CN0100: ディファレンス・アンプAD629、オペアンプAD8603、リファレンスAD780と12ビットA/DコンバータAD7453の単電源用ICを用いた、–48Vハイサイド電流の測定回路

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回路の説明

使用されている製品
    アプリケーション: 
  • モーター・コントロール
  • 電源システム
  • メーター&エネルギー計測

回路機能とその利点

-48Vの電源レールは、無線ベースステーションやテレコミュニケーション機器において幅広く使われています。ネットワークのセントラル・オフィスでは、-48V~-60V間で変化します。このような電圧での電流を測定するには、一般的には±15Vのような両電源で動作する部品が使われます。標準的には、フロントエンドの処理アンプだけは-48Vレールと直接インターフェースできる両電源を使います。しかしながら、このシステムでは単電源で動作しますので、負側の電源を必要とせず複雑さとコストを低減します。この回路ではAD629AD8603が使われているため、設計者は-48~-60Vでの電流測定を、正側電源のみで測定することが出来ます。

ローサイドでの電流センシングに比較すると、ハイサイドでの電流センシングはグランド・ノイズを排除し、動作中での短絡回路を検出することが可能です。

図1.-48Vでの電流計測に使われる回路
(この回路図は一部簡略化されている部分があります)

回路説明

この回路では、電源電圧を超える電圧を処理するために、ディファレンス・アンプAD629を使用しています。最小および最大の許容できる入力コモンモード電圧は次式によって決まります。

VCOM_MAX = 20 × (+VS – 1.2) – 19 × VREF
VCOM_MIN = 20 × (−VS + 1.2) – 19 × VREF

VREF = +5 V、+VS = 12 V、で−VS = 0 Vのとき、AD629のコモンモード入力範囲は-71V~+121Vとなります。これは-48Vレールで予想される範囲全体を充分にカバーできる範囲です。ディファレンス・アンプAD629は差動電圧、IS × RS、を検出します、この電圧はシャント抵抗と、そこに流れる電流によって発生します。AD629は1の固定ゲインを備えていますので、この出力電圧は IS × RS +VREFに等しくなります。

シャント抵抗は0.1%の誤差を持つ100mΩの最大定各電力は1Wです。シャント抵抗器を選択する場合、電流計測の精度と自己過熱の影響の両者を考察する必要があります。

AD8603は引き算器として構成されているため、5Vのコモンモード電圧を除去することができ、対象の信号成分IS × RS、を増幅します。信号は20倍に増幅され、A/DコンバータAD7453の2.5Vフルスケール入力範囲に対応します。A/Dコンバータのフルスケールの2.5V信号は、-48V電源での1.25Aの電流に相当します。AD8603は、非常に低いバイアス電流、低オフセット・ドリフト、それにレールtoレール入力および出力の特長があるために、選択されました。AD8603はレールtoレールの出力が可能であるため、同じ電源電圧をA/Dコンバータと共用できます。AD8603の出力は、その出力段の構成によって、グランド電位からわずか約50mV上の電圧まで下げることが可能です。このことは、入力電流約25mAまで対応することになります。したがって、約25mA以下の電流は測定できないことになります。しかし、非常に低い電流での精度は、通常それほど要求されていません。

引き算器を形成する4つの抵抗器の比は、コモンモード除去(CMR)の最大化を得るために、マッチングされている必要があります。この段では、引き算器はAD629からの5Vのコモンモード信号を除去する必要があります。

12ビットA/DコンバータAD7453は、擬似差動入力が可能なために選ばれており、AD8603とA/Dコンバータとの間のインターフェースを簡素化することが出来ます。さらに、小型パッケージで低価格であるため、価格が厳しくサイズにも制限がある場合に大変有効です。

AD780は、その精度と使い易さのため、12ビットA/DコンバータAD7453の電圧リファレンスとして選びました。

この回路は、-48Vと-60Vの電源レールでの電流関数として、デジタイジングされた出力電圧を測定することによってテストされました。 結果は図2に示されています。ここでは、期待値に良く相関しており、異なるコモンモード電圧下でも優れた直線性が示されています。

図2.-48Vと-60Vのコモンモード電圧での電流、対、デジタル化された出力電圧の測定結果

AD629のCMRによる誤差が最も大きな誤差となっています。トータル・オフセット誤差は、AD8603差動アンプのゲイン、20、の信号ゲインによって増幅されますので、AD8603出力では156mVほどの大きさになります。

また、この計算から、入力のディファレンス・アンプのCMRが、低オフセットに関しては、非常に重要であることがわかります。もし電流検出回路として使われなくとも、温度仕様(初期ゲイン・ドリフト、オフセット・ドリフト、温度範囲全体にわたるCMR性能)は重要ですので、AD629は、このようなアプリケーションにとっては最適といえます。

AD8603は、それ自身のオフセット電圧(0.3mVmax)とバイアス電流(1pA)によって引き起こされる誤差を含むことになります。このことは、ノイズ・ゲインが21であるため、約6.3mVの最大出力オフセット誤差を招きます。総合オフセット誤差は、AD629(156mV)とAD8603(6.3mV)による誤差の合計値、あるいはAD8603出力における162.3mVとなります。幸いにして、この誤差は、システム校正によって削除することが可能です。

同時に、もし最大値ではなく仕様の代表値を用いるならば、AD8603出力でのオフセット電圧は約45mVとなります。

AD629のオフセット誤差は、下記の最大値仕様を用いて計算することが出来ます。

 初期ゲイン誤差  0.05 mV
 オフセット電圧  1 mV
 DC CMR(77dB)  6.768 mV
 合計オフセット  7.818 mV

表1、AD629のDC誤差

この回路は、大きな面積のグランドプレーンを持ったマルチレーヤのPCB上に構築する必要があります。正しいレイアウト、グランディング、デカップリング技術が適正な性能を達成するためには必要です。(チュートリアルMT-031「データコンバータのグランディングとGND/DGNDの不可解さの解決(英語)」、MT-101「デカップリング技術(英語)」を参照してください。)

バリエーション回路

ADR361は、小型サイズ、低消費電力で高精度ですので、もう1つの電圧リファレンスの候補となります。

AD8223AD8226のような集積化された計装アンプをAD8603に変わって使うことも出来ます。こうすると、AD8603では必要な外付けのマッチング抵抗の必要性がなくなります。抵抗が内蔵されたAD8276のようなディファレンス・アンプが、もしゲインが1倍でも良い場合でしたら、AD8603の代わりに使うことも可能です。

AD629Bは、AD629Aよりも9dB高いCMR性能を持っています。この製品のオフセット電圧はAD629Aの半分ほどで、ゲイン誤差も約半分です。これを用いるのは、システム校正が不可能なような場合に適します。

もし、コンバータとして、より集積度の高いソリューションが必要な場合は、12ビット、1MSPSのA/Dコンバータを内蔵したARM7TDMۤ高精度アナログ・マイクロコントローラのADuC70xxシリーズを使うのも良い選択の一つといえます。



ご意見、ご提案などございましたら、アナログ・デバイセズ広報・宣伝部にメールにてお知らせください。

この回路に使用されている製品&サンプル:

製品 概要 サンプルが入手可能な製品
AD629 ディファレンス・アンプ、高コモン・モード電圧

To obtain samples of this part, please contact ADI

AD7453 12ビットA/Dコンバータ、555kSPS、8ピンSOT-23パッケージ、擬似差動入力 AD7453BRTZ-REEL7
AD780 2.5V/3.0V電圧リファレンス、超高精度、バンドギャップ

To obtain samples of this part, please contact ADI

AD8603 オペアンプ、高精度、マイクロパワー、ローノイズ、入出力レールtoレール AD8603AUJZ-REEL7
沪ICP备09046653号
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