォルトから調整する必要があります。0xD1Dの推奨値は上記の範囲を実現するでしょう。図2の回路は、どのようにしてAD5560をこれらの出力範囲を実現するために分割するかの、例を示しています。

高電流(HC)供給経路ダイオード

AD5560は、最大1.2Aもの電流範囲を提供するような、高電力を出力できるため、電源電圧レールは3つの異なる電源レールに切り離されています:AVDD/AVSSから比較的低い範囲(5μA~25mA)のパワー;HCAVDD2/HCAVSS2から中間電流範囲、EXT2と名づけられた、のパワー;HCAVDD1/HCAVSS1から高電流範囲、EXT1と名づけられている、のパワー:HCの電源は、常にAVDD/AVSSレールに等しいか、あるいはそれ以下である必要があります。HCレールの目的として、ユーザがAD5560での消費電力を軽減するために、より低い電圧源を選ぶことが出来るようにしています。EXT1とEXT2出力段の設計は、これらの電圧はDUTで現れる電圧より高い電圧によって供給される必要があります;。もしHC電源がAVDD/AVSSよりも低い場合は、このような状態が当てはまらないことがあります。その結果として、HC電源とHCのパッケージ側のピンとの間の経路にダイオードを追加することを推奨します。(図2に示されています)EXT1段またはEXT2段のどちらかがオフの場合、これらはオフに保ち、DUTへの漏れから保護することが望まれます、したがってこのダイオード、内部のブリーダ抵抗と連結されていますが、はHCのパッケージ側のピン電圧を増加させます(AVDD/ AVSSレールと近い値に)、その結果EXT1/EXT2の出力段はオフ状態を続けます。EXT1とEXT2範囲のダイオード回路の詳細が、図3と図4にそれぞれ示されています。

図3、EXT1範囲のために使われるダイオードの例

ダイオードは、その段が供給できる最大の電流を流せる必要があります。(瞬時電流/障害時状態も含む)EXT1範囲は、EXT2段で必要とする電流よりも、通常さらに高い電流を持ちますので、ダイオードを選ぶ場合、EXT1とEXT2用として別のダイオードを選んで最良に(ボード・サイズの観点から)動作させるようにしています。

電圧降下は、全体の消費電力と電源のオーバヘッドを最小化させるために、出来るだけ小さい必要があります。

ダイオードがオフの際の漏れ電流や逆電流も充分に低い必要があります、これによってHCピンの電圧はDUTの出力電圧範囲をサポートできます。ダイオードの逆電流は、内部ブリーダ抵抗(EXT1では33kΩ、EXT2では100kΩ)間で電圧降下を発生させます;その結果HCピンの電圧が低くなってしまいます。

適当なダイオードはオン・セミコンダクタ、ヴィシェイ、等から入手可能です。

図5に示すように、ダイオードの代わりに、低いオン抵抗を持ったパワーMOSFETも使えます。MSOFETを使用することは、ダイオードよりもFETのほうがより低い降下であるため、全体の消費電力を軽減できる優位さがあります。

ディスクリートのパワーMOSデバイスは、ドレインとソース間にプラスチック・ボディのダイオードを持っていることに注意してください。このダイオードの方向は、MOSデバイスが代替として使われる場合通常のダイオードと同じ方向である必要があります。また、MOSゲートは適切なドライバで供給されることが必要です。

図4、EXT2範囲のために使われるダイオードの例
図5、ダイオードに代わってMOSFETを使う例

この回路は、大きな面積のグランドプレーンを持ったマルチレーヤのPCB上に構築する必要があります。正しいレイアウト、グランディング、デカップリング 技術が適正な性能を達成するためには必要です。(チュートリアルMT-031データコンバータのグランディングとAGND/DGNDの不可解さの解決と、チュートリアルMT-101デカップリング 技術を参照してください。)図1は簡易回路で、全ての必要なデカップリング は示されていないことに注意してください。電源とグラウンド・リターンのレイアウトを注意深く行うことが、定格性能の保証に役立ちます。AD5560を実装するプリント回路ボード(PCB)の設計は、アナログ部分とデジタル部分を分離して、ボードの一定領域にまとめて配置するようにする必要があります。複数のデバイスがAGNDとDGNDの接続を必要とするシステム内でAD5560を使用する場合は、この接続は1ヵ所で行う必要があります。デバイスのできるだけ近くでスター・グランド結線を構成する必要があります。

直線性の計測

このシステムで、FVMV(フォース電圧、計測電圧)モードでの直線性の計測が図6と図7に示されています。図6は偏った電源電圧(+28V、-5V)での直線性を示しています。この特別なゲイン設定(MEASOUT ゲイン=0.2)での直線性性能は偏った電源条件で劣化しています。図7では、対称な電源(±15V)のでの改善された直線性を示します。両者の測定は、図1に示された回路で使っている、ADC AD7685によって行われました。FVMI(フォース電圧、計測電流)モードでの直線性計測は、対称電源で、図8に示されています。

温度計測

ADT7461Aを使って計測した温度勾配の例が図9に示されています。ここで使われているヒートシンクは、空気流の無い状態での、単なるヒートシンクだけでした。この意図は、1Aの負荷で消費電力約5.4Wの条件下で、オンチップの熱ダイオードを用いて、理想的なダイでの温度勾配を得るためです。 ダイオードはナンバー付けされており(データシートごとに)、これは異なるポイントで、同時に、いくつかのダイオードを通したサイクルの一例です。このような単純なヒートシンクを使っても、ダイ周辺では17℃の温度差が観測されました。

図6、AD7685を使って、FVMV(フォース電圧、計測電圧)モードでDUTを基準とした直線性誤差の測定における標準的な直線性性能、+28V、-5Vの偏った電源電圧の場合:この結果にはFV誤差も含まれています。
図7、AD7685を使って、FVMV(フォース電圧、計測電圧)モードでDUTを基準とした直線性誤差の測定における標準的な直線性性能、±15Vの対称電源の場合この結果にはFV誤差も含まれています。
図8、AD7685を使って、FVMI(フォース電圧、計測電流)モードでDUTを基準とした直線性誤差の測定における標準的な直線性性能、±15Vの対称電源電圧の場合
図9、温度モニタとしてADT7461Aを使った例(X軸は秒単位の時間軸)

バリエーション回路

ドライブされるDUTのタイプに依存して、DPS回路は常にフル25V範囲の必要はありません。例えば、ADR421(2.5V)の電圧リファレンスを使うと、ユーザは、より低い出力電圧範囲(通常±6.4V)を実現することが出来ます。これは、オンチップのOFFSET DACを使うことによってDUT要求に適したスケーリングが出来ます。(詳細についてはADR421のデータシートを参照してください。)もしこれよりもさらに小さな電圧範囲が必要な場合、ユーザは単にゲイン設定の「m」レジスタを使ってさらに範囲を狭めることが出来ます。「m」でのスケール・ファクタ¼を使うことは可能で、16ビットの分解能は保たれます。このような低い電圧アプリケーションでは、 AVDD/AVSSでは高電圧レールである必要はありません、それは、AD5560は|AVDD – AVSS| ≥ 16 Vのように、より低い電圧差で動作できるように設計されているためです。 このことは、AD5560での消費電力を削減する手助けとなります。詳細については、AD5560のデータシートを参照してください。

ADCチャンネル当たりにDPS計測チャンネルの部分を割り当てるような変形は、1つのADCをさらに多くのPMUチャンネル間で共用できることを意味します。(時によっては8:1または16:1)オンチップのMEASOUTディセーブル機能を使うことが出来ます。代わりに、アナログ・マルチプレクサをこの機能として使うことが出来ます。このことは、計測経路に更なる直列抵抗を加えることになりますので、ADC入力の直前の計測経路にバッファを使う考察が必要となる場合があります。ほとんどのADCのデータシートには、適切なADCドライバの推奨が含まれています。

このアプリケーションでは16ビット、250kSPSのADC AD7685が使われていますが、それはMEASOUT経路の0V~5 V出力範囲を扱うことが出来るためです。これに付け加えて、同じピン・アウトを持ったより高速の他のADC(例えば16ビット/500kSPSのAD7686)を使えば、より魅力的なアップグレードされた経路を実現できます。

バイポーラ範囲、あるいは、より高速なサンプリング・レートを持つような、その他のADCも選択可能です。もし外部でマルチプレクサを使用する場合、バイポーラ入力のADCでは、ADG1404/ADG1204ファミリーのうちのどれか1つが適当で、単電源使用時にはADG706とADG708がより相応しいでしょう。

MEASOUT経路の出力インピーダンスは標準で60Ω、それにスイッチのインピーダンスが加わります、ADCを駆動するに当たりドライバをADCバッファとして考慮する必要があります(ADA4898-1は、このバッファに適応するオペアンプの一例です。)



ご意見、ご提案などございましたら、アナログ・デバイセズ広報・宣伝部にメールにてお知らせください。

この回路に使用されている製品&サンプル:

製品 概要 サンプルが入手可能な製品
AD5560 1.2A プログラマブル・デバイス・パワー・サプライ(DPS)、16ビット・レベル設定用DAC内蔵 AD5560JBCZ AD5560JSVUZ
AD7685 PulSAR® A/Dコンバータ、16ビット、250kSPS、MSOP / QFNパッケージ AD7685CCPZRL7 AD7685BRMZ AD7685BCPZRL7 AD7685CRMZ AD7685ARMZ AD7685ACPZRL7
ADR435 電圧リファレンス、出力電圧5.0V、超低ノイズ、XFET®、電流シンク / ソース機能付き ADR435BRMZ-R7
沪ICP备09046653号
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